マイメロちゃんがサニー号にいたら 16 

「ゾロくんゾロくん、腹巻入れて。おねがいv」
「あー、いいけどな。」
 マイメロちゃんに可愛くおねがいされて、ゾロはマイメロちゃんをひょいと持ち上げました。
「おれこれから昼寝するけど、いいか?」
「いいよー。そしたらマイメロ、子守唄歌ってあげる。」
「それはいいな。」
 その提案が気に入ったゾロは、マイメロちゃんを腹巻に突っ込みました。
 そして、甲板の日当たりと風通りの良いところを選んで、ひょいと寝っ転がります。
 ゾロの腹巻の中で御機嫌なマイメロちゃんは、ゾロのおなかに頬杖をついて、可愛らしい声で歌い始めました。

「 ねーろてーばよー
  ねーろてーばよー
  めーんたーまひっくりかえして
  ねーろてーばよー ♪ 」

「…………短いな。」
 ゾロは何とか、コメントを絞りだしました。
 目玉をひっくり返して寝ろというのは、白目をむいて寝ろということなのだろうかと、一瞬真剣に悩みます。
「子守唄は、シンプルな方が眠りにつきやすいと思うの。」
 マイメロちゃんはにこにこしながら答えると、ゾロの胸を、ぽん、ぽん、と、ゆったりしたリズムでたたきました。
「ゾロくんが眠るまで、何度も歌ってあげるから、ぐっすり寝てね。」
「おう……。」
 とりあえず、ゾロはいつでもどこでも眠れる人です。
 とにかく寝よう、と、再び始まったマイメロちゃんの歌を聞きながら思ったのですが。
「ヨホホー、素敵な歌声が聞こえるので、気になってきてしまいました。子守唄なのですか?」
 そこに、音楽に目がない、とはいっても目がないのですが、ブルックがやってきました。
「うん、マイメロのおうちに伝わる子守唄なのよ。とってもよく眠れるの。」
「そうなんですかー。とても素晴らしい歌ですね。」
「わーい。」
 マイメロちゃんはころころと声をあげて笑い、ブルックもヨホホホホと楽しげな声で笑います。
 ゾロにはよく判らない感性の世界です。
 一生懸命目をつぶって、ゾロは早く寝てしまおうとしましたが。
「マイメロさん、その素敵な子守唄に、伴奏をつけさせていただいてもよろしいですか?」
 ブルックはバイオリンを構えて、マイメロちゃんに尋ねました。
「わあ、とっても素敵。嬉しいな、ブルックさんありがとー。」
「こちらこそ、マイメロさんの素敵な歌が聞けて、とても嬉しいですよ。」
 では、と、ブルックはバイオリンを弾き始めました。
 何小節かの伴奏の後、ブルックさんがマイメロちゃんに合図を送り、また、可愛らしい声が響き始めます。
 一回終わるごとにちょっと間奏が入って、同じ歌詞の繰り返しに、途中からブルックも一緒に歌い始めました。

「 ねーろてーばよー
  ねーろてーばよー
  めーんたーまひっくりかえして
  ねーろてーばよー ♪ 」

 マイメロちゃんもブルックも、とてもとても楽しそうです。
 明るく朗らかで可愛らしいマイメロちゃんとブルックの歌声が、サニー号に流れます。
 寝れるかよ、と、一瞬思ってしまったゾロでしたが、二人の歌声を聞いているうちに、いつのまにかぐっすり眠っていました。
 ゾロは自分でもびっくりするくらいに、深く気持ちよく眠ったのであります。
 
2009/08/03 






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