姉との生活
紅いきつね:作

■ 4

「……入ってもいい?」
小さな声で姉ちゃんは言った。
「うん」
俺が促すと姉ちゃんは無言で部屋に入ってくる。シャワーでも浴びたのだろうか、いつもと違う匂いがふわっと匂った。
「ねえ、勇君。わたし本当にお姫様なのかな」
ちょこんとベッドに腰掛けた姉ちゃんは本当にこのまま消えてしまいそうなほど儚げだった。こんな姿を見るのは初めてだ。いつも元気でにこにこしていたというのに。
「わかんね。でも冗談とかじゃなさそうだな」
俺は姉ちゃんの隣にちょっと間を空けて座る。今の姉ちゃんは中佐に貸してもらった紺色の海軍の作業着だかなんだかを着ているのだが、サイズが大きいのか胸元がばっくりと開いていて、ちょっと俯くとおっぱいが見えてしまいそうだ。
「笑っちゃうよね……お姫様だなんて。」
姉ちゃんが少し俺の方へ寄ってくる。やばい、息子が元気になってきた。
「でも姉ちゃん綺麗だから……似合うと思う」
さすがに面と向かって言うのは照れくさいので視線を外してそう答えた。実際似合うと思うし。
お城のバルコニーから純白のドレスを着て全てを包むような微笑で国民の歓声に答える姉ちゃんの姿が容易に想像できる。
「ほんと?」
「嘘ついてどうすんだよ」
「それじゃあ勇君はわたしがお姫様になっちゃってもいいの?」
「……」
本音を言えばいいはずがない。
でも今ここでそれを答えてどうなるのだろう。俺にとって姉ちゃんは必要な存在だけど、俺以上に姉ちゃんを必要としているのが今のロメリアという国なのだろう。天秤にかけるには重さが違いすぎる。
「答えてくれないんだね」
黙ってしまった俺をちょっと睨んで姉ちゃんは立ち上がった。それでも俺は何と答えていいのかわからない。
「ねえ、ピストル撃つの?」
机の上にある拳銃が目に入ったらしい。俺の方へは視線を向けないままそう言った。
「わかんね。でも姉ちゃんを守る為なら撃てると思う」
「それで人を殺しちゃうかもしれないんだよ。それでも?」
「……死ぬほど後悔するかもしれないけど、でも姉ちゃんを守りたい」
「ケンプファーだから?」
「そんなの関係ねえよ。姉ちゃんは俺の一番大切な人だから守りたいんだ」
「ねえ、立って」
俺は言われた通り立ち上がった。
俺の方に向き直った姉ちゃんはぼろぼろと泣いていた。
「キスして」
え?
泣きながら姉ちゃんは俺をじっと見ていた。
「で、でも俺達兄弟だし」
しどろもどろ、まさにそんな感じで俺は視線を左右に動かす。赤く染まった頬と、ちょっと開かれた唇がたまらなく可愛らしい。想像では何度も行った場面だが、さすがに現実に起こるとは思わなかった。
「ううん、そんなの関係ない。勇君はわたしのこと嫌いなの?」
「嫌いなはず……ねえだろ……」
「じゃあキスして」
そう言って姉ちゃんは目を閉じる。
ここまでされたら後には引けない。俺は覚悟を決めて姉ちゃんの両肩に手を置き、そっと引き寄せた。
そのまま姉ちゃんのしっとりとした唇にキスをする。舌を伸ばすとおずおずという感じで姉ちゃんも舌を絡めてくる。
そのまま俺はほっそりとした腰に腕を回し抱きしめる。姉ちゃんも俺の首に抱きつき身体が密着する。夢中になって舌を絡めているうちに俺の息子は完全に勃起してしまった。本能に従い、姉ちゃんの身体に押し付けてしまう。
どれくらいそうしていただろうか。
さすがに息苦しくなって唇を離すと、至近距離に姉ちゃんの綺麗な顔がある。
「勇君キスうまくない?」
「へ?……いや俺初めてだけど」
「本当に? なら嬉しいな……わたしも初めてだよ」

どきん
心臓が大きく脈打ったような気がした。
姉ちゃんが俺に体重を預けてくる。そのまま素直に二人抱き合ったままベッドに倒れこんだ。
「わたしたち兄弟だけど兄弟じゃないんだよね」
「何で?」
「だって兄弟だったらこんなことしないでしょ」
クスクスと笑う。
「そうだな」
俺も何だか面白くなってしまって同じように笑った。
「勇君元気だね」
俺の息子の事らしい。
「だって姉ちゃんが」
「わたしのせい?」
「ん……そうかも」
「そうなんだ」
そう言って軽くキスすると姉ちゃんは俺から離れる。そしてベッドの下にしゃがむとすらっとした指で俺の息子に服の上から触れた。たったそれだけの事なのに俺は電流を流されたような快感を感じてしまう。
「ね、姉ちゃん……」
「黙ってて」
ズボンのベルトを外し、チャックを下げ、ズボンごとトランクスも下げられてしまった。我ながら元気な息子がぶるんと現れる。
「わあ……」
顔を赤らめて息がかかるほど近い位置から姉ちゃんが見つめる。これはちょっと恥ずかしいかも。
「気持ちよくなって」
そう言うと息子に唇を触れさせる。
そして舌を伸ばして竿を舐め始めた。裏筋につーっと舌を這わせ、竿の根元を右手で上下させながら左手が優しく袋を揉む。はっきり言ってやばいくらい気持ちいい。一気に射精感が押し寄せてくる。
「ね、姉ちゃん……もう駄目だ」
我ながら情けないが仕方ない。
姉ちゃんはそのまま竿を口に含み上下させる。俺の目を見ながらいいよと言ったようだった。
「で、出るっ」
今まで経験した事がないほどの強烈な快感と共に俺は姉ちゃんの口の中に射精していた。喉が動き、そのまま精液を飲み込んでいる。
精液を飲み込んだ後も残りを全て吸いだすように姉ちゃんは舌を這わせていた。まさかあの姉ちゃんがこんなことをするなんて……。
快感の余韻に浸りながら俺はそんな事を考えていた。

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