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ぽかぽか陽気のいい天気。 いつものようにゾロは日当たりのいい場所で昼寝をしていて、その腹巻の中では、マイメロちゃんがお昼寝をしておりました。 ゾロはいつでも、一番寝心地のいい場所にいるのです。 その腹巻の中が大好きなマイメロちゃんも、心地よさの二乗にうっとりで、とっても気持ち良く2人はお昼寝していました。 壁にもたれてくかーと寝ているゾロと、腹巻の中のマイメロちゃん。 その2人を、ロビンがじーーーーっと見つめていました。 ロビンはマイメロちゃんが大好きです。 マイメロちゃんの気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、つられてロビンも眠くなってきてしまったのです。 そうでなくても、昨夜はナミのせいであんまり眠れなかったロビンです。 ぽかぽか陽気と、太平楽な寝顔のゾロと、天使のようなマイメロちゃんの可愛らしい寝息。 ロビンは、ゾロの隣に座ると、腹巻の上から片腕でそっとマイメロちゃんを抱きました。 そして、ゾロの胸に頭を乗っけて、マイメロちゃんを撫で撫でしながら、きもちよく眠りについたのです。
しばらくして。おしゃべりをしながら甲板に出てきたウソップとナミが、幸せそうにお昼寝をしている3人を発見しました。 壁にもたれたゾロ、その腹巻の中のマイメロちゃん、ゾロの胸に頭を乗っけて、腹巻に手を突っ込んでいるロビンの3人です。 「………………。」 「また……、私のロビンに何してやがんのよ、ゾロの奴っ。」 ウソップは絶句し、ナミは怒りをあらわにしますが、ゾロが何かしたのはマイメロちゃんを腹巻の中に入れるという、あくまでもマイメロちゃんに対してのことであり、ロビンはただマイメロちゃんに引き寄せられているだけかと思われます。 でも、ナミは結構やきもち焼きなので、とりあえずゾロに対して怒っておくのです。 ロビンがマイメロちゃんに夢中だというのも、それはそれで乙女心が複雑だからです。 けれどここでゾロを殴ったら、気持ち良さそうに寝ているマイメロちゃんや、可愛い顔で寝ているロビンを起こしてしまうので、ナミは振り上げたこぶしのやり場に困ります。 と思いましたが、ナミは代わりに、ウソップを殴ることにしました。 「ああもうウソップ、そんな泣きそうな顔してるんじゃないわよ!」 「だって……、最近ゾロはいつも、マイメロやロビンとばっかりべたべたしてるし……。」 いえ決して、ゾロがそれを望んだ訳ではない筈なのですが、結果的に3人がくっついていることが多いので、ウソップは最近拗ね気味でした。 おれなんかより、と、すぐにネガティブに走りがちなウソップを、ナミはイライラしながら見ます。 けれどふと、名案が浮かびました。 「いいわ。私達も一緒にお昼寝しましょ。たまにはいいでしょ、そんなのも。」 「あー?」 きょとんとするウソップを、ナミは、ゾロの隣に座らせました。もちろんロビンのいない側です。 ロビンのいる方には、ナミが座りました。 そして、ゾロに、ロビン的にはマイメロちゃんに抱きついて寝ているロビンの脇腹に頭を乗せます。 ロビンの寝息が少し乱れましたが、長い指がマイメロちゃんのおなかをふにふにと撫でて、起きる気配はありません。 「ウソップは、ゾロの肩を借りなさいよ。」 「…………お、おう。」 ナミにちょっと強い口調で云われて、ウソップはおずおずと、ゾロの肩に頭を乗せました。 たっぷりの筋肉のついたごつい肩ですが、ゾロの匂いと体温を感じて、ウソップはついつい嬉しくなってしまいます。 ちょっぴり笑顔になったウソップを見て、ナミも小さく笑いました。 「あー、おひさまもだけど、風も気持ちいい。さすがゾロはいい寝場所見つけるわよね、猫みたい……。」 ナミは満足そうにロビンの脇腹に顔を擦りつけると、目を閉じてしまいました。 ウソップはどうしようかなとちょっと迷ったのですけれども。 ゾロの肩に頭を乗せ、ぴったりと身を寄せて。そうしたらもう離れたくなくなってしまったので、自分も目をつむりました。
「……なんだこりゃ。」 ナミとウソップが熟睡に突入した頃、ゾロが目を覚ましました。 開いた目に、まず最初にロビンが映って、ゾロは息をのみます。 マイメロちゃんと2人でお昼寝をしていた筈なのに、自分の胸に頭を乗せ腹巻に手を突っ込んで寝ているロビンと、そのロビンにしがみついて寝ているナミ、そして反対側の肩にもたれて眠っているウソップの姿がありました。 ロビンとウソップに枕にされているくらいの重みなど、ゾロには感じないも同然ではありましたが、やっぱり色々とびっくりします。 どうしてこんなことになっているのでしょう。 いえ、何となく、マイメロちゃんを求めてやってきたロビンが何かしでかしたのだろうことくらいは、ゾロには嫌というほど推測が付きますが。 ロビンの突飛な行動には、色々と被害を被っているゾロです。 あれこれと動揺させられつつ、今ではしっかりと仲間になったロビンにも、もちろんゾロは甘いのですが。 でもまあとにかく。 気持ち良さそうに寝ている皆を起こす気は、ゾロには全くありません。 いつもながらの可愛いマイメロちゃん、案外幼い寝顔のロビン、幸せそうな表情のナミ、もちろん3人とも、麦わら海賊団が誇る可愛く綺麗でスペシャルな女の子達ではありますが。 ゾロの視線が引き寄せられてしまうのは、今にもよだれを垂らしそうな寝顔のウソップです。 ぴったりゾロにくっついて、平和な顔をして寝ているウソップが、ゾロにはいとしくてたまりません。 もちろんウソップの眠りを妨げる気だってゾロにはないのですが。 よだれの垂れそうになっている、半開きの分厚い唇に、ゾロはちゅうと口づけました。 このくらいは役得です。起こさない程度になら、いくらでも何をしてもいいでしょう。 ゾロはウソップのぷくぷくな唇が大好きですが、長いお鼻も、くるくるの髪の毛も大好きです。 おひさまに暖まったウソップは、ゾロにとってはおひさまより気持ちいいものでした。
ぽかぽかおひさまとさやさやそよ風の気持ちいい日の午後。 絶好のお昼寝日和ではありますが、ゾロは日が陰ってくるまで、ずっと起きていました。 ゾロの代わりにウソップが、ぐっすりお昼寝していました。
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2009/03/22 |
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