恥辱アルバイト
木暮香瑠:作

■ 牝犬アルバイター宣言2

 女子社員からは嫉妬の目を向けられる。
「まぁ、短いスカートだこと。足が自慢だからって、そんなに出すことないんじゃない。
そんなに見せびらかしたいの、足を……。男子社員が仕事にならないじゃない」
 皮肉たっぷりに言う。
「す、すみません。気をつけます」
 綾香は謝ることしか出来ない。
「会社で履くスカートじゃないわね。これだからアルバイトは嫌ね」
 女子社員の中には露骨に嫌がるものもいた。
(これは、私じゃないの。無理やり着せられてるの)
 綾香は、そう自分に言い聞かせることしか出来ない。仕事に集中して他人の目を忘れようと、必死にパソコンに向かった。

「キャー、もう、社長たら……」
 綾香が振り返ると、社長の藤堂と、コピーを手に持った女子社員が立っていた。社長がすれ違いざまに女子社員のお尻を触ったのだ。
「もう、触らないでください。セクハラですよ」
 女子社員は、キッと社長の藤堂を睨んでいる。藤堂は、はげ頭に汗を浮かべ、
「いやー、大きくなったね。男でも出来たのかい?」
 ニタニタしながら、そういいながら綾香に近づいてくる。綾香の横を通り過ぎようとした時、綾香の顔を見た。
「綾香君、なんか色っぽくなったね」
 綾香の顔には、疲れから目の下に隈が出来ていた。それが、憂いを感じさせる表情を醸し出している。隈を隠そうと、うっすらと化粧もしてきた。初めてした化粧は、綾香の顔を少女の顔から女の顔に変えていた。
(い、いや……、今お尻を触られるとノーパンでいることがばれてしまう……)
 綾香の顔が曇る。男から見ると憂いを含んだように見えてしまう。藤堂は、綾香の憂いを含み、女らしくなった顔を眺めながら、恵美子のところに歩いていった。
「恵美子君、伝票の整理は終わってるかい?」
「終わってますわ、社長」
「じゃぁ、チェックをするから持ってきてくれ」
 そういって、社長室へと戻って行った。

「綾香さん、この伝票、査印をもらいに行くわよ。ついてらっしゃい」
 その伝票は、いまわしいあの夜、恵美子と一緒に綾香がまとめたものだった。
「は、はい」
 綾香は恵美子から手渡された伝票のファイルを持って、恵美子について社長室に行くことになった。社長室は、2階にある。階段を上らなくてはならない。
(いや、階段を上らなくちゃいけないわ)
 綾香は、男子社員の目がみんな綾香に向けられているような気がする。綾香の顔が真っ赤に染まる。綾香は、胸の前で抱えていたファイルでお尻を隠そうとする。
「あら、余計怪しまれるわよ。前に持っていなさい」
 恵美子が睨みつけた。男性社員が発送票を持って二人とすれ違う。すれ違いざま、綾香のミニスカートにチラッと目をやる。18歳の女子高生が、ナマ足を超ミニスカートからのぞかせている。その足がすらりと伸びた、若々しい弾けるような白い肌のナマ足なら目をやらない者はいないだろう。ファイルを胸に抱え直し、綾香は顔を真っ赤に染めたまま、階段を上っていく。誰にも気付かれなかったようだ。声も悲鳴も上がらなかった。綾香は、頬を赤く染めたまま、社長室に入っていった。

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