マイメロちゃんがサニー号にいたら 5 

チョッパーと

 仲間になったマイメロちゃんが、最初に興味を示したのは、自分と比較的大きさの近いチョッパーが相手でした。
 でも、チョッパーは大きく慣れるのです。
 しかもお医者さんなのだと聞いて、マイメロちゃんは素直にびっくり仰天でした。
「うわー、チョッパーくんてすごぉい。立派なんだねー。」
 ぱちぱち、と、マイメロちゃんはわくわくしながら、やわらかいおててでぱふぱふと拍手をします。
 マイメロちゃんの素直な賞賛に、チョッパーはいつものごとく、照れて否定します。
「何だー、そんなの、褒められても俺は嬉しくないぞ~。」
 本当はとても嬉しいのに言動が一致せず、顔をでれでれとさせているチョッパーはとても可愛いと、メンバー全員思っているのですが。
 しかし、空気を読まないマイメロちゃんには、それは通用しません。
 マイメロちゃんはしゅーんと落ち込んでしまいました。
「ごめんね、マイメロ、本当にチョッパーくんはすごいなあって思ったんだけど……。」
「え、あ、マイメロ!?」
 チョッパーの嫌がることを云ってしまったのかと、マイメロちゃんは悲しそうです。
 そしてそんなマイメロちゃんを見て、チョッパーは大慌てです。
「おいチョッパー、何レディに悲しい顔させてやがるんだ!」
 そこにちょうど、女性専用おやつを持ったサンジが来て、きつく睨みを効かされたりして。
 それからほんのちょっとだけ、チョッパーが素直になったとかならなかったとか、そんな感じのお話でした。



ブルックと

 マイメロちゃんとブルックさんは、紅茶がとっても大好きです。
 なので、2人でひなたにティーセットを持って出て、一緒にティータイムを楽しんでいました。
「ブルックさんは、骨だけでお肉がないのね。」
「ヨホホ、全部なくなってしまいました。」
「マイメロも綿だけで、お肉がないのよ。骨もないけど。」
「おやおや、それはびっくりですー。」
 布と綿でできているマイメロちゃんと、骨と髪の毛だけでできているブルックさん。
 2人の不思議な生命体は、楽しい会話と暖かい時間を共有します。
「だから、マイメロとブルックさんは、お肉がなくておそろいね。」
「……はい、そうですね。おそろいです。」
 マイメロちゃんがにっこりと笑い、ブルックさんも、皮膚のない表情は変わりませんが、マイメロちゃんと同じように笑いました。
 そして、2人はこくこくと紅茶を飲んで。
 仲良く同時に、同じ言葉を呟きました。
「「はー、紅茶がおいしい。」」



戦闘中

 今日は他所の海賊が、サニー号に攻めてきました。
「やーんやーん。」
 初めての敵襲におびえるマイメロちゃんを、ナミがしっかりと抱きしめています。
「大丈夫よ、マイメロ。うちの奴らは皆、強いんだから。」
「おう、そうだぞマイメロ。お前とナミは、この俺様がしっかり守ってやるからな。」
 ナミはいつもすぐには戦いには出ませんが、必要そうなら武器を持って戦います。
 ウソップも膝を震わせながらも、ナミを守ったり、皆の援護をしたりするのです。
 しばらくは隠れて様子を見ていましたが、何分相手の人数が多い、というより、こちらの人数が少ないので、ナミとウソップもとうとう甲板へと飛び出しました。
「マイメロは、ちゃんと隠れてるのよ!」
 ナミちゃんにそうは云われましたが、マイメロちゃんだって海賊です。
 そろっと甲板に出て、高いところ、皆を見渡せる場所に立ちました。

「みんなー!がんばってね。おねがいv」

 マイメロちゃんのお願いに、麦わら海賊団全員の頬がぽっと染まりました。
 そして、パワーアップした皆は、あっという間に敵を退却させたのです。


「マイメロ、もっとお湯沸かして、それから綺麗な布も頼む。」
「はいはーい。」
 戦闘が終わった後は、チョッパー医師の出番です。
 そしてマイメロちゃんは、臨時看護婦さんです。
 皆の手当てと甲板の掃除、壊れたところはフランキーとウソップが修理に向かいます。
 ところどころで不器用なマイメロちゃんは、ばんそーこを思う位置に貼れずに何度も貼り直したり、何故か自分が包帯でぐるぐる巻きになってしまったりするので、看護婦さんは適当なところで切りあげて、遅くなったお昼御飯を作りに、怪我をしたサンジくんのお手伝いをしに行きました。
 ロビンは最後に戻ってきて、チョッパーの手当てをします。優しい船医さんは、大きな傷はともかく、小さめの自分の傷は、いつも後回しにしてしまうのです。
 消毒をして薬を塗って、包帯を巻いてあげながら、ロビンとチョッパーは、マイメロちゃんのことを話していました。
「彼女は『魅了』や『パワーアップ』の能力を、生まれつき持っているのかも知れないわね。」
「うん、なんかすげー力出た。びっくりした。」
 マイメロちゃんは非力なぬいぐるみさんですが、すごい力を持っていました。
「彼女はとっても可愛いから、おねがいされたら、がんばれちゃうのかも知れないけど……。」
 ロビンは少しためらって、それから、チョッパー以外の誰かが聞いていないかどうか、あたりを見回しました。
 それから、チョッパーの耳元で、内緒よ、とささやいて。
「でも私、彼女じゃなくても、この船の皆が『おねがい』って応援してくれたら、きっといつも以上の力が出せると思うの。」
 ロビンは顔を赤らめながら、そんなことを云いました。
 そんなロビンの姿を見て、チョッパーはとてもとても嬉しくなります。
「おう、俺も、ロビンや皆が応援してくれたら、すっごくがんばれるぞ!」
 なのでチョッパーもそう云うと、ロビンは、花のような笑顔を見せてくれました。
   
2008/05/13 






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