愛美の奴隷生活
まーくる:作

■ 第一章 握られた弱み3

「アンタ達、いったい何やってんのよっ!!」

いきなり部屋に入ってきた愛美に、4人はびっくりしていた。愛美は部屋に入るなり3年男子の脇を持ち上げ立たせて、

「先輩、ここは私が話をつけておきますから帰って大丈夫ですよ。さあ、帰ってください!」

と、息荒く説得し、3年男子を帰らせてしまった。

「お、音川! いったい何やってんだよ!」
「え〜……なに? ウザいんだけどぉ……」
「………」

三人はいきなりの愛美に戸惑ったものの、男を帰らされたことに腹を立てていた。
しかし、悪事を目撃した愛美の鼻息も荒く、3人へ言い返した。

「何って、アンタたちこそなによ!? 恐喝に喫煙! 完全に謹慎行為じゃない!」
「うるさい! アンタには関係ないだろ!」
「関係あるもないもないっ!」

と、愛美と桃子が口論をし始めた。エリカはそれをしばし眺め、口を開いた。

「音川……先輩? なんとか黙ってって……ってお願いできない?」
「……残念ながら、イヤよ。ちゃんと先生に報告するから。」
「てめぇ!!」

それを聞いて、桃子は愛美に襲い掛かった。突進し掴みかかろうとした桃子だったが、愛美は持ち前の運動神経でサッっとかわし、そして足をかけた。つまずいた桃子は勢い余ってボール入れに突っ込み、バスケットボールやらバレーボールの下敷きになってしまった。

「危ないなぁ。」
「あららぁ……」
「……」

愛美はいきなり攻撃されて少々驚いているようだったが、相手に弱みを見せないようにと毅然とした態度でいた。エリカはそれを面白くなさげに見つめ、そしてやや間を空けて立ち上がり、再び口を開いた。

「強引ですねぇ、先輩。」
「先に襲い掛かってきたのは山中さんのほうだからね。」
「やっぱり報告します??」
「ええ、ちゃんと報告させてもらいます!」

二人の視線が交錯する。二人とも目をはずさずに、鈍感な奈緒美にも空気がピリピリとしてきたことがわかった。エリカも愛美のことは知っていた。元気さが売りの2年生で、自分と同じくらいの人気があることを。なんでも1番が好きのエリカにとって、愛美の存在はあまり面白いものではなかった。一方の愛美も、エリカの噂は色々耳にしていた。とても美人の1年がいると入学当初から話題になり、わずか2ヶ月で学校のアイドルとなったのだった。しかし、教師や上級生にも物怖じせず、そのお嬢様なワガママっぷりから、あまり良くない評判も聞いていた。愛美はこれを機に、少し反省してもらおうと考えていたのだった。
そんなとき、エリカは何かを諦めたように首を振りながら言った。

「ふぅ……しょうがないですね。力ずくでも先輩には黙っててもらわないと。」
「あら、そんなことできるの?」
「フフッ…」

すると急に倒れていた桃子が立ち上がった。不意を付かれた愛美は思わず桃子に掴まれてしまった。そうなると体格がものをいい、いくら運動神経のある愛美でも圧倒的に不利であった。

「ぐっ……」
「そら、さっきのお返し!」

強引に足を払われ、愛美は倒されてしまった。桃子のそのまま寝技に移り、愛美を攻めていく。愛美は立ち上がろうとするが、柔道か柔術の経験者であろうか、巧みにグラウンドでコントロールされ、後ろを取られてしまった。そして瞬く間に足を胴に巻きつけられ、チョークスリーパーの格好となった。

「ぅう……」
「ははっ、どう? 苦しい?」

意識がある程度の力加減で首を絞められ、苦しむ愛美。目の前はハッキリしたり霞んだりする中、目の前にエリカが悠然と腕を組み立っていた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊