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ゾロとのキスが嬉しい。 舌を絡め合うのも、汗ばんだ素肌がぴったりとくっつくのも、何もかも全部嬉しい。 貪るように口づけられて、全身の意識がゾロに向かう。 ゾロも夢中になっているのだと、伝わってきて嬉しい。 ひたすらに舌を伸ばし、ゾロの口の中で、衝動に任せて暴れさせる。 ゾロもウソップの舌の動きに応え、何度でも絡め合わせる。 「……んん、あ、んくぅ……。」 酸素が足りなくなってうめくと、口づけが途切れた。 ゾロも大きく肩を上下し、息を切らしている。 今までは、そんなことはなかった。 そもそも体力も何もかも全然違う筈なのに、ゾロが今そんな様子であることが、新しく変わった関係の証明であるのだろう。 「あ…ぁ、ゾロ、ゾロ…、ゾロっ。」 ウソップの中でゾロのものは、硬く張りつめて脈打っている。 ゾロの動きが強くなって、ウソップは懸命に、彼の首にしがみついた。 突き上げられる動きに合わせ、ゾロの腹に自分のものを擦りつけるようにして、ウソップも腰を揺らす。 「ウソップ、…好きだ、ウソップ。」 ゾロは何度も呼び返し、よだれに塗れたウソップの唇を舐めた。 「ゾロっ、あうっ、……んんっ。」
おれも、と告げたいのに、また唇がふさがれる。 押しつけながら擦りつけられ、離されるとまた、突き上げが大きくなった。 ゾロは少し体を起こして、互いの間に腕を入れてくる。 「んああっ。」 張り詰めたものを握られ、扱かれて、ウソップは悲鳴のような声を上げてしまった。 たまらずに身を捩り、ゾロのものを締め付けてしまって、また悶える。 けれど体はうねり、反り返っても、ウソップの腕はゾロに必死にしがみついたままだ。 「ウソップ。…ウソップ、いいか…?」 ゾロのささやきに、ウソップは必死にうなずいた。 気持ちいいかと聞かれたのか、ゾロが果てることを望んでいるのか、実際のところは良く判らない。 けれど、気持ちいいのも、ゾロに気持ち良くなって欲しいのも、一緒に終わりたいと思うのも、どれも確かなことだから。 ウソップは何度もうなずき、しがみついたゾロの頭を、ぐしゃぐしゃにかき乱す。 揺らされ、突き上げられるたびに、脳裏にゾロのことばかりが焼きつけられて行く。 「んんっ、ああっ、ゾロっ。…やああっ。」 秘肉をきつく擦られ、ウソップのものを扱くゾロの親指が、先端をぐりっとこねた。 快楽の強さに身を捩ったウソップの内部で、秘肉がゾロのものを食い閉めたが、その締め付けを振り切るようにしてゾロのものが引き抜かれ、狭まった中をまた貫く。 「ウソップ…っ。」 しがみついたゾロの背が、大きく震えた。 切羽詰まったような、艶を帯びたゾロの声に名を呼ばれ、ウソップのものもそれと同時に目一杯に扱かれる。 「あああぁっ。」 ウソップはゾロの背にしがみつき、快楽の頂点へと駆け昇る。 息が詰まる程に抱きしめられ、震えながら欲を吐き出すウソップの中にも、熱い奔流が叩きつけられた。 全てを放ち終えても、ゾロの首に絡みついた腕は外れず、ウソップを抱きしめている腕も、なかなか緩もうとしなかった。
「起きたか。」 一度では足りなかったらしいゾロに強引に二度目を挑まれ、ウソップは果ててそのまま、意識を飛ばしてしまったようだった。
「……おれ、寝てた?」 「ほんの少しだから、気にするな。」 結合は解かれていたが、まだ全身べたべただし、心臓も苦しいままだ。 いや、ゾロに優しく抱きしめられていたりなんかするので、これはまた新たなどきどきかもしれないが。 ゾロはウソップを気遣ってくれているのか、膝の上にだっこして、髪を撫でてくれたりしながら、頬や目元に何度も軽く唇を押し当ててくる。 いい感じにラブラブっぽいなあと、ウソップは幸せな気分になったりしたが、長い鼻の先端を舐めたり、横にくわえたりするのはできればやめていただきたいところである。 ウソップが落ち着いてきたのを見てか、ゾロの唇が、ウソップの唇へと重なってきた。 押しつけて離れて、またふれては擦りつけられる。 どうやらゾロは相当ウソップの唇がお気に入りのようだが、舌を入れてはこなかったので、もうそれ以上の行為は慎んでくれるのだろう。 ……っていうか、何でこんな時間からやってるんだろうと、我に返ると色々と突っ込みどころが満載だが、それ以上に嬉しい気持ちが強かったので、ウソップはそのことについてゾロに文句を云うのはやめておいた。 それに、他にもっと、ゾロに云いたいことがある。 「ゾロ。」 ウソップはゾロの首に腕を伸ばして、自分からもちゅっと口づけた。 「大好き。」 行為の最中は結局云えないままだったので、大、をつけて告白した。 ゾロももうウソップを好きと云ってくれているから、だから、堂々と。 終わりにしたいとゾロに告げた時の、悲しみも苦しみももうない。 両想いになれたなんて夢のようだが、体のだるさがこれは真実だと教えてくれている。 「……ゾロ?」 ウソップの告白の返事は、ゾロからの再度のささやきと甘いキスのセットがいいなあと、内心で欲張って待っていたのだが、何故かゾロが固まってしまっていたので、不審に思って揺すってみた。 ゾロは何度も瞬きして、ウソップを見ている。 段々居心地が悪くなってきて、どうしようかと困っていると、ゾロは突然、にやりと笑った。 「そうか、そんなに良かったか。……がんばったからな。」 ゾロは一人でうんうんとうなずいている。 「あ、あの……、ゾロくん?」 「こんなに早く、ウソップから好きだって云ってもらえるとは思わなかった。」 「そ……そう?」 ゾロの云う意味が判らず、冷や汗を垂らすウソップだったが。 「けど、もっと好きになって欲しいから、これからもっともっともっとやろうな。」 「……はいぃ!?」 ウソップは目を剥いて叫んでしまった。 が、そういえばと、思いだすことがあった。
ゾロは確か、ウソップがおれに惚れるまでやる、と、そんな宣言をしていたのだ。 何だかしかも、ウソップがゾロの体に惚れてるような感じの、そんな誤解までしていたような気がする。 ――――いや、待ってください。
おれはもうとっくにゾロに惚れてますよ!? とか。 好きになってはいけないと思ってたから自重したのであって、好きになっていいのなら最初からどこまででもいってましたよ!? とか。 きっかけは確かに体からかもしれないけど、そのための下地はそれまでの付き合いで充分生まれていたと思いますよ!? とか。 云いたいことは、それなりにいくつかあったのだが。 ゾロがそれはそれは嬉しそうに、そして思い切りぎゅううううとウソップを抱きしめてくるものだから、ウソップは結局、ゾロの誤解を解くことはできなかったのだった。
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2008/11/21 |
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