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「な、ゾロ。鏡見ねえの。せっかく置いたのに。」 優しすぎるくらいにそっと、ゾロのものを握ったり離したりしながら、サンジがささやく。 乳首の方も、表面をくすぐるように淡く撫でられ、痛いくらいにひっぱられたいと、そんな願いをこみ上げさせずにはいられない。 甘えているようでも、どこか脅迫されているようでもあるささやきに、ゾロは震える視線を前に向けた。 体を前傾させているために自分の顔ばかりが近くにあって、その後ろでは、サンジも快楽に浮かされたような、蕩けた笑みを浮かべていた。 「あ……。」 また、ゾロの胸が高鳴り、ついでにサンジを包み込んだ秘奥も締まる。 粘膜が感じ取る硬さに、ゾロの内腿が激しく震えた。 「んっ。」 締めつけられたサンジも、短く声を上げ、切なげに眉を寄せる。 その表情にゾロの胸がたまらなく締め付けられ、甘いような切ないような気持ちになった。 「……ゾロ、おまえ、ほんとにおればっかり見てるねえ……。」 ゾロが懸命に鏡に映るサンジの顔を見ているように、サンジもずっと、ゾロを見つめてくれている。 嬉しそうな、困ったようなささやきに、ゾロは大きくうなずいた。 可愛いサンジを、ゾロはずっと見ていたい。 どれだけ見ていても、胸のときめきが止まらないし、もっともっと見たいと思う。 それが何でなのかは決まっている。 「惚れてんだ……、好きだっ。」 だから仕方ないのだ、と。 ゾロは全力で、それを主張した。決してサンジの顔にだけ惚れているのではなく、顔も可愛いけれど、中身も可愛くて大好きなのだと、ちゃんと伝えておきたかった。 「……ありがとう、ゾロ。おれも、ゾロが大好きだよ。」 そして、はにかんで微笑むサンジは、胸がいっぱいになるほど可愛くて、ゾロの表情も自然に緩んだ。 「大好き。」 「あああっ。」 ぎゅ、と、サンジの手に力がこもる。 幸せに気が反れたところに、鋭い快感が駆け抜け、ゾロは叫ぶような嬌声をあげてしまった。 サンジはそのままゾロのものを扱き上げ、乳首をこねて弾いて、手のひらで胸筋を揉み込んだりもしてくる。 ゾロのものはたらたらと蜜を零し続けていて、その小さな穴を擦られると、息が詰まって、涙が零れてくる。 腰ががくがくと揺れ、大きく体が揺らぐけれど、ゾロは必死に腕を敷布に突っ張り、脚もどうにか置ける場所を探して、夢中で腰を動かした。 サンジの愛撫と突き上げてくれる動きが、ゾロの快感を加速する。 「あ、コック、コック、……いく、も、出るっ……、なあ、てめえも、……あああっ。」 強い絶頂感がこみ上げ、ゾロは必死に、サンジに訴えた。 今度こそ一緒に達したいから、懸命に我慢して、けれどもサンジに尻を擦り付けて、もっとと快感を求めずにいられない。 「うん…っ、いいよ、ゾロ、おれも、いくから……、一緒に、ね。」 サンジはゾロをぎゅうと抱きしめ、ゾロのものを扱く手の動きを早くした。 サンジの手の動きに合わせ、ゾロは夢中で腰を上下させる。 「ゾロ、ゾロ、……好き。いく…っ。」 サンジはゾロの背に顔を擦り付け、甘い声をあげた。 ゾロの奥深くに、サンジの熱がたたきつけられる。 「あああ…っ。 それに弾かれるように、ゾロも、全身を震わせて、絶頂に達した。
サンジの上から下ろされ、ゾロは快感の余韻にぼうっとしたまま、敷布に寝かされた。 その上に、サンジが甘えるように身を寄せてくる。 鼓動の激しい左の胸と胸をくっつけて、サンジは汗の浮いた顔のまま、ふんわり笑ってゾロの頬を撫でた。 可愛い……と、まだ思考の戻らない頭のままゾロは思い、サンジのキスを、目を開けたまま受けた。 サンジは何度もちゅぱちゅぱとゾロの唇を吸って、口の回りを舐め回してくる。 小刻みなキスなのは、まだ互いの息が整わないからだけれど、あんまりその口づけが甘ったるいから、頭の芯がしびれたようになって、ゾロはいつまでもぼんやりとしたままでいた。 「好き。大好き、ゾロ。」 キスの合間の甘ったるいささやきが、ますますゾロの酩酊を誘う。 なので、肌を撫で回すサンジの手の動きにもすっかり蕩けきっていて、快感がさしせまってくるまで、後戯ではないことに気がつかないでいた。 「コック…!」 本格的な愛撫だと気付いて焦ったゾロに、しかしサンジは、にっこりと笑った。 「なあに?」 拒否されるなんて夢にも思っていないだろう、満面の笑みだった。 ゾロの心臓が、どっきん、と大きく鳴る。 今のはきっと、サンジにも聞こえたに違いないと思うくらい、盛大な音だった。 そのくらい、かわいかった。 「……なんでもねえ。」 ゾロはサンジの頬に手を伸ばし、なめらかな、薄桃色に染まった肌をそっと撫でる。 そのまま軽く引くと、サンジはまた顔を寄せてきた。 重なる唇は、笑みの形に弧を描いたままだ。 ゾロは、まあいいか、という気持ちでいっぱいになった。 サンジはとても楽しそうだし、それにゾロも、脚の付け根を思わせぶりに揉まれて、今更静めるのはちょっと大変なような感じのことになってきている。 ゾロもサンジの唇を何度もついばんでいると、腿の内側に滑った手に、軽く脚を引かれた。 素直に膝を開くと、その間にサンジが体を入れてくる。 サンジはゾロの胸に頭を乗せて、すりすりと頬を擦りつけてきた。 その頬が、ゾロの乳首を擦って、わざとなのかたまたまなのか、どっちにしろ、ゾロはむずむずと腰をもじつかせてしまう。 汗ばんだ肌にくっつく、金髪の感触にも落ち着かなくさせられる。 けれどもサンジの笑顔がとてもとても可愛かったので、ゾロは黙って丸い頭を撫でた。 ぎゅうっと、サンジに抱きしめられる。 「ゾロ、かわいー。」 「………………。」 だから可愛いのはてめえだ、と、ゾロは思ったのだが云わなかった。 サンジが乳首に吸いついてきたせいもあるし、その笑顔があんまりにも可愛すぎたので、否定するのがはばかられたからだった。 本当に、どうしてサンジはこんなに可愛いのだろうか。 緩んでしまう表情も、高鳴る胸の鼓動も、ゾロは全く抑えられないのだった。
その後、サンジはますます可愛い。 ゾロは今日も、サンジを見るたびに胸をきゅんきゅんさせている。 肌を重ねたら少しは落ち着くかとも思っていたのだが、むしろサンジの可愛さが増してしまったので、ゾロの心臓は落ち着く暇がなかった。 「なーあ、ゾロ。洗濯手伝って。」 修行の時間中はそっとしておいてくれるが、それ以外の空いた時間など、サンジはやたらとゾロに甘えてくるようになった。 「めんどくせえ……。」 「ゾーロ。おねがい。」 にっこり。 可愛い笑顔でおねだりされると、ゾロはそれに逆らえない。 他にも、掃除やら荷物運びやら、サンジは今まで自分一人でしていたようなことさえ、あれこれゾロにさせようとしてくる。 一応ゾロにも、サンジにこきつかわれている自覚はあった。 「……てめえな。可愛いからって、いい気になるなよ。」 なので、一度はきちんと釘を刺しておかなくてはならないと思って、びしっと云ってやったこともあるのだが。 「なってねえよ。それより、ありがとうな、ゾロ。すげえ助かった。」 にっこり。 これまた可愛い笑顔で労われれば、簡単に報われてしまうゾロだった。 笑顔が見れたし、作業中は一緒にいれたしで、サンジが喜んでくれるならまあいいかという気分になってしまう。 それで更に御褒美のキスでもあれば、完全に御機嫌だ。 時々、やたらと口悪くつっかかってくることもあるが、それはそれで今まで通りだし、それはそれでまた別の可愛さがない訳でもない。 なのでゾロは、そういう時のサンジは喧嘩がしたいのだと理解して、遠慮なくやりあっている。 ゾロもサンジと喧嘩をするのは嫌いではない。深刻な感情のこじれた喧嘩は嫌だが、激しいじゃれあい程度の喧嘩なら、望むところである。……とりあえず、フランキーとウソップに船を壊すなと怒られるのは聞こえないふりをしておく。 「なあ。……好き。」 それにその後、特にする必要もない仲直りをする時のサンジもとてもとても可愛くて、拗ねたように呟いてくっついて来られると、ゾロの心臓は相変わらず跳ねあがるのだ。 「おれも、好きだ。コック。」 だからゾロも、そんな時は素直に告げる。 あふれるいとしさのままサンジを抱きしめ、そして、可愛い可愛いサンジに、たくさん可愛がってもらったりして、ゾロは心から、幸福を感じたりするのだった。
ゾロのサンジは今日も可愛い。
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2010/11/26 |
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