雨宿り
横尾茂明:作

■ 黍稈細工5

一郎は息苦しさに耐えられず…盆の上のお菓子を摘んだ。
「淑ちゃん…このビスケットおいしいよ…はい、食べて!」少し声が震えていた。

「ありがとう…」

少女は少し離れ、正座して美味しそうに頬張る…。

淑ちゃん、それ食べたら外で遊ぼうか…。

「うん…でも…お母さんが少しだけって言ったからー…」

「そうだね…僕もこれから友達の所に行かなくちゃいけないから…またこの次にしよう」

「坊ちゃん明日も遊んでくれますか?…」

「うん! いいよ」
「あっ、もうパンツは乾いてるよね…さー取りに行こうか」

廊下に出て濡れ縁に向かう…途中少女は何故か一郎の手を強く握る…。

南天に干したパンツは乾いていた。

「ハイ…足をあげて」

少女は両手で一郎の肩につかまり片足を上げた…。

また一郎の目の前にまろやかな膨らみが露呈する…。
足を上げたことで少女の性器は歪み…狭間の内側に細かな赤いシワまでが見えた…。

少女はまた恥ずかしげに沈黙する…。
蜜戯の共有…思春期にはまだほど遠い二人であったが、この痺れるような甘さは幼心に異性の神秘さを感じさせるに余りあった…。

「さー履けた!、じゃぁ僕は出かけるよ…」

少女はポッと赤くなって俯いたまま所在なげに手の指をいじっていた…。

一郎は駆けだした…まだ心臓の鼓動が聞こえそうなくらいドキドキしながら。


少女が一郎の家に来るようになってから一週間が過ぎた…。

一郎は学校の門を出たときから駆け足になり、家が見えたときには息が切れるほどの早足になっていた。

「ただいまー!」

帽子を脱いで靴のヒモをもどかしく解いているとき…後ろから「坊ちゃんお帰りなさい」と少女の明るい声と駆足の音が聞こえた。

「今日は早かったね!」

少女は一郎の背中に抱きついた…。

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