心をこめて 1 

 ウソップの誕生日。
 誰かの誕生日とあらば、宴会になるのがいつもの麦わら海賊団である。
 大抵いつも、ルフィとウソップとチョッパーは、騒いで飲んでさっさと潰れるのが毎度のパターンだ。
 年少組を男部屋に放り込みながら、ロビンとブルックが眠たそうに部屋に戻る。
 そうこうするうちに、大抵はフランキーが不寝番にと展望室に登っていってくれる。
 酒の強いナミとゾロが飲みながらだらだらと喋り、サンジが給仕してくれるが、2人のペースについていけずに寝てしまうのがいつもの流れだ。
 けれど今日は、夜の約束をしていたので、ウソップは眠たそうにしながらも、何とか潰れてはいなかった。
 時々ゾロが目を合わせて、ウソップに飲み過ぎるなよと合図を送っていたので、それでどうにかという感じではあった。
 しかしこれ以上遅くなると、本当にウソップは寝てしまいそうだ。
 ロビン達が部屋に戻ろうとしたあたりで、ゾロもウソップを連れて宴会を抜け出した。
 二人の仲は仲間達にも公認なので、誕生日の夜、こっそり抜け出そうとしているのであらば、理由は察して見て見ぬふりをしてくれているのだと思う。
 多分今夜は邪魔は入らないし、隣の兵器開発室も上のアクアリウムバーも無人にしてくれる筈だ。
 半ばぼうっとしたようなウソップを工場へと連れ込み、ゾロは持ち込んであった毛布を作業台の上に広げた。
 ウソップはそれを大人しく待っているが、幾分体が揺れている。
 口づけようと抱きしめると、酔いのせいか眠気のせいか、体温が高かった。
「ウソップ。」
 低く名を呼び、唇を重ねる。
 ウソップの唇は、いつでもとてもやわらかくて、ゾロはそれが大好きだ。
 ぞくりと快感の予兆が背筋を走り、まろやかな感触に唇から陶酔する。
 何度も重ね直し、唇を擦りつける。ちゅうと音を立てて吸うと、とろんとしたウソップの目がゾロを見て、嬉しそうに笑った。
「ゾロ…、大好き。」
 キスの合間にウソップがささやく。
「ああ、おれも、好きだ。」
 同じようにささやくと、ウソップはもっと笑うから、ゾロはウソップが愛しくてたまらなくなる。
 いくらでもキスをしていられるといつも思うのだけれど、夢中になりすぎる前に口を離して、ゾロはウソップの服を脱がせた。
 ウソップの服を脱がせるのは簡単で、ちょっとだけ待たせておいて、ゾロも全部を脱ぎ捨てる。
 全裸になったゾロの胸に、ウソップは甘えるようにもたれかかってきた。
 抱きしめて、作業台の上に深く座りながら、自分の膝の上にウソップを跨がせる。
 ゾロに取ってはウソップの体重くらいでは何ということもなくて、ウソップもべったりと、ゾロに全身を預けてきた。
 ウソップの腕がゾロの背をぎゅうと抱くが、あまり力は入っていないようだ。
 太腿に脇腹を挟みつけられるのが心地よい。
 緑の髪にすりすりと顔を擦りつけ、ウソップは満足そうに息を吐いた。
「あー、なんか、きもちいい……。」
「……おい、こら、寝るなよ。」
「んー……。」
 ウソップの云う気持ちいいは、性的な期待より、単純な眠気の方が強いようだ。
 普段ならば、こんな状況なら多少は兆し始めているウソップのものも、酒の影響か変化がない。
 ゾロにはあまり判らないが、一般的には飲むと立ちにくくなるらしいと聞いている。
 けれどもその分、全身の力がいい感じに抜け切っているようなので、ウソップが眠ってしまわないようにさえ気をつけていれば、いい感じに可愛がってやれそうだった。
 いや、寝たらもちろん起こすのだが。
 とにかく、せっかくの目出度い夜。存分にウソップを可愛がり、よがらせてやりたいとゾロは思っていた。
「えへー、ゾロ、だいすきー。」
 くたりとウソップの力が抜ける。
 これはいけないと、ゾロは慌てて、ウソップの体を起こさせた。
「んー…?」
 気の抜けた声を上げるウソップの髪に手を潜り込ませ、頭を引き寄せて、唇を重ねる。
 やわらかい唇に、ぐいぐいと自分のそれを擦りつけてから、酒と、何やら菓子の甘味の残るウソップの口腔に、深く舌を潜り込ませた。
 歯茎、口蓋、頬の裏や舌の付け根、あちこちをたっぷりと舐め回していると、ウソップが舌を絡めたがって、ちょっかいをかけてくるようになる。
 抱きしめた体が小さく震え、首に絡む腕が深くなった。
 それに気を良くして舌を差し出してくると、ウソップは嬉しそうに、ゾロの舌先に吸いついてくる。
「…ん、んっ……。」
 ちゅうと吸いつくたびに微かな鼻声が洩れ、重なった唇がぐにぐにと動く。
 酔いのせいか、いつもより素直で、気持ち良そうなウソップがいとおしい。
 ゾロはウソップの後頭部から背中へと、ゆっくり手で撫でおろして行った。
 背筋を指先でくすぐると、ウソップの肩がぴくりと揺れ、ゾロの腰を挟んだ腿が閉じる。
 腰のあたりを念入りに撫で回すと、ウソップは唾液に濡れた唇を離し、ふるふると頭を振った。
「あ…や、あん、は……。」
 ゾロの手が少し動くたびに、ウソップはしきりに甘い声を洩らす。
 いつもならばまだ、恥ずかしがって声を噛み殺している筈なのに、今日は羞恥心もいい感じに消えているようだ。
 半分瞼を落としたような表情も、素直に快楽を表している。
 更に撫で下ろした手で双臀をまさぐり、もう一方の手でも、開いた太腿を撫でてやる。
「や…、あ、ああ…。」
 ウソップは腰をくねらせ、何度も腿でゾロを挟みつけてきた。
 とても気持ち良さそうではあるが、しかしちらりと視線を落とすと、まだウソップのものは対して形を変えていない。
 酒がウソップを素直にしているものの、勃ちにくくもしてしまっているようだ。
 でもむしろウソップは早いから、と、口に出したら泣かれそうなことを考えつつ、ゾロはじっくりと、熱くなっていく肌を撫で回す。
「んん、…ゾロ、…あ、あ…ん。」
 ウソップは小さくあえぎ続けながら、ゾロのこめかみのあたりに頬を擦りつけてきた。
 そんな位置であえがれたら、どんな小さい声も、わずかな息の乱れさえ、全部ゾロには聞きとれる。
「気持ちいいか?」
「うん…っ、あ、ゾロっ、…あ、あっ。」
 片手で尻を揉みつつ、ウソップの前を探る。
 まだ硬くなり切らないものを軽く撫で、脚の付け根や腿の内側に指を滑らせると、前後からの刺激にウソップはせわしない声を上げた。
 腰をくねらせるウソップの双臀の狭間に指を食いこませ、手全体でたっぷりと揉む。
 前を弄る手は、軽く扱いて少し硬くさせてから、腹から胸へと撫であげる。
 指に乳首をひっかけながら胸を撫でると、ウソップは両腕をゾロの首に絡ませたまま、大きく背を反らした。
 ちょうどいいので、ゾロはウソップの胸に口づけ、乳首を舐める。
 小さな突起にしっかりと吸いつき、舌でぐりぐりと撫で転がしてやると、ウソップの声がますます甘くなる。
「ん…、あん、は…ぁ、ゾロ…っ。」
 吸いついた乳首から口を離さぬまま、ゾロは両手をウソップの背後に滑らせ、双臀を割り広げるようにしながら撫で回した。
「や…ぁぁっ、ん、は…ぁんっ。」
 ウソップの体が、何度もぶるっと震える。
 そっと秘奥を撫でれば、小さなそこはすぐに反応し、小さな収縮を指に感じさせてきた。
 くすぐるようにそっと撫でると、ウソップは腰をくねらせ、ゾロにぎゅっとしがみついてくる。
 くわえたままの乳首を優しく歯で挟むと、ウソップの足先が動いて、ゾロの背中で交差した。
 
2009/04/01 




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