心をこめて 2 

「ゾロ…、じれったいよお……。」
 ウソップは腰をくねらせながら、ゾロにねだった。
 酔いのせいで、いつもなら羞恥が先だつ言葉もするりと口から出ていたが、自分では気が付いていなかった。
 体が芯から熱くほてり、全身がぐにゃぐにゃしてしまって体に力が入らないが、ウソップがどうなっても、ゾロが支えてくれるという信頼がある。
 なのでウソップはただ、ゾロに甘えてすがりつきながら、快楽に吐息を乱していた。
「あ、あ、…ね、ゾロ……、そこ、ちが……。」
 尻の肉を揉まれ、回りの皮膚ごと引っぱられる秘奥を、ゾロの指がそっと撫でる。
 胸から下腹部を行き来するゾロの手は、時折内腿まで流れるけれど、開いた脚の付け根をくすぐるだけで、肝心な箇所にはふれてくれない。
 乳首に吸いついた唇は、小さなそこを舌で弾いて揺らすけれど、腰の奥の切ないような熱を増幅させ、じれったさが増すばかりだから嫌だ。
 どこへの愛撫に一番物足りなさを感じているのか、自分でもはっきりしなかったけれど、ウソップは焦れてゾロの髪を引っ張った。
「どうした。」
「じれったい、ってば……。」
 ちゅっと乳首を吸って離れたゾロは、優しい顔をしてウソップを見上げてくる。
 だから抗議が甘えたような口調になってしまうのは仕方がないのだ。
「今日は目出度い日だからな。じっくり感じさせてやっから、焦んな。」
「やー……。」
 ゾロの気持ちが嬉しくない訳ではないが、もう完全にウソップは焦れている。
 ゾロは苦笑しながら伸びあがって、ウソップの首筋にキスをした。
「誕生日だろ。今日は目一杯、良くしてやっから。」
「もう充分……、んんっ。」
 首筋をねっとりと舐め上げられ、ウソップは声を詰まらせる。
 頭を抱え寄せられて、口づけられるが、その間もずっと、ゾロの指がウソップの双臀の狭間を行き来しているものだから、落ち着いてキスが返せない。
「ん……、はふっ、や…ぁ、あ…っ。」
 角度を変えながら何度も唇を押し付けられ、ちゅっと吸われたり、浅いところを舐められたりする。
 ウソップの表情を見ながら、ゾロはお気に入りらしい分厚い唇を、存分に愛でて楽しそうだ。
 擦り合わされる唇から、震えが走る。
「いつも、入れる時、痛そうにするだろ。」
 唇がふれるかふれないかの距離で、ゾロがささやいた。
 しゃべって唇が動くと、ゾロのそれがウソップの唇を掠める。
 そんな微かな刺激にも、甘やかな快楽が生まれた。
 ゾロは指の腹を、ウソップの秘奥へ挟ませるようにして押し付けてくる。
「そんなに痛くねえよ……。」
「少しは痛いんだろ。」
 そうは云われても、挿入時の痛みは、仕方がないものだと思うのだ。
 けれどももうずいぶん慣れたし、ゾロが動き出せば、痛みは快楽で打ち消せる。
 中を擦られることも、もう大分気持ち良くなってきているウソップなのだ。
 今だって、外側だけをしつこく撫でられているから、内側の部分が弄られたくてむずついてきている。
 勝手に収縮を繰り返す秘奥が、ゾロの指を懸命に挟みつけようとしてしまうから、満たされない感触がもどかしくてたまらなかった。
「いつもはおれも夢中になっちまうけど……、惚れた奴の誕生日くらいはな。ウソップ優先で良くしてやりたいって思うだろ。」
「ゾロ……。」
 照れくさそうにしながらも、ゾロがまっすぐにウソップを見つめてくるのがおもはゆい。
 けれど、ゾロの気持ちより何より、惚れた奴という言葉がウソップは一番うれしかったりして、ちゅうと唇を押し付けた。
「だったら……、早く、良くして。」
 甘えてねだる。ふわふわした気分はずっと続いていて、素直な言葉が胸の奥から素直に出てくる。
「煽るな。」
 ゾロは笑いながらウソップの鼻先にキスをして、それから、ひょいと抱きかかえられた。
 何かごそごそする気配があるが、ゾロの首にしがみついて待っていると、秘奥にぬるりとした感触がふれた。
「んっ、……な、なに…。」
「それ用の奴だから、心配するな。」
「って、おい、……んっ、あ……。」
 それ用のって何、と突っ込もうとしたが、塗られたもののせいで妙に滑らかにそこを撫でられ、ウソップは息を詰まらせてしまった。
 揉むように撫でられて、背筋に強い震えが走り、腰が砕けそうになる。
 中へと欲しがってうごめくそこに、ゾロはぬるつく指をそっと差し入れてきた。
「あ…っ。」
 潤滑剤の粘度のせいで、いつもとは少し違う感触に、声が洩れる。
 ゾロの指は浅い所に潤滑剤を塗りつけるように動き、すぐに指を抜いてしまった。
「やだ、もっと…っ。」
「判ってる、焦るな。」
 不満を訴えるウソップの背を撫で、ゾロはまたすぐに指を入れてきた。
 滑るように深く埋められる指に、ぬめりを塗り足されたことを感じる。
 一本だけ埋め込まれた指が抜き差しされ、ウソップは背筋を駆け抜ける震えが止まらなくなった。
「や…ぁんっ、は、ゾロっ、…っ。」
 ぞくぞくとするような、甘いしびれが全身をめぐる。
 身を捩りたいのに体に力が入らず、ゾロに体重を預けるウソップの内腿が、ぶるぶると細かく震えた。
 全身に広がっていく快感が、ウソップの中心へと集まり、うずいて熱を溜める。
「あ…ぁ、ゾロぉ…っ。」
「どうだ、気持ちいいか?」
 指を根元まで埋め込み、ぐりぐりと回すように動かして、ゾロはウソップの秘奥とその中を広げている。
「い…けど、足んない…っ。」
 それにもたまらない快感が走るけれど、ゾロのごつい指を食い締めるそこは、指一本なんかとは比べ物にならない質量を知っている。
「あ、……んんっ。」
 また引き抜かれた指は、ぬめりと本数を足してまた入ってきた。
 浅いところを優しく揉みほぐされるが、ウソップにはそれが焦れったくて仕方がない。
「や…だぁ、あん、やあ…っ。」
「気持ちいいだろ?」
 ゾロはゆっくりと指を動かしながら、ウソップの腰を擦っている。
 それがまたウソップのもどかしく募る快楽を増幅させるから、力が抜けて動けない。
 ゾロは二本の指を、交互に動かしてウソップの内部を擦った。
「あ…っ、ああ、ゾロ、や、ゾロっ。」
 快感を求める秘肉はゾロの指に悦んで、収縮を繰り返す。
 肌を撫でられるのと同じように、ゾロに擦られる内側の粘膜が気持ち良くてたまらない。
 震えが止まらないのに、けれど体はもっとと望む。内腿の肉がわななき、下腹部に痛いような熱が走った。
 ゾロはまたぬめりを足して、更に指を増やしてくる。
「あああっ、…ゾロ、あん、もっと……やああっ。」
 中でゾロの指がばらばらに動き、ウソップはあえぐだけではおさまらずに啜り泣きを零した。
 指の関節を曲げたまま、中をえぐるように回されたり、腹側で優しく撫でられたりする。奥を突くように指を抽挿されると、体が溶けてしまいそうにすらなる。
「あー、すげえ可愛い、ウソップ。たまんねえな。」
 ゾロの指がウソップのうなじを撫で、軽く髪を引かれて顔を起こされる。
 涙の零れたウソップの頬を、ゾロは嬉しそうに舐めた。
 
2009/04/03 




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