愛美の奴隷生活
まーくる:作

■ 第二章 始まった主従生活2

「あ…、うん。今日は体調悪いからいいや。」
「大丈夫? 朝からずっと顔色悪いけど…昨日お昼に倒れたから? 保健室いく?」
「あ、そんな重症じゃないから大丈夫。ちょっと疲れが溜まってるのかな。」
「本当に大丈夫??」
「へーきだよ。ちょっと屋上で空気吸ってくるね。」

そういって愛美は屋上へ向かった。こんな精神状態では、何も考えられない。そして今日の放課後のことを考えれば、鬱になる一方であった。

屋上にでると、そこには青空が広がっていた。愛美は空を見上げて、大きく深呼吸した。とその時、

「あれ? 愛美?」

声のしたほうをみるとそこには桃子が一人、座りながらタバコをふかしていた。

「や、山中さん……」
「あぁ? もう忘れちまったの?」
「…あ……す、すみません…も、桃子さ…ま。」
「ふ〜ん、ま、ぎこちないけどいいか。こんなとこで何してんの?」
「…外の空気を吸いに…」
「ははっ! 昨日のことがショックだったから?」
「……いえ、そんなわけじゃ…」
「へ〜! 奴隷になるのがショックじゃないんだ!?」
「……」

桃子は笑いながら愛美を心をぐさりとえぐってくる。愛美は顔に出さないようにしているが、桃子はそれを楽しんでいた。

二人とも無言になった。すると、桃子が面白そうに口を開いた。

「これ、吸ってみ。」
「!!?」

と、桃子は吸っていたタバコを愛美のほうへ差し出した。

「い、いりません。」
「一回吸ってみろよ、な!?」
「…タバコ吸ったことないんで…」
「……アタシの命令、さっそく逆らうんか?」
「……」

再び沈黙になる。しかし、桃子はタバコの手を差し出したまま、愛美を睨み続けた。愛美はその空気に耐え切れず、そのタバコをもらう。

「…で、ではいただきます。」

恐る恐る口にくわえてみる。

「それで息を吸ってみな。」

愛美は一呼吸おいて、息を少し吸ってみた。すると一気に煙で肺が苦しくなり、咳き込んだのだった。

「ゴホっ!! ゴホゴホッ!!」
「あ〜はっはっは!! どうだい、タバコの味は?」
「ゴホッ!! ……ゴホッ!!」

苦しく咳き込み愛美を見て、桃子は腹を抱えて笑っていた。しばらくして、愛美がようやく落ち着くと、桃子が愛美へ言った。

「で、感謝は?」
「…あ、ありがとうございました。」

そういわれて、愛美は苦しい思いをしながらも、桃子に礼を言った。

「違う違う、昨日エリカが言ってたジャン! 感謝の…ってやつ。つま先に…さ。」

愛美はあまりの突然さに驚いた。まさかそんなことをいうなんて…。そしてこの誰でも入れる屋上という場所は、昨日の人気のない場所とは大違いだった。

「さ、感謝の印、見せてもらおうか。」

と桃子は愛美のほうへむっちりとした脚を伸ばした。

「はやくしね〜と人来るかもよ?」

愛美は周りを気にしながら一歩一歩、桃子に近づいた。

「(早くしないとなんだ。人に見られたら大変だ。それに断ったらもっと恐ろしいことになるから言うことを聞かないと…)」

と、自分に無理に言い聞かせ、なんとか体を動かした。そして跪き、言葉を言いながらキスをした。

「も、桃子さ…ま。ありが…とう…ご…ござい…ます。」
「はははっ! いいよいいよ!!」
「……」

桃子は楽しそうに笑っている前で、愛美は悔し涙を必死で堪えていた。
桃子はひとしきり笑うと、

「今日も放課後旧校舎な。」

といって立ち去っていった。取り残された愛美は、5時限が始まる直前まで、呆然と屋上に座り込んでいたのだった。

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