雨宿り
横尾茂明:作
■ 黍稈細工7
「ここからだったね…」
一郎は床に置かれた紅茶を一口啜ってから読み始める。
少女はこの間の様に…頁を捲るたびに顔を一郎の頬に寄せてくる…。
また少女のあの甘い香りが鼻孔をかすめる…。
少女の頬が一郎の肩にあずけられ…頭が一郎のこめかみの触れる…
息遣いが聞こえる近さに一郎の鼓動はどんどん早くなってくる…。
あどけない少女の仕草は…思春期の入り口にさしかかった一郎にとっては強烈なエロスに映った。
本の隙間から少女の剥き出しのモモが見える…。
次に見たときは少女は片足を折りワンピースの中をすっかり露わにさせている。
一瞬でよくは見えなかったが少女はパンツを履いていないようにも見えた…。
「ドキ…ドキドキ…ドキ」少女に鼓動の音が聞こえやしないかと一郎は危ぶむ…。
頁を捲るとき少女の股間を再度見る…今度ははっきりと性器が見えた…。
本を読みながらしきりに口の中が乾く…、紅茶で湿らせるがすぐに乾いてくる…もう一度少女の性器が見たい…本を読む速度がどんどん速くなっていく…。
頁を捲る…ゆっくり捲りながら一郎は少女の性器をつい見つめてしまった…。
柔らかな恥丘の膨らみが目を焼く…恥丘に縦の深い亀裂…一郎の目に霧が掛かってきた…胸はさらに苦しくなってくる。
(あの割れ目をの中はどんなふうになってるの…)
(あぁー…見てみたい…)
少し手を伸ばせばあの神域に触れることが出来る…。
(自分にこんなに甘えてくれる少女なら少しくらい触っても…)
少女はゆっくり過ぎる頁捲りを怪訝に思い一郎の顔を見る…目が自分の股間に注がれているのに気付き、つられるように目を下に向ける…。
(あっ!…)
少女は性器が露わになっていたのに気付いた…しかし何故かすぐには隠せなかった。
数秒間の凍った時間が流れる…少女はその時間に耐えられずワンピースの裾を引っ張りながら一郎からゆっくり離れる…。
(……………………)
少女の拒否の仕草は一郎にとっては殴られた様な衝撃に感じられた…。
その拒否の反応から性器を盗み見たことが痛烈に恥ずかしく…本は見てはいるが字は全く目に映らない…もう少女の顔が見られなかった。
沈黙が続く…少女の視線を痛いほど感じるが顔がどうしても上げられない…。
もじもじした少女の足下の仕草が見える…一郎に近づきたいような離れたいような。
暫くして視界から少女の足が消え…扉が開く音がした。
そして間をおいて「バタン!」と閉まる音…
怖いくらいの静寂が部屋を包む。
一郎はおもむろに顔を上げて見る…その時少女はもう部屋にはいなかった…。
部屋の隅に、あんなに大事にしていた黍稈の箱も置いたまま…。
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