新・青い目覚め
横尾茂明:作

■ 懈怠3

木場の駅まで歩く途中、絵美は夜空を見上げ…オジサンの事を思う。
幾度もマンションの方向を振り返りオジサンのベランダの灯りを探す…すると胸がキュっと痛み自然に笑みがこぼれてきた…その時何故かこちらを見つめる眼差しを感じた…。
絵美は注意深く辺りを見回したが…向こうから親子連れが近づく気配しか感じられなかった。
電柱に「痴漢注意」の張り紙を見る…絵美は急に走り出した…。

(この体…オジサン以外の誰にも触らせないもん!)

揺れる電車のつり革を両手で握って躰を預ける、腰の気怠さが気持ちよく性器の軽い痺れにオジサンの指がオーバーラップした。

家に近づき絵美は我に返る、足は自然と早足になった。
門扉を開き庭に洩れる灯りを探す…。
(まだお母さん今日も帰ってないんだ…)
(今夜も帰らないのかなー…)

玄関に暫し佇み母の事を思う…しかしすぐにオジサンの事が思い出されてしまう…絵美は頭を振るようにして鍵穴にキーを差し込み…扉を開けた。

机に鞄を置き…倒れるようにベットに俯せる、ふと…掛け布団の薫りに気付く、普段気にもとめなかった自分の体臭がこんなにも甘い薫りだったのかと唐突に思う…。
(なんか…きょうの私…変だよね?)

絵美はこのまま眠ってしまいたいほどの懈怠感が有った…オジサンに逢えた喜びのせい? それとも幾度も押し寄せた絶頂のせい? しかし今はそれを考えることも疎ましく…引き込まれるような睡魔に身を任せた…。

数分間微睡む…道のくぼみで足が縺れる感覚にハッとして目覚める、そして思い直したように身を起こし…(明日もオジサンに逢えるんだ、だったら躰…綺麗にしなくっちゃいけないな)

絵美はセーラー服を脱いでハンガーに掛け、下着のまま階下のバスルームに向かう。
バスルームの大きな鏡に全身を映しながら下着を脱いでいく…脱ぎ終わったところで鏡に映った自分の躰をしげしげと見つめた。
何となく円やかな体つきになったと絵美は感じる…(オジサンにあんなことされたんだもん)と思い浮かべ…顔を赤らめながら映し出されたふくよかな性器を見つめる…。

(この体…こんなに綺麗なんだもの…胸だってお尻だってこんなに素敵! …ここだって…こんなに綺麗だもん!)絵美はそっと性器を指で開いて魅入る…。
(もう女…女だもん…オジサンの女になっただもん…)

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