僕の転機
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■ 第1章 堕とされた少女2

 その時、二人の遣り取りを黙って見ていた歩美が口を開いた。
「美由紀さん。時間が無くなりますよ、早く確認してみたら」
 充電済みのコントローラーが、背後で準備できた合図として、歩美が告げたのだ。
 その言葉で美咲の注意が歩美に向き、後に立つ佐知子が美由紀の左手に、スッと新しいコントローラーを手渡し、美由紀は右手に持った美咲から取り上げたコントローラーを差し出す。
 佐知子は、美由紀が差し出したコントローラーを素早く受け取り、ポケットの中に落とし込むと、何事も無かった様にスッと離れる。
 すり替えが終わると
「じゃぁ、試してみようか」
 美由紀は、ニコニコと笑いながら、充電されたコントローラーを低周波治療器に付け替え、スイッチを入れる。
 当然の様に、美由紀がスイッチを入れた途端、美咲の乳首に強い刺激が与えられ
「いやぁぁっ!どうして・・」
 大声を上げながら、身体を抱き締めしゃがみ込む美咲。

 そんな美咲を尻目に、
「あら、やっぱり動いたのね。本当に約束を守れないお馬鹿さんだね」
 美由紀が冷たく言い放ち、更に追い打ちを掛けるように
「電池が早く無くなるように、手伝ってあげるね」
 嘲笑いながら、スイッチを最強に上げた。
「ひぃ、あががぁ!い、痛い!」
 美咲の乳首に、強く捻られるような刺激が襲い、悲鳴が止まらない。

 暫くすると、電池が無くなったのか、スッと刺激が止まり痛みが引いた。
 両手で胸を抱え込み、力無く項垂れ、ハァハァと荒い息を吐く美咲。
「残念。今日も、お仕置き決定だね」
 嬉しそうに美由紀が声を掛ける。
 美由紀の声に、美咲の顔が跳ね上がり
「そんなぁ。今日もここに来る前トイレで確認してきたんです。あんなに強く動くなんて絶対に可笑しいです」
 泣きそうな顔で抗議の声を上げる美咲に、スッと目を細め、冷たい表情に成った歩美が真っ直ぐに美咲を無表情で見詰め
「うっかり屋さんの貴女が、約束を守れるように訓練してあげてる私達に、この上、言いがかりまで付ける気なの?貴女は使い切ったと言い張るようだけど、あなたが着けてる機械は、手作りの特殊な物で、充電式の電池は充電器に刺さなければ、電力が増える事なんて有り得ないのは知っているわよね?それに。唯一充電出来る充電器は、あなたに預けてるって事も、勿論憶えてるわよね」
 噛んで含む様に、美咲に問い掛ける。
「でも、本当なんです」
 必死に弁解をする美咲だが
「動いた事は、事実でしょ!今日のお仕置きは、とても酷い事になりそうね」
 冷たい表情のまま歩美が宣言すると、今まで黙って後ろに立っていた佐知子が、ガッと手を伸ばし、美咲の首を後ろから掴んで、そのまま前に押し倒した。

 佐知子は、元女子バレー部のアタッカーだったが、先輩との折り合いが悪く、暴行事件を起こし退部して生徒会入りをしている。
 顔は、少し垂れた大きな目とスラリと通った鼻筋が特徴で、とても可愛らしいのだが、身体は、180pの長身と、1mは有るであろう豊満な胸、鍛え上げられた腹筋で引き締まったウエスト、大きく張り出したヒップを持ち、アンバランスな雰囲気を醸し出していた。
 そして、鍛えていたから当然だが、そこら辺の男子では適わないぐらいの腕力も持っている。
 佐知子は、しゃがみ込んだ状態で首を押さえ込み、土下座をするような形になった美咲の背中に、さらに膝を乗せて動けなくした。
「四の五の言わないで、訓練の挨拶をしな!」
 優しげな顔立ちからは、とても想像出来ない口調で佐知子が怒鳴る。

 その時、生徒会長室の扉がノックされ
「あのぉ、遅くなりました・・・」
 廊下から、蚊の泣くような男子生徒の声がした。
 ちっ!と軽く舌打ちをし、途端に不機嫌な表情になった美由紀が扉の鍵を外すと、ゆっくり開いていった扉の影から、ずんぐりとした男子生徒がおずおずと生徒会室の中に入ってきた。
 彼は、近藤昌聖(こんどう まさきよ)と言い、美咲と同じクラスの男子で、身長175pだが体重90sを超える肥満児だ。
 ぼさぼさの髪に、分厚い眼鏡を掛け、寡黙で孤立している上、顔中にニキビを作ってブツブツな容貌から、キングオブオタク等と皆から揶揄されている。
「遅れてすいません。頼まれてた物の調整に手間取っちゃって・・・」
 ぶつぶつと呟くように言う、近藤に苛々したのか
「こんな事しか役に立たないんだから、時間通りにちゃんと仕上げなさい!」
 美由紀が声を荒げ、吐き捨てる。

 近藤のようなタイプは、美由紀は生理的に受け付け難いらしく、いつもゴミでも見るような目で睨み付けている。
「そう。今の言い方は頼んだ通りの物が出来たと、理解して良いのかしら?早く見せて下さる」
 歩美の声に、
「はい、言われたとおりの外見と性能は、満たしました・・・」
 ぶつぶつと言いながら、鞄の中から取りだした袋を、歩美に手渡した後、歩美の横に移動した。
「さあ、全員揃いましたし、今日の訓練を始めましょうか」
 歩美が宣言した。
 今日も恥辱の時間が始まる・・・。

◇◇◇◇◇

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