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マイメロちゃんとロビンが、今日も楽しく遊んでいます。 皆が大好きな芝生甲板、柔らかな芝の上に座ったロビンの膝の上にマイメロちゃんが乗り、2人はなにやらきゃっきゃとはしゃいでいました。 そしてそんな2人を、壁際でそこにもたれて座ったウソップが、写生していました。 「ロビン描いてるのか?」 ウソップの隣に、ゾロがやってきて座りました。 「おう。」 生返事をしながら、ウソップは色鉛筆の動きを止めません。 スケッチブックの上には、ロビンの楽しそうな笑顔が広がっています。その先で実物の笑顔があるとはいえ、絵だけでも充分に、見る人の笑みを誘うようでした。 「ロビンもいい笑顔するようになったよな。」 大体描き終えたのか、今度はウソップの方から、ゾロに話しかけてきました。 「以前では想像できなかったような顔で大口開けて笑うし、マイメロと遊んでる時なんかはほんとに幸せいっぱいって感じの可愛い顔するし、……何かすごく、絵心誘われる。」 ウソップはふんわり笑って、満足そうにロビンを眺めていました。 いつもゾロがロビンと仲良くしていると焼き餅を焼くくせに、自分はそんな顔をしてロビンを語るなんて、ちょっとずるいような気もします。 けれどもゾロは、そんなウソップも可愛いなあとにこにこしているので、全く無問題でした。 「マイメロはもういつもいつも可愛いしな。よし、次は2人まとめて描くか。」 ウソップはぺらりとスケッチブックをめくりました。 が。 「なあ、おれも描けよ。」 ゾロがそんなことを云いだしたので、ウソップはびっくりします。 「お前といる時のおれも、幸せな顔してんじゃねえか?ウソップの目に、おれがどんなふうに見えてんのか、描いて見せろよ。」 「な、な、な……。」 なんだかものすごく甘ったるいようなことをささやかれ、ウソップは真っ赤になって、口をぱくぱくさせました。 ゾロがどんなふうにウソップの目に映っているかなんて、そんなもの、とっても恥ずかしくって描けません。 「あ。笑ってんならいいけど、にやついてたりだらしねえ顔してたりしたら困るな。…おいウソップ、おれ、本当にどんな顔してんだ?」 ゾロはゾロで真剣です。 ゾロはウソップが大好きだから、一緒にいれば幸せですけれども、ウソップが可愛すぎるあまりに、鼻の下などが伸びていたら嫌だなあと、ふと心配になったのでした。 「え、そ、そんな、ゾロはいつでもかっこいいけど……。」 顔を間近に寄せられて、ウソップはますます真っ赤です。 深く考えずにそのまま声に出してしまった言葉に、ゾロはにっこりと笑いました。 「そうか。なら、描いてもらっても問題ねえな。」 もうほとんど茹で蛸のようなウソップの頬を撫で、ゾロはゆっくりと顔を近づけていきました。 ウソップも思わず目を伏せ、長い鼻がぶつからないようにと、自分から首を傾けました。 なのに、その筈なのに、鼻の先にちょこんとぶつかる感触があって、ウソップは目を開きます。 ウソップの鼻の先に、ゾロは自分の鼻先をくっつけて笑っていました。 「なあ、今のおれの顔、描けよ。ウソップにキスする寸前の顔なんて、すっげえ幸せそうなんじゃねえか?」 「……ばかっ。」 ゾロの提案に、ウソップは羞恥が限界に達し、恥ずかしがるのを通り越して、思わず怒ってしまいました。 「んなもん、描ける訳ねえだろ! そんな顔されたらキスしたくなっちまって観察なんかできねえし、もし描けても、絵のゾロにキスしたくなって、完成する前にべとべとになっちまうだろうが!」 「………………。」 世にも可愛いウソップの怒りに、ゾロはうっかり感動してしまって、分厚い胸板の下にある心臓を、きゅんっとさせてしまいました。 ウソップがとても可愛くて、心から大好きだと思って、ゾロは目一杯ウソップを抱きすくめます。 うっかり力を込めすぎたのか、ウソップがうめいていますが、むぎゅむぎゅと抱き込んだ体をほんのちょっとだって離したくはありません。 「おれはお前が好きすぎてたまんねえよ。」 熱烈な愛の言葉に、真っ赤になったウソップの唇を、ゾロは今度こそ塞ぎました。 ウソップには顔を傾ける余裕がありませんでしたが、ゾロがちゃんと鼻をよけていたので大丈夫です。 激しい口づけを受けながら、ウソップはゾロの首に両腕を回しました。
「ちゅーしてる。」 「してるわね。」 そして、そんなゾロとウソップを、今度はマイメロちゃんとロビンが、暖かく見つめていました。 「ゾロくんは、本当にウソップくんが大好きね。」 「ええ、とっても嬉しそうね。」 「うん、ゾロくんも、ウソップくんもね。」 マイメロちゃんとロビンは、視線を交わしてにっこりします。 マイメロちゃんはただ素直に、とっても仲良しの2人の様子を喜んでいるだけですけれども。 ロビンの方は、ゾロが何の警戒もなく、彼の大切なウソップといちゃいちゃしている姿を見せてくれるようになったことに、信頼してもらっているのだと感じて幸せに思いました。 ゾロとウソップは、舌を絡ませる濃厚なキスは終わりにしたようですが、またいちゃいちゃと、頬や額や鼻先などに、甘く唇を押しつけ合っては笑っています。 ロビンもマイメロちゃんをだっこして、そのふかふかな体をぎゅっと抱きしめると、可愛らしい、楽しそうな声があがりました。 今日もグランドラインを進むサニー号の上で、ゾロもウソップも、ロビンもマイメロちゃんも、皆みんな、幸せいっぱいの笑顔を浮かべているのでした。
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2009/08/03 |
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