マイメロちゃんがサニー号にいたら 12 

 今日は楽しい宴会です。
 ゾロは芝生甲板のはじっこの方で、ウソップを片腕に抱きかかえ、おいしくお酒を飲んでいました。
 騒ぎ疲れと酔いで大人しくなっているウソップを撫でくり回したり、時々ちゅーをしたりしながら、ゾロはとっても御機嫌でした。
「ゾロくーん、これ、マイメロが作ったの。食べてみて。」
 するとそこに、お盆に小鉢を二つほど載せたマイメロちゃんが、ちょこちょことやってきました。
「お、うまそうだな。」
 小鉢に乗っていたのは、肉じゃがときんぴらでした。
 ゾロは和食が大好きです。マイメロちゃんがクルーになり、時々サンジを手伝って料理をするようになってからは、醤油味や味噌味、つまりは和食が増えてきていたので、ゾロはとっても御機嫌でした。
 お盆にはもちろんお箸も乗せられていて、ゾロは喜んでそれを手にしました。
「ん、すげーうまい。」
「わーい。」
 ゾロに褒められて、マイメロちゃんはにっこりです。
「ほら、ウソップも食ってみろ。」
 ゾロはウソップにもあーんで食べさせてあげたりして、ますます御機嫌。
 くーっとお酒を飲んで、ウソップの肩を抱き寄せ、ゾロは満足して手すりにもたれかかりました。
「肴もうまいし酒もうまいしウソップもうまいし、今夜は最高だな。」
 ゾロはとても嬉しくて、マイメロちゃんに笑みを向けたのですが、けれどマイメロちゃんは、とてもびっくりなお顔をゾロに向けていました。
「ゾロくん、ウソップくんを食べちゃうの?」
「おう、うまいぞ。」
 真顔で答えるゾロは、もしかしたらちょっと酔っているのかも知れません。
 安心して酔える仲間達がいることも、ゾロにとっては幸せのひとつです。
「ななななな、何云ってんだよゾロ、ばかー!」
 真っ赤になったウソップがじたばた暴れていましたが、ゾロにとってはただ可愛いだけなので、嬉しそうにむぎゅむぎゅと抱きしめていました。
「そっかー。ウソップくんて、おいしいんだ。マイメロも食べてみたいなあ。」
 そしてマイメロちゃんは、いつも真剣です。
 どんな味なの?と、わくわくのお目目をゾロに向けましたが、ゾロは神妙なお顔でマイメロちゃんに云いました。
「すまねえが、ウソップはおれ専用なんだ。だから、おれ以外の誰にも食わせられねえ。」
「ありゃま。」
 マイメロちゃんは残念そうでしたが、ゾロがとても真剣なので、素直にうなずいてくれました。
「だから、ゾロ専用ってなんだよ……。」
「おれのだろ。」
 真っ赤になってもごもご云っているウソップを、ゾロは引き寄せ、唇をくっつけます。
「ちゅーしてる。」
 ぐいぐいとウソップの唇に口を押し付けているゾロを見て、マイメロちゃんは呟き、そしてふと思いました。
「……マイメロ、たらこが食べたくなっちゃったなあ。ねえウソップくん、今度タラ釣ってほしいな。おねがいv」
 そのウソップはゾロにちゅーをされている真っ最中でしたが、マイメロちゃんは全然気にしませんでした。
 そしてむしろ、ゾロがそれに反応します。
「マイメロお前、たらこの作り方知ってんのか?」
「うん、大丈夫。マリーランドは、お魚もたくさん取れるのよ。ママに何でも教わったの。」
「そうか、それは楽しみだな。おれもたらこは大好きだ。」
 ゾロがにっこり、マイメロちゃんもにっこり。
 嬉しそうな2人の姿に、真っ赤になったままのウソップは、タラを釣るための仕掛けを、一生懸命考えるのでした。
 
2009/04/19 






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