淫辱通学
木暮香瑠:作

■ 待ち伏せ、そして恥辱4

 雄一が、後ろ手に取った有紗の手首を握る手に力を入れた。
「い、痛いって言ってるでしょ。ううっ……」
「俺たちのいうことを聞いていれば、痛い目に逢わなくて済む。言うことを聞くな? お前の首なんかへし折るのも簡単なんだぜ」
 背中から雄一が、有紗の首に腕を押し当て引き寄せた。鋼鉄のような筋肉が喉に食い込み、息が出来ない。雄一に握り締められた手首は、骨がギシギシと悲鳴を上げている。息苦しさと手首の痛みに、有紗の眉が歪み顔が朱に染まった。
(この人、狂ってる……。殺されるかもしれない……)
「ううっ……」
 有紗は、コクリと肯くしかなかった。

「ほら、鞄を持つんだ。行くぞ」
「ど、どこに行くんですか?」
 康次に渡された鞄を左手に持った有紗の声は、恐怖に震えていた。右手の手首は、相変わらず背中に廻し、雄一に握られたままだ。この男の醸し出す雰囲気と行動に、有紗は恐怖を抱いていた。頬を殴られ、首を決められ気絶させられたことが、有紗に恐怖感を植え付けていた。

 三人は、駅のホームにいた。相変わらず有紗の手首は、雄一に握られているままだ。傍から見ると、恋人同士が背中に廻した手を取り合っているようにも見える。電車を待つ間、有紗は廻りの視線が気になった。
(ああ、どうしてみんな、わたしを見るの? パンツを履いていないのがばれてるの?……)
 アイドルと言ってもいい位の美少女が、男二人の間に立っている。2メートル近い大男と、目がイヤらしくにやけている男の間に立っている美少女の対比を、皆が不思議そうに見ている。どう見ても恋人同士には見えない大男と有紗の関係を、不思議そうな視線で見ている。それが有紗には、パンティーを履いていない股間に、視線が集中しているように感じる。有紗は、顔を下に向け恥かしそうに頬を染めていた。

 電車がホーム滑り込むと、風が有紗のスカートをはためかす。すらりとした太股が露わになる。
「いやあっ……」
 有紗は、鞄を持った手でスカートを押さえた。
(見られた? パンツを履いてないお尻を?)
 ホームに居た男たちは、有紗の足に見とれていた。モデルのようにスラリとした、若々しい太股が男達の視線を集める。もう少しスカートが捲れればと、期待を込めた視線を投げかけている。
(きっと見られたんだわ。わたしのお尻……)
 有紗は、真っ赤になった顔で俯く。その仕草が初々しく、ますます男達の視線を集めてしまう。

 ホームに入ってきた電車に、三人は乗った。ドアのところに並んで乗る。有紗の背中に雄一、前には向い合って康次が立った。乗客たちは、不自然なカップルの登場に視線を投げ掛ける。
「いいか。声を出すんじゃないぞ」
 有紗の手首を強く握りながら雄一が、耳元で小さな声で言う。恥かしさで頬を染めた有紗が、コクリを肯く。会話の内容が判らない傍目には、恋人同士のように見えた。

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