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「マイメロはとっても可愛いわ。」 「うふふ、ありがとー。ロビンちゃんも可愛いわ。」 「ありがと。でもマイメロの方が、もっともーっと可愛い。」 今日もロビンは、マイメロちゃんと一緒で楽しそうです。 マイメロちゃんが可愛い可愛いと、ロビンは一生懸命褒めています。 それはもう当たり前のマイメロちゃんの可愛さに、にっこり笑顔なロビンももちろんとっても可愛いのですが。 どうしてそれをおれの腹の上でやるんだ……と、いつものことながら、ゾロはがっくり疲れていました。 回りにふりまかれるピンクのオーラに圧倒されて、ゾロはおちおち昼寝もできません。 転がったゾロの腹巻の上に立ったマイメロちゃんと、ゾロの横に座り込み、マイメロちゃんの腋を両手で軽く支えているロビン。 そんな姿勢で、きゃっきゃと2人ははしゃいでいました。 「ねえゾロ、マイメロはとっても可愛いわね。あなたもそう思うでしょう。マイメロは世界で一番可愛いわ。」 「やーん、そんなに褒められたらマイメロ照れちゃう。」 「だって本当に可愛いんだもの。私、マイメロが大好き。」 「マイメロもロビンちゃんが大好きよー。」 「うふふ。」 ロビンは感極まったようにマイメロちゃんを抱き上げ、すりすりと頬を擦りつけましたが、またゾロの腹巻の上に、そっとマイメロちゃんを下ろしました。 ……だから人の腹の上でやるなというのに。 ゾロはため息をつくと、よしよしとマイメロちゃんの頭を撫でました。 「ああ、可愛い可愛い。今んところは世界で一番可愛い。」 ロビンとマイメロちゃんは、またきゃいきゃいと笑いさざめきましたが、あれ、と、ロビンはゾロの言葉にひっかかるところを感じました。 「今のところって、どういうことかしら。マイメロに切迫する可愛い子が他にいるとでも?」 ロビンにとってはマイメロちゃんこそが、未来永劫、世界一の可愛い子なのです。 ゾロの目指す大剣豪風に云うならば、大可愛いです(謎)。 尋ねるロビンに、ゾロは真面目な顔をして云いました。 「今はまだまだだけど、ウソップも可愛いだろ。」 ロビンは無言で首を傾けます。 「初めて会った時は何て愉快な顔だと思ったんだけどな。でもあいつ、毎日ほんのちょっとずつだけど、どんどん可愛くなってるだろ。このまま10年20年、毎日可愛くなりつづけたら、マイメロを抜くかも知れねえ。」 「そうなんだ、ウソップくん、すごぉーい。」 真剣なゾロに、マイメロちゃんも素直にびっくりしています。 そうなんだよ、と、ゾロはまた、マイメロちゃんを撫でました。 「だからな、マイメロ。お前も今に甘んじて努力を怠るんじゃねえ。ウソップがお前を追い抜いて世界一可愛くなったら、おれが困るんだ。」 「そうなの?」 「……何が困るのかしら。」 きょとんとするマイメロちゃんとロビンに、ゾロは重々しくうなずきました。 「そりゃあ、ウソップが可愛いからって、おれ以外の男に迫られるようになったら嫌だろうが。あいつはおれのもんにしておきてえんだよ、目移りされたら困る。全く、これ以上可愛くなったら目立って仕方ねえから、この辺でそろそろ止めといてもらいてえんだけどな。」 ゾロはとっても真面目です。 そしてマイメロちゃんは、良く判らないながらも、大きくうなずきました。 「マイメロ、もっと可愛くなれるようにがんばるね。」 「おう、がんばってくれ。」 一生懸命うなずきあう、ゾロとマイメロちゃん。 そしてロビンは、にっこりと笑いました。 「ゾロは本当にウソップが大好きね。」 「当たり前だろ。」 胸を張って答えるゾロに、ロビンはとうとう、声を上げて笑い出しました。 ロビンがとても楽しそうなので、マイメロちゃんもつられて笑います。 恋は盲目、あばたもえくぼ。 ゾロはとても幸せな恋をしているようです。
そして、そこから上の上の甲板、下からは見えないところでは、耳まで真っ赤になったウソップが、体育座りのお膝の中に、お顔を埋めていました。 3人のお話が、すっかり聞こえてしまっていたようです。
更にそして。 ロビンからそのお話を聞いたナミは、それはもう落ち着いてはいられませんでした。 「ロビンのばかあー。私以外の女をそんなに褒めるなんて何事よ!ロビンは私ので、私はロビンのなの!他の女に夢中になってちゃいや!」 ナミはロビンにがばと抱きつき、むぎゅむぎゅとしがみつきました。 ロビンは自分の体に腕を咲かせてナミを支えてあげながらも、おめめをきょとんとさせています。 「だって、マイメロは本当に可愛いんだもの。」 「私は!?」 自分も可愛いと云われたいナミは、必死になってロビンにすがりつきます。 ロビンが首をそっと傾けると、さらさらの髪の先が肩から滑り落ちました。 「ナミは……、可愛いというより、かっこいいと思うわ。」 ロビンはナミを見つめて、ゆっくりとお話します。 「ナミは、強くて凛々しくて、頼もしくて、度胸も勇気もあるわね。お金にうるさいところもしっかりしてて私は好きよ。それから、いつも皆のことをよく見て気にしてる。あなたはとても優しいわ。いつも前向きで笑顔なところも大好き。格好良くて、ハンサムで、とっても綺麗。いつもそう思っているわ。」 にっこりと微笑むロビンに、今まで面と向かってそんなふうに云ってもらったことのなかったナミは、真っ赤になって照れてしまいました。 「ハンサムって、男にいう言葉じゃない……?」 照れ隠しに呟いてみても、ロビンは真面目な顔で首を振ります。 「そうでもないわ。ハンサムガール、ハンサムウーマン……、そうね、容姿の美しさについてもあるけれど、心の強さとか、懐の大きさとか……、色々よ。ナミにふさわしい言葉だと思うわ。」 ロビンはそっとナミの頬を撫でて、それから、ふわりと一瞬、唇を重ねました。 「大好き。」 照れくさそうな笑顔に、ナミは胸が一杯になります。 そして衝動のままに、ロビンを抱きすくめました。 「ああもうロビン大好き、あんたってば、可愛すぎるわよ!」 「ナミったら、そんなこと叫んで……、ううん、ありがとう。私もがんばるわ。」 今度はロビンが照れましたが、ふと思い返して、素直にお礼を云ってみました。 とても気恥ずかしいですが、ちょっと胸が熱くなります。 ロビンの大好きな、可愛い可愛いマイメロちゃん。 でもゾロには、世界一可愛いマイメロちゃんより、ウソップの方が可愛いのです。 そこまで行く必要はありませんが、ナミもロビンのことを可愛いって思ってくれたら、それはきっと、とてもとても嬉しいでしょう。 ナミの為に可愛くなれるよう、ロビンも色々がんばろうと、心の中でこっそりと思っていたのでした。
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2009/03/25 |
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