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翌日。 ウソップの機嫌はもちろん直っている筈もなく、それより何より、サンジにどんな顔を合わせればいいのかと、体は疲れきっているのに、心配であんまり眠れなかった。 そして、他の人のいないうちに話した方がまだマシかと、朝食の支度で早起きのサンジを待つことにした。 夕べウソップは、男部屋には戻れなかったのだ。 しかしいつもなら起きているだろう時間になってもなかなかサンジは訪れず、変な物を見たせいで、眠れなかったとかだったらどうしようと、半泣きになった頃ようやく、サンジが姿を現した。 「ウソップ!」 ばたばたと駆け込んできたサンジは、ウソップの姿を見て、大きな声をあげる。 思わずウソップは、身をすくめてしまった。 「ありがとう!」 けれど次の瞬間、サンジにがばっと抱きつかれ、何が起きたのか真剣に判らず、目を白黒させた。 しかも率直な感謝の言葉付きだ。 「え、あ、あの、サンジくん…?」 「お前のおかげで、やっとルフィと最後まで出来た。ほんとに、ありがとな。」 サンジは頬をピンク色に染め、はにかんだ笑顔をウソップにむけた。 「……って、え?は?あ?え?な、何?」 意味が判ったような判らないような。実は一瞬で色々と悟ってしまったような気がするけれども、でもやっぱり何それ一体なに、と。 うろたえまくるウソップに、サンジは幸せいっぱいの笑顔で、勝手に喋り始めた。
実は、サンジはルフィとこっそり付き合っていた。 ウソップとゾロのように皆に公表していなかったのは、ナミやロビンを悲しませたくなかったのと、船長であるルフィが特別な相手を作っていいのだろうかと思ったのと、単純に恥ずかしかったのと、――――そして何より、まだ肉体的に最後まで結ばれていなかったことにルフィへの罪悪感と劣等感を覚えてしまっていたからだった。 気持ちを告げあってすぐ、互いの体にふれあった。 ルフィは熱っぽい視線でサンジを見つめてくれていたし、サンジもルフィととてもしたかった。夢にも見たしおかずにもしていたし、心を結ぶと同時にルフィの体も欲しいと思った しかし。 口づけて、体を擦り合わせて、重ねた手の中で互いに果てて。 そしていざその先を――――というところで、サンジは怖くなってしまったのだ。 だって、あんなところにあんなものを入れるのだ。サンジは真剣に怖気づいた。 世の中には後ろを好むレディだっているようだし、男同士で入れたければそこに入れるしかないのだし、そういうことをしている人は、世の中にはたくさんいる筈なのだが。 頭では判っていたが、いざとなった時、サンジの体は恐怖を隠しきれずにルフィを拒んでしまった。 ルフィは無理強いしなかったし、その手前まででも十分幸せそうにしていたし、サンジを大切にいとおしんでくれたのだが。 受け入れられなかったことにうろたえ、悲しくなってしまったのはサンジの方だった。 こんなにルフィが好きなのに、どうして怖いのだろう。でもやっぱりあんなところにあんなものが。サンジの手や口に感じて、白濁を吐き出してくれるルフィのそれはとてもいとおしく思えるのに、でもやっぱりあんなところに入るのだろうか。 頼んで、毎回ルフィに弄ってもらって、ルフィの指なら何とか入れられるようになったけれど。一人で訓練しようと思っても、やはり怖くなってしまって自分の指だと入れられない。あまりにサンジが一人で悩んでいたので、それを見かねたルフィが、入れなくてもいいじゃないかとか、いっそ逆にするか?とかまで云ってくれたが、でもそれは駄目だ。 サンジはルフィにマウントを取る気はないし、ルフィのあんなところにあんなものを入れるなんてひどいこと、サンジにはできない。だったら自分が百万歩でも譲るし、サンジはルフィと体の全てで重なりたい。 でもやっぱり、あんなところにあんなものが。 そんな葛藤を繰り返していたある日、サンジは、ゾロとウソップの真っ最中の場に、踏み込んでしまったのだった。
――――ゾロのものは、ちゃんと、ウソップのそこに入ってた。 とにかくそれが衝撃だった。 サンジはレディのエロ本はあまり激しくないものの方が好きだったし、男同士の雑誌など気持ち悪くてみたくもない。ので、映像として、あんなところにあんなものが入っているのを見るのは、これが初めてだったのだ。 しかもゾロのものは、ルフィのものよりでかかった。 いや、ゾロはルフィより二歳も年上なのだし、ルフィはまだまだ成長期なのだから、これからもっともっと育って、ゾロを追い抜く可能性は充分にあるのだが。 それはともかく、入ってる。ウソップのあんなところに、ゾロのこんなものが入ってる。 珍しくゾロが気を利かせてくれたので、サンジはありがたく、間近でまじまじと見学させてもらった。 細っこさは同じくらいだが、サンジより鍛えてない筈のウソップが、しっかりとそこでゾロのものを飲みこんでいる。 質問させてもらえば、切れてもいないし、むしろ喜んでいるのだと云われた。半信半疑だったが、実際にその通りで、ウソップはゾロに前のものをさわられないままで絶頂に達した。 ものすごくびっくりしてしまったので、ウソップの出したのが自分の腕にかかったのを、汚がることさえ忘れていた。 だって、とっても、すごかった。 そして、サンジは思ったのだ。 ウソップにできるのだから、おれにだってできる!と。 自分よりウソップの方が怖がりだし、苦痛にだって弱いし、歳だって下なのに、ウソップはちゃんとゾロのものを入れていた。 何より、実際にそういうことができるのだということを、自分の目で確かめたのは大きかった。 ――――大丈夫。ウソップにできるんだから、おれにできねえ筈はねえ!!! サンジは、一人で激しく盛り上がり、勢い込んだのだ。 サンジは風呂から出ると、着替えもそこそこに男部屋にダッシュした。 そしてボンクで寝ているルフィをかけていた毛布ごと抱えあげ、キッチンへと走った。 そのついでにオリーブオイルの瓶を一本取り、食料庫に駆け込む。 「お、おい、サンジ……、どうした…?」 むにゃむにゃと、半分だけ起きたような状態で不思議そうに聞いてくるルフィを床にそっと下ろし、サンジは勢いよく告げた。 「ルフィ、やるぞ。」 「……何くれんだ?」 「おれをやる。」 やるの意味を違って取られたが、最終的には同じことだ。 まだぼーとしているルフィに、サンジは唇を押しつけた。 そのまますぐに舌を伸ばし、ルフィの口内を貪るように舐め回す。 激しく口づけ、遠慮なく舌を吸って、唇を離すと、ルフィは息を切らしながら、サンジをまっすぐに見つめた。 瞳が潤んでいるのは、寝起きのせいだけではもうないだろう。 「すんなら…、云っといてくれたら、寝ねえで待ってたのに…。」 ルフィはサンジの頬に唇を押しつけてきながら、低くささやく。 「いきなりその気になったんだよ。……おい、今日は、最後までするぞ。」 頬じゃなくて唇にキスが欲しくて、ルフィの顔を引き向かせ、軽く擦り合わせながらささやいた。 それと同時に、ルフィの腹を撫でおろし、ズボンのボタンに指をかけた。 「ん…、無理すんなよ、サンジ。」 何度も宣言しては挫折していたから、ルフィは軽く流そうとする。 「大丈夫だ。な…、今日は、自信あるんだよ。だから、ちゃんとしたいんだ。」 けれど今夜は違うのだ。 どうして自信があるのかまでは云わなかったが、ルフィはサンジの目を不思議そうに覗き込んできて、それから、うん、とうなずいた。 「好きだぞ、サンジ。」 「ああ、……おれも、好きだ。」 照れくさくなりながらもサンジは答えて、ルフィの服の中に直接指を潜り込ませた。
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2009/10/06 |
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