姉との生活
紅いきつね:作

■ 5

全てを飲み干すと姉ちゃんは俺の顔を見上げてちょっと恥ずかしそうに微笑んだ。
「気持ちよかった?」
「……うん。でも姉ちゃんこんなのどこで」
「えへへ、勇君の秘蔵コレクションで勉強したの。」
「げっ」
男子諸君にはわかってもらえると思うが家族に秘蔵のエロコレクションが知られてしまった時ほど恥ずかしい事はない。
「わたし、いつかは勇君とこうなるって思ってたからどんな風にしたら喜んでもらえるかなって。一人でするときも勇君の顔ばっかり考えてた」
顔を真っ赤にしてそう言う姉ちゃん。嬉しいけど素直に喜べないのはなんでだろね。
「ね、次はわたしを……」
姉ちゃんがそう言いながらシャツのボタンを外そうとした時だった。

ドンドン!

部屋をいささか乱暴にノックしやがった奴がいた。
びっくりして俺と姉ちゃんは離れた。畜生、人のおセックスを邪魔する奴は亀に蹴られて死んでしまえ。
「誰?」
ドアを開けるとそこには軍艦に乗っている連中とは違う濃緑色の制服をびしっと着た女が立っていた。俺よりはちょっと低いが女にしては長身と言えるそいつは、きらきら光りそうなブロンドの髪を雑に後ろにまとめていた。
化粧も必要ないような透き通る白い肌と相まって一瞬人形なのかと思うような美人だ。タイトスカートから伸びるきゅっと引き締まった足もなかなかいい。
「あ、フリーデリケさん……」
姉ちゃんがちょっとばつの悪そうな顔で名前を呟く。
「親衛旅団フリーデリケ・フォン・ベッテンドルフ中尉であります。」
フリーデリケと呼ばれたその女は無表情に俺にそう名乗った。シュバルツ中佐ほどではないが流暢な日本語だ。
「姫殿下のお姿が見えないのでお迎えに上がりました。さ、もう夜も更けて参りましたのでお戻り下さい」
「あのね、フリードリケさんはわたしのお世話係なんだよ。ごめんなさい、すぐ戻ります」
どうやら姉ちゃんは自分の部屋を抜け出してきたらしい。それで世話係のフリードリケが探しに来たという事か。それにしちゃタイミングよすぎないか?
促され、姉ちゃんは俺におやすみと言って部屋を出て行く。
「貴殿は姫殿下のケンプファーなのですから注意して行動する事を望みます。」
じろっと俺を睨むフリードリケ。げ、もしかしてばれてる?
「……はい」
仕方なく俺は素直にそう答えた。うう、俺の初体験がぱあだ。
二人を見送ると今度は一人でベッドに横になった。
はあ、何だかなあ。



悶々とした一夜を過ごし、朝になった。
今現在どのあたりにいるのかは全くわからないが、そういえば俺達のパスポートとかそういうオフィシャルな手続きは一体どうなっているのだろう。まさか密出国か。
この部屋には狭いながらもシャワーが備え付けられていて、俺は寝不足のぼけた頭を熱いお湯を浴びてしゃきっとさせた。実は軍艦に乗っているにしてはとてつもなくスペシャルな待遇である事を俺は後で知るのだが。
部屋の中でまっぱで髪を拭いているとノックもなしにいきなりドアが乱暴に開く。
「おはようございます、ベッテンドルフ中尉であります。お迎えに上がりました」
夕べのお人形さん……もといフリーデリケが現れる。
「へ?」
生まれた姿のまま、しかも真正面にフリーデリケの方を向いていた俺はとてつもなく間抜けな姿だ。しかも朝だけに息子は無駄に元気になっている。
「貴殿は姫殿下だけではなく小官にまで獣欲をお向けになるのですか?」
形の言い眉をちょっとしかめてその癖視線はばっちり息子に向けつつそんな事を言いやがる。獣欲なんてお向けでねえよ。ただの自然現象だっつうに。
「うわっ一体何ですかノックもなしに」
「お食事の用意ができましたので。姫殿下に貴殿をお連れするように命じられました。」
「わかりましたよ。着替えるんで外に出て貰えます?」
「小官がおりますと何か不都合がお有りですか?」
「いや大有りですって。着替え難いし」
フリーデリケは何も答えず、そして廊下に出るわけでもなくじっと俺の顔を見つめた。
「夕べの事ですが」
「……えっと、何の事でしょう」一応すっとぼけてみる。
「姫殿下のご意思であったとは言え、あのような場面では貴殿から拒否して頂かねば困ります。我が国に到着するまで、いえ、国王陛下に謁見されるまで姫殿下には清らかな身体でいて頂かねば困るのです。」
「そりゃまたどういう……」
「貴殿はそんなに溜まっているのですか?」
「ぶはっ」
綺麗な顔をしててもクソまじめな感じがするフリーデリケからそんな単語が飛び出すとは思わなかった。
「早めに済ませましょう。姫殿下もお待ちですし」
そんな事を言うと開けっ放しになっていたドアを閉める。一体何を済ませるの?
フリーデリケはいきなりタイトスカートを捲し上げる。白い高級そうな光沢のあるパンティが目に入った。
「え!? いきなり何を」
慌てて視線を逸らす。
「勿論貴殿の獣欲を納めるのです」
「勿論ってあんた……っ!?」
フリーデリケはいつの間にかパンティを脱いでいた。程よい肉付きの下半身が丸見えだ。
「早く、済ませましょう」
先ほどまでの無表情とは打って変わって白い頬を赤く上気させそんな事を言う。ちょっと声が震えているようなのは気のせいか。

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