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図書館に行こうとしたロビンは、みかんの木の木陰で寝っ転がっているゾロが、マイメロちゃんを枕にしているのを見つけました。 「うがっ。」 たくさんの手を甲板に生やしたロビンは、ゾロを転がすようにして放り出し、つぶれているマイメロちゃんを確保しました。 「いってぇ……、何しやがる、ロビン!」 「それはこっちのセリフだわ、マイメロになんてことしてるの!」 ロビンはマイメロちゃんがとても大好き。 その、可愛い可愛いマイメロちゃんに何という仕打ちをと、怒った顔をしていました。 「違うの、ロビンちゃん―。」 ロビンに抱っこされたマイメロちゃんは、ロビンの胸をぱふぱふ叩いて、一生懸命云いました。 「何が違うの、マイメロ。あなた、ゾロに枕にされて押しつぶされてたんじゃないの?」 「あのね、マイメロ、ゾロくんに膝枕してあげてたの。」 「…………あら。」 そうなのです。 マイメロちゃんは、マイメロちゃんなりに、ゾロに膝枕をしてあげていたのです。 ただ、そのお膝、というか、あるのかどうか判りませんが太腿からお膝にかけての、本来の膝枕の場合に使用する部分、その面積がとても少なくて、そこだけではゾロの頭を乗せきれなかったのです。 マイメロちゃんは小さいので、体全体を使わないと、ゾロの枕になれなかった、と、そういうお話です。 「膝枕って……、奥が深いのね。」 ロビンはマイメロちゃんのお話を聞いて、真剣なお顔になりました。 「マイメロね、ゾロくんの腹巻の中でお昼寝するのがとっても好きなの。でも、マイメロばっかりいつも悪いから、ゾロくんに膝枕してあげて、気持ち良く眠れるように、恩返ししようと思ったの。」 マイメロちゃんはロビンに、こうなった経過をお話します。 「ああ、マイメロって、本当に優しいのね…。」 それを聞いたロビンは、感激の面持ちでした。 「……なあ、どうでもいいから、おれもう昼寝していいか?」 そんなロビンに、ため息混じりのゾロが声をかけます。 ロビンは少し考えて、それから、マイメロちゃんを抱っこしたまま、その場に座りました。 「いいわ。私がマイメロの代わりに、ゾロに膝枕してあげる。」 「ロビンちゃん、いいの?」 「ええ。だって、マイメロだとゾロの頭につぶされてしまうもの。その代りに、代役の間、私がマイメロのことだっこしててもいい?」 「うん、ありがとー、ロビンちゃん。マイメロ、ロビンちゃんのだっこ大好き。」 「私もマイメロをだっこするの大好きよ。」 ロビンはにっこり笑顔でマイメロちゃんを抱きしめ、そして、甲板に生やした手で、固まっているゾロを強引に引きずり寄せました。 「お、おい、ロビン待て、おれは枕なんかいらねえ…っ。」 「マイメロの厚意を無碍にするなんて、許されないわ。」 花の手が嫌がるゾロを引きずり倒し、頭を引っ張ってきて、ロビンの太腿に乗せます。 「はい、じゃああなたはここ。おやすみなさい。」 ゾロの体はしっかりとたくさんの腕に押さえられていて、それは勿論ゾロが本気で暴れれば何て云うこともありませんが、仲間を傷つける訳にもいきません。 でもこのまま、眠れるような心境でもありません。 マイメロちゃんの枕は綿がたっぷり詰まってふかふか。ロビンちゃんの枕も張りがあって暖かく良い弾力でありますが。 仲間とは云え、妙齢の女性の膝枕。うっかり目を開けてしまえば、ロビンの豊満なおっぱいの、艶めかしい下乳のラインが目の前にあったりして、お年頃のゾロには激しく毒です。 …………心頭滅却煩悩退散。 逃げ出し損ねたゾロは、ゾロは必死に心の中で唱えて精神集中しながら、必死になって眠ってしまおうとしました。 いつでもどこでも眠れるゾロが、こんなにも眠るのに苦労したのは、初めてだったかもしれません。 そうして、何とかうとうとし始めた頃です。 「あああああっ!! ちょっとあんたゾロ、私のロビンに何してやがるのよ!」 甲高い声に、ゾロはびっくりして目を開けました。 ナミです。 「ゾロ、何で……。」 その隣には、ゾロの大事なウソップが。 何やら誤解をしたらしく、目をうるうるとさせていました。 ウソップはものすごくネガティブなので、すぐに悪い方に考えてしまうのです。 「こら待てウソップ、逃げるな!」 「いいんだ、おれ、身を引くから…っ。」 走り出そうとするウソップに慌てたゾロが飛び起きます。 「ぐわっ。」 けれどロビンが、甲板に腕を生やしてウソップの脚を捕まえてくれたので、ウソップは見事に床に鼻を打って倒れました。 ゾロはその隙に、急いでウソップに駆け寄り、抱き起こします。 ナミが何やらぎゃんぎゃん騒いでいますが、ゾロはそれどころではありません。 「違うんだウソップ、おれだって好きであんなことになってた訳じゃねえ!」 「でも、ゾロ、気持ち良さそうに寝てた……。」 「う……、あ、いや、でも、おれは本当は、おまえを枕にしたい!」 「…………え、う、うん……、いいけど。」 真っ赤になってしまったウソップを抱きかかえて、ゾロは甲板に転がりました。 「え、ゾロ、これ違う!」 「違わねえ。抱き枕だ。」 ゾロはもがくウソップをむぎゅむぎゅと抱きしめて、ついでに脚でもしっかりと絡めつけて、ほうっと息を吐きました。 「これが一番気持ちいい……。」 甘くささやくゾロの背に、ウソップはもじもじしながらも、そっと手を回しました。 一方ナミには、ロビンがここまでの経過の説明をしていました。 「……大体、どうして膝枕なんて思いついたのよ、マイメロ。」 呆れたナミは、ため息混じりにマイメロちゃんに聞きます。 「サンジくんが、膝枕は男のロマンだって云ってたの。」 「…………そう。」 思わず両手をぽきりと鳴らしてしまうナミです。 「だから、ゾロくんにもしてあげたら喜んでくれるかなって思って。」 「それで私が代役をしていたの。」 マイメロちゃんもロビンも、全く悪気がありません。 「あんな女好きの云うことなんか、信用するな、マイメロ。」 それを聞いていたゾロも、マイメロちゃんに釘を差しました。……そのつもりでしたが。 「はーい。そうね。ゾロくんは男好きだから、サンジくんのお話とは合わないのね。」 「誰が男好きだ!」 何だかマイメロちゃんがとんでもないことを云いだしたので、ゾロは思わず、ウソップを抱きしめたまま飛び起きてしまいました。 「いいか、おれが好きなのはウソップだ、男でも女でもねえ!」 「ありゃま。」 全力で主張するゾロに、マイメロちゃんはきょとんとし、ウソップはますます全身真っ赤になりました。 「いいか、おれは今度こそ寝るからな、邪魔するな、それから、人を話題にもするな!」 そうしてゾロは、ウソップを抱きしめ直して寝転がり、今度こそ寝るのだと全身で主張していました。 「仕方ないわね。じゃあ代わりにナミ、あなたを膝枕してあげましょうか?」 膝が開いてしまったロビンは、ナミにそんなことを云いました。 ナミはまだ御機嫌斜めの様子だったので、少しお昼寝すればいいんじゃないかなとロビンは思ったのです。 案の定、ナミはとっても嬉しそうになりましたが。 「私、あんたの膝より、胸の方が好きだわ!」 突然飛びかかってきたナミに、ロビンは、ゾロの隣へばったりと倒れてしまいました。 ナミはロビンにのしかかり、大きな胸にすりすりと頬ずりしてきます。 「あーん、ロビンのおっぱいって気持ちいい。やわらかい……。」 谷間に埋もれて幸せそうなナミは、何度かすりすりと顔を擦りつけると、くーと眠ってしまいました。 「ナミちゃん、もう寝ちゃったの?早ーい。」 「……こういう時、どうすればいいのか判らないわ……。」 ナミの寝顔をのぞきこむマイメロちゃんに、ロビンは困惑して訴えました。 マイメロちゃんは、ロビンににっこり笑います。 「こういう時は、皆でお昼寝しましょ。おひさまは暖かいし、風も気持ちいいわ。」 そしてマイメロちゃんは、ロビンちゃんの顔の横、ゾロとの間に転がりました。 「ね、ロビンちゃん。」 「ええ、マイメロ。」 ロビンもマイメロちゃんに笑顔を返し、それから、胸の上のナミの髪をそっと撫でました。 ちょっと重たいのですが、それが何だか幸せです。 「ウソップくんも、お昼寝よね?」 「……おう。」 そしてマイメロちゃんは、ゾロの背が邪魔で見えませんが、ゾロの向こう側にいるウソップにも声をかけます。 ウソップは、ゾロの背中を抱いている手を、マイメロちゃんとロビンに向けて、ちょっとだけ振ってくれました。 ゾロにしっかり抱きこまれたウソップも、多分少し苦しいのではないかと思われますが、きっと、ロビンがナミの重みを喜びと感じているように、ウソップも幸せを感じているのでしょう。
今日も海は穏やかで、気持ちのいい、お昼寝日和でした。
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2009/04/06 |
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