ときめき胸いっぱい 10 

「…………。」
 自分の姿に、ゾロは絶句する。
 サンジを見ることばかりに一生懸命になっていて、自分がどんなことになっているのかまで気にする余裕は全くなかった。
 しかしこうして鏡に何もかもを映し出されている自分の姿を見てしまい、ゾロは一瞬、思考をとばしてしまった。
 快楽に緩んだ表情には締まりのかけらもなく、目を潤ませ、閉じられない唇の端からはよだれが垂れているほどだ。だらしなく開いた脚の間でも、充血し、張りつめた自身が、だらだらといやらしい蜜を垂れ流し続けている。
 ゾロは、ものすごい羞恥と、こんな自分を見てサンジが萎えてしまわないかという激しい焦りに襲われた。
 動揺のあまり、肩の後ろに映る、幸せそうなサンジの表情に注目する余裕もなかった。
「かわいいよ、ゾロ。」
 耳の後ろに口づけられ、ゾロははっと気づくと、ぶんぶんと首を振って否定した。
 こんなみっともない姿、しかしゾロの肩越しに見えるサンジは、顔の上半分くらいしか見えないけれど、とても優しい目をしていた。
 羞恥に震えるしかできないゾロの腹に、サンジの指が這い、快感に引き戻される。
 サンジの指は、腹に付きそうになっているゾロのものを避けて下り、べったりと濡れた下生えを丁寧に撫でつけた。
 筋が浮くほど開いた脚の奥、双臀の狭間には、ゾロの中に深く埋め込まれたサンジのものの根元が、見え隠れしてさえいる。
 ゾロの視線に気づいたのか、サンジの指は脚の付け根をくすぐり、双球を揉みながら持ち上げて結合箇所を見せつけ、ゾロの羞恥を煽った。
 脈打つ先端から、透明な蜜が糸を引くように滴り落ちる。
 秘奥の収縮も止まらず、ゾロの内部は、動いてくれないサンジをとがめるように、快感を求めて蠢動を続けていた。
「おれはまだ、なんだけどね。可愛いから、いかせてあげる。」
 もったいを付けて予告して、サンジの指がゾロのものに絡んだ。
「ひ…っ、あ、あ……。」
 優しく撫でる指付きだけでも、全身が快感でいっぱいになっているゾロには、おかしくなりそうなほどの刺激だった。
 ゾロは鏡に映るサンジの指から目が離せない。
 サンジの指はゆるやかにゾロのものを撫で上げ、張り出した部分を優しくなぞり、先端に絡みつく。手のひらで砲身をさすりながら、零れでる蜜の口をふさぐように小さな穴に指を当て、小刻みに震わせた。
「あ、あ、あ……。」
 サンジが下からゾロを緩く突き上げるたびに、ベッドのスプリングがぎしぎしと鳴る。
 ゾロは涙を流しながらも、サンジの巧妙に動く指から目が離せなくなっていた。
 せわしなく荒い息を吐くたびに、上擦り乱れた声が、必ず一緒に出てしまう。
 そこにばかり、ゾロの意識も視線も集中しきっていたから、サンジのもう一方の手が、胸元に伸びてきていたのに気づく筈もなかった。
「あ、あああああっ!」
 ぎゅう、と、乳首を痛いほどにつままれた瞬間、ゾロは電流に打たれたような衝撃に叫び、絶頂に達していた。
「や、あ、あああ……。」
 白濁を飛ばすゾロのものから手を離し、サンジはゾロの片脚の膝の裏に手を入れ、大きく揺らす。
 ゾロの尻をサンジに擦りつけるように動かされ、中にあるものの位置がずれて、ゾロはたまらずに涙を零す。
 ゾロが達している間も、サンジはずっとゾロの体を揺すっていて、放ち終えて脱力しても、まだゆっくりと揺らされていた。
「やめ……、も、よせ…。」
「だめだよ、おれまだいってないもん。」
 ぐったりとサンジにもたれかかり、弱々しく首を振るゾロに、サンジはしかしきっぱりと云う。
 ゾロの中にあるサンジのものはますます硬く熱く、だからゾロも、ささやかな拒否しかできない。
「すげーな、ゾロ。こんな、上の方まで飛んでる。」
 サンジはゾロを揺らしながら、鎖骨のあたりを指で拭った。
 気まずくてゾロは目をそらす。サンジは指に乗せた白濁を、ゾロの乳首に塗り付けた。
「かーわい。ほら、ゾロも見ろよ。こりこりになったやらしい乳首に、てめえがたっぷり出した精液。赤と白で綺麗だぜ。」
 耳朶を舐めしゃぶりながら、サンジは意地悪くささやいた。
「くそ…っ、そんな云い方すんな…っ。」
 かき立てられる羞恥に、ゾロの秘奥はひくひくとサンジのものを食い締める。
 達したことでまた過敏になった秘肉は、サンジのものの脈動にさえ感じ、もっと大きく中を擦って欲しいと、そんな望みをゾロの胸に沸かせる。
 そして、激しい鼓動の胸の突端に、自らの淫らな液を塗られ、薄い皮膚を刺激されては、ゾロのものは萎える間も貰えないほどだった。
 完全に性感帯になってしまったらしい乳首は、白濁を塗り込めるように撫でるサンジの指にうずきを高め、ずきずきとそんなところまでが脈打っているような気にさえなる。
 指の間に挟まれて、揺らされたり引っ張られたり、埋め込むようにぎゅうと押しつぶされたりして、そのたびにゾロは、全身で反応をしてしまった。
「えーと、じゃあ、ゾロの可愛いピンクの乳首さんに、ゾロの新鮮ミルクの白が調和して、とっても綺麗でかわいいですね。」
「……可愛く云えばいいと思うな!」 
 わざわざ云い直すサンジに、ゾロは思わず怒鳴らずにはいられなかったが、ようやく見られたサンジのにこにこ笑顔に、ずっきんと激しく胸が高鳴り、快楽だけではなく腰が抜けそうになった。
「えー、ゾロは、可愛いおれが好きなんだろ?」
 どうやらまた可愛いモードに戻ったらしいサンジにゾロはほっとし、けれども愛らしい笑顔に胸の鼓動は少しも静まらない。
 笑顔は可愛いのに、乳首を弾き、撫で転がす指の動きが凶悪にいやらしいから、ゾロはたまらなく感じてしまって、びくびくと腰を跳ね上げてしまうのだ。
 増すばかりの体の熱に、ゾロはもじもじと体をくねらせた。
「かっこいいおれにも、そのうち夢中にさせてやるから。」
 サンジはそう呟いて、ゾロの両膝の裏から、ぐっと脚を持ち上げた。
「んあっ、あ、ああっ、コック…っ。」
「次は、おれね。」
 ゾロが聞き返す前に、サンジは大きく、ゾロの体を揺さぶり始めた。
 持ち上げては落とされ、時に引きつけられて腰を回され、また上下に揺さぶられる。
 サンジは脚力にばかり注目されがちだが、料理人の腕力は侮れない。しかしやはり体勢のせいもあるのか、先刻のあの、何とか云うすごい場所にサンジのものが当たらず、ゾロは気持ちいいのと同じくらい、もどかしさを感じてきた。
 ゾロはじたばた腕を振り回し、体を前傾させて、両手をベッドにつくことに成功する。
「どしたの、ゾロ……。」
 背中にサンジの荒い息がかかる。
 ゾロはその感触にも身を震わせながら、快感に力の抜けそうな腕に懸命に力を込めた。
 脚はサンジに持ち上げられているから、ゾロは鍛え上げた腕力を頼りに、自分で体を持ち上げる。
 力を抜いて落として、腰を揺すって、いい位置を探しながら、ゾロは自らサンジの上で、腰を使い始めた。
「う…わ、ゾロすごい、…っん、おまえ最高。」
 サンジもすぐにゾロの動きに気づいて、嬉しそうな声を上げる。
 サンジが喜んでいると思うとちょっとゾロも嬉しくて、でも今は、体内から生まれる快感に目がくらんでいた。
「んあ、あ、は、ああ……っ。」
「綺麗な背中。好きだよ。」
 サンジの唇が、ゾロの背に這う。
 唇に撫でられて全身が細かく震え、舐めあげられて、背筋に戦慄が走る。
「ね、ゾロ……。背中のキスマークは、剣士の、なぁに……?」
「知るか、ばかっ!」
 小刻みに、背を吸われる。痕がつくような強さではなく、ついばむように、何度も軽くだ。
「つけていいのかって聞いてるのー。」
「ああっ、は……、つけたきゃ、つけろ…っ。」
 返事の代わりに、肩胛骨の下当たりを強く吸われ、ゾロは激しく背をのけぞらせた。
 凝縮したような快感が前のものに集まり、しびれるように熱くなる。
 ふれられないまま、そこは新たに蜜を垂れ流し、それを当たりに振り飛ばすように、ゾロは夢中で腰を使った。
「ああっ、ん、あ、あぁんっ。」
 サンジも持ち上げたゾロの脚を揺すったり、ゾロが腰を落とした瞬間をねらって、強く腰を突き上げてきたりした。
「んんっ、…は、ゾロ…っ。」
 サンジも絶頂が近くなってきたのか、焦らさずにゾロのいいところを擦ってくれるようになってきた。
 そのたびに強い快感がゾロの全身に広がり、体内を駆け巡って一ヶ所に蓄積される。
「ゾロ、さわってやるから、自分で動いてて。」
 そう云って、サンジの両手がゾロの脚を離した。
「あ……。」
 抽挿が自分だけの動きになり、ゾロの口から不満の声が勝手に洩れる。
「んんっ、ん、ん、ああっ。」
 しかしサンジの手はゾロの腿から脇腹を撫で上げ、肌から走る快感に、ゾロは嬌声をあげた。
 肩や腕を撫でられると、気持ちの良さに力が抜けそうになるが、体内を擦る快楽が減るのがいやで、ゾロは懸命に腕に力を込める。
 サンジの手はゾロの肌を撫で回し、最終的に、片手は胸に、そしてもう一方の手は、今にも弾けそうなゾロのものに伸びてきた。
 
2010/11/24 






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