新・青い目覚め
横尾茂明:作

■ 被虐の炎1

 絵美は川辺の土手に座って川の流れを呆然とながめていた。

(どうして私・・万引きなんかしちゃったの・・)
(盗むなんて初めての経験・・それも死んじゃいたいくらい破廉恥な本を・・)

 絵美は両手を胸の前で交差させ膝に頭を思い切りぶつけた・・

(バカバカ絵美の馬鹿・・なんてことしたのよ!)
(取り返しのつかないこと・・してしまって!)
(こんなこと・・もしお母さんに知られたらもう生きて行けないよー)
(私・・どうしちゃったの・・どうしちゃったのよー)

 大粒の涙が湧いた・・このまま死んでしまいたいと絵美は思った。

(本屋のおじさん・・今日は警察を呼ばなかったけど・・今度の火曜はどうなるかわかんない。もし警察に届けられたらお母さんに知られるだけじゃ済まない・・学校にも友達にも知られてしまう・・)

(あーやっぱり私生きていけないよー)
(でも死ぬなんて・・お父さんみたいに・・死ぬなんて恐くて出来ないもん)

(本屋のおじさん・・どうしたら許してくれるの・・さっき・・何でもするから許してって言ったらおじさんの表情が変わった・・トシちゃんがこのまえ男の人は女の人とHすることばかり考えてるから女はそれを利用しなくちゃ損よ! と言ったけど本当かなー?)

(今度の火曜日、絵美おじさんにHなことさせてあげたら許してくれるかな)
(絵美・・死ぬの恐いよー・・やっぱり生きていたいもん)
(もし今日のことおじさんが黙っててくれたら・・絵美・・おじさんのしたいこと何でもさせてあげる・・死ぬことを考えればどんなことでも我慢出来るもん)

(でも・・Hなことってどんなこと・・服脱がされて縛られて・・)
(・・・・・)

(あの本の写真・・先週偶然見たとき頭が白くなった・・どうしてなの・・)
(トシちゃんに聞きたかったけど・・恥ずかしくて聞けなかったよー)
(体の自由を奪われて・・知らないおじさんに死ぬほど恥ずかしい・・性器を見られるの?・・)
(あぁぁー考えただけでも頭が変になっちゃうよー)

(私・・こんなこと考えるのは・・やっぱり変なのかナー)

(あの夜の出来事さえ無かったら・・こんな破廉恥な子には・・)


 絵美は辺りを見回した・・誰も居ない・・鞄を引き寄せ震える指で鞄を開けた、恐る恐る本を取りだしもう一度辺りを見回してからそっと本を開いた・・。

 暗く荒れた部屋に少女が縛られて寝ている・・次の頁は脚の毛の濃いおじさんが横に座り少女のお尻を開いて覗いてる・・少女の顔は悲痛に歪んでる。

(あぁぁーこんなことされてる・・こんな恥ずかしいこと・・)

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