|
「あ…っ、は…ぁ、ん……、や、ああっ。」 サンジは忙しなく息を吐き、声を押さえることよりも、体の力を抜く方に懸命に努めていた。 精の香と、油の匂いが入り交じる。 オリーブオイルにまみれたルフィの指は、サンジの秘奥へと差し込まれ、濡れた音を立てて蠢いていた。 三本にまで順に増やされてきた指は、サンジの内襞を押し広げるように撫でながら、念入りに揉み解している。 苦しいような、気持ちいいような、どうしようもない興奮に捕らわれながら、サンジは前のものに集中してしまう熱を逃そうと、小さく腰を揺らしていた。 「痛くねえか…、サンジ?」 「ん…っ、平気、だ。」 サンジは深く息を吐いて答えた。 軽く反った背の反対側、胸の頂点に色づく突起に、ルフィが唇を寄せてくる。 そっと挟まれ、舌に先端をつつかれて、ますます突きだしてしまう胸を、ルフィに優しく吸われた。 唇に含まれた胸も、強酔い腕に抱き寄せられた腰も、指にかき回されている秘奥も、どうしようもなくむずついて、細かい背筋の震えが止まらない。 快楽の震えが、時にほんの一瞬、恐怖の震えとすり替わる。 けれどサンジはそのたびに、大丈夫、入る、と、自分に云い聞かせた。 それでもやっぱり駄目だった、昨日までとはもう違う。ウソップにだってできたのだから、自分にできない筈はないと、自分を鼓舞して奮い立たせる。 見てきたばかりの衝撃的な光景が、サンジを勇気づけてくれていた。 体内をかき混ぜるルフィの三本の指にも慣れてきて、サンジはちらりと、反り返っているルフィのものへ視線を走らせた。 弄られながら、サンジは一度果ててしまっていたが、ルフィの方はサンジを慣らすのに懸命になっていてまだだった。 あれを、と思う。ルフィの指を根元まで含んで締め付けている、サンジのそこに。 サンジは手を伸ばして、オイルの瓶を取った。 「ルフィ。」 呼んで意識を引きながら、サンジは自分の手のひらに、たっぷりと油を垂らす。 その手を、大きく広げた自分の脚の間で蠢いている手に重ね、絡め合わせた。 手の熱に温まった油は、ルフィの指を伝ってサンジの中に流れ込む。 「ん…、は、ああ…っ。」 サンジの中を擦るルフィの指の動きが一層なめらかに、早くなり、ぞくぞくと背筋が震えて、甘い声が洩れた。 前のものもずきずきとうずいて、さわって欲しいと思うけれど、今重要なのはそこではないから我慢だ。 抜き差しされ、中で曲げたり広げたりしているルフィの指を、勝手に収縮する秘肉がぎゅうと食い締める。そのたびにルフィはサンジの肌を吸って宥めようとするけれど、決して、痛いとか怖いとかで、そこが拒んでいる訳ではないのだ。 むしろとても気持ちいい。 そしてそれはルフィにも伝わるのか、ルフィは半信半疑の、けれど期待を存分に込めた目でサンジを見つめ、奥の方を指でえぐって突いてくる。 「は…ぁ、ルフィ、……ふ…、ぅん…っ。」 ルフィの手のひらを撫で、油まみれの指と指の付け根の間に、サンジは自分の指をねじ込ませる。 伸ばした腕に自分のものがぶつかり、つい腰をくねらせてしまいながらも、サンジはルフィの指先と同じところまで、自分の指を伝い滑らせた。 「サンジっ。」 「……んん、く……。」 サンジはぶんぶんと首を振り、圧迫感に詰めてしまった息を慎重に吐く。 「無茶すんな。」 「無茶じゃねえ……。」 ルフィの指と同じところ、サンジの中に押し込んだ、サンジの指。 ルフィの指と自分の粘膜に包まれる。 自分の指を入れることさえ、怖くてできずにいたけれど、きっともう大丈夫だ。 ルフィの指の間から、そっと、中にふれてみる。熱くて蠢いているこの箇所で、ルフィが気持ちよくなってくれたらいい。 「ああもう…っ、サンジっ。」 ルフィがサンジの指ごと、秘奥に飲み込ませていた指を引き抜いた。 圧迫感と拡張感が消えて、体の力が少し抜ける。開かれていた箇所が閉じて、どうしてもほっとしてしまうが、それと同時に何か物足りなさも感じてしまう。 見上げるサンジの脚の間に、ルフィが深く腰を割り込ませてきた。 「も、我慢できねえよ、サンジ。……入れていいか。」 鼻がぶつかりそうなほどに顔が近づき、押し出すように低くささやかれる声にぞくぞくした。 「てめえのもんにも、オイル塗っとけ。」 「あ、うん、はい。」 たちまちにあたふたと、指示に従うルフィに、自然に笑みが零れる。 べったりと油を塗り込められたものが、サンジのそこに押しつけられた。 「んで、いいか、サンジ。」 ルフィは改めて、そう聞いてきた。 いちいち聞かなくてもいいのに。むしろ、サンジが怖がっても構わずに入れてくれてしまえばいいのにと何度も願い、それを実際に口に出したこともあった。 けれどルフィは、やだ、の一言で却下だ。いつもは強引で、強引すぎるこの男は、サンジのことだけは強引に奪ってくれない。 サンジが身も心も明け渡すのを、我慢強く見つめ、待っている。 「……来い、ルフィ。」 サンジはルフィに両腕を伸ばし、首に巻き付けて、引いた。 ルフィの熱が、サンジのそこに強く押しつけられる。 充分に慣らされたけれど、指とは違う圧迫感に、一瞬だけひるんだ。 ――――大丈夫。おれにだってできる。 サンジはまた、心の中でそれを唱える。 ウソップにだってできたのだから、と。それに。 ウソップみたいに。サンジだって、ルフィで一杯に満たされたい。あんなふうに、ルフィで埋め尽くされたい。 ルフィが、欲しい。 「は…っ、あ、んんっ…。」 ゆっくりとルフィのものが入ってくる。 熱くて苦しくて、どきどきしすぎる心臓が痛い。 ルフィで一杯に押し広げられていく。 「……サンジ、入った…。」 「ああ…。」 ぎゅっと抱きしめられ、サンジはルフィの後頭部を、指先だけでそっと撫でた。 「平気、か?」 「おう。……ルフィ、は…?」 何故か互いに声をひそめて、ほとんど吐息だけで尋ね合う。 「すげえ…、きもちいい。サンジの中、すげえいい。」 ルフィは熱い息をゆっくり吐いて、答えてくれた。 拙い言葉がかえって嬉しい。素直にルフィの気持ちが届いてくる。 抱き合った体からだけではなく、サンジの中にも、ルフィの強い鼓動を感じた。 頬を染め上げ、汗を浮かべて、潤んだ瞳で一心にサンジを見つめている。そんなルフィの表情に、サンジはたまらなくぞくぞくする。 「大好きだ、サンジ。」 ルフィが笑った。 サンジは一瞬息を止め、それから、全身が一気に熱くなる。 心の奥からこみ上げてくるのは喜びだ。 「おれも…っ、ルフィが、クソすげえ好き。」 サンジも精一杯、気持ちを告げる。 ルフィを飲み込んだ箇所はじんじんうずくし、擦りつけった肌は油でぬるぬるする。初心者のルフィはこういう時の体重の逃し方を知らないらしく、遠慮なく乗っかってこられて苦しい。 正直、お世辞にもいい状況とは云い難い筈なのに。 その何もかもが、ようやく深くまでルフィと繋がれた証のように思えて、サンジはとても、気持ちいいと思った。
「ってことなんだよ。あーもー照れるじゃねえかこのやろう!」 サンジは幸せそうに話を締めくくり、ウソップの背中をばんばんたたいた。 その間にも朝食の支度をせわしなく続け、ウソップもその手伝いをやらされている訳なのだが。 「まあとにかくな。おまえのおかげだよ、ウソップ。いいもん見せてくれてありがとな。」 「いや……、えーと……、お粗末様でした。」 満面の笑顔のサンジに、ウソップは何と答えればいいのか判らず、結果、自分でもつっこみたくなるような変な答えをしてしまう。 「へへー。おまえ、これから色々、おれの相談に乗れよな。おれも、知ってることは何でも教えてやるからな。持つべきものは親友だよな!」 サンジはますます御機嫌だ。金色の髪が朝の光を弾いてますますきらきら、けれどそれだけでなく、目も肌も、内側から輝いているようにすら思える。 さすがに腰が重いのか、足取りはいつもよりも少々重たげではあるが、爪先はリズムを刻むように細かく動いている。 「お、おう! キャプテン・ウソップ様に任せたまえ!」 そしてウソップは、サンジに親友と云われたことが嬉しくて、ついそう答えてしまった。 とりあえず、サンジは本気でウソップに感謝しているようだし、ルフィとのこともびっくりはしたが、肉体的にもちゃんと結ばれて嬉しいと、そんな気持ちはばんばん伝わってくるのだし。 「よーし、次は、おまえみたいに後ろだけでいけるようになるのが目標だな。あれすごかったよなー。やり方教えろよ、ウソップ。」 「ぎゃー!」 しかしその後、すっかり信頼されきってしまったウソップは、やたらとやる気に満ちあふれたサンジに相談と云う名の猥談を盛大に持ち込まれ、真っ最中を見られてしまったのとどちらがましなのだろうかという羞恥に、散々さらされることになるのだった。
|
2009/10/07 |
|