僕の転機
MIN:作

■ 第2章 救いの手1

 一日の授業が終わり、帰り支度を済ませると、いつもは呼びに来る生徒会役員が今日は誰も来ない。
 美由紀は、最後の授業の終了時、学年主任に呼ばれ職員室へと姿を消したのだが、他のクラスの佐子まで顔を出す気配が無い。
(何か有ったのかしら?まあ良いわ。遅れて、歩美達に責める口実を増やす訳にはいかないわ)
 鞄を纏め、机の上に置くと、急ぎ生徒会室へ向かう美咲。

 生徒会室に着くと、珍しく昌聖が美咲より先に来ていた。
 昌聖は、背中を丸め、生徒会長の机の前で仕切りに頭を掻いている。
 一方歩美は、とても不機嫌そうな顔で机に両肘を着き、組んだ手の上に顎を乗せ、ジッと視線を机に向けている。
「昨日の夜は、良く眠れた?」
 歩美は、視線をズッと動かさず、美咲に向かって問い掛けた。
(眠れる訳が無いじゃない…解ってるはずなのに…)
 美咲が唇を噛みながら、歩美に報告する。
「いえ、明け方の5時ぐらいまで、その…動きが止まらなくて、殆ど眠れませんでした…」
 美咲の報告を聞いた歩美は、昌聖の方を睨み付け、溜息を吐き、静かに話し出す。
「近藤君。私が貴男に頼んだのは、最低でも、半日は、動くようにしてと頼んだわね…」
 歩美の言葉に、驚きを隠せない美咲。
(半日も…!一体何を考えてるの…?そんなにされたら…)
 開いた口がふさがらない美咲を余所に、昌聖が言葉を返す。
「あんな使い方をすれば、どうしても電力の消費が…」
 反論しようとする昌聖に、歩美が声を荒げる。
「貴男に頼んだわよね!」
 ビクリと震え、項垂れ、ウンと返事をする昌聖。
「じゃぁ、次は改良してきなさい。そうね、月曜日まで待ってあげるわ」
 そう言うと、歩美は美咲を見てニッコリと笑い
「楽しみにしてらしてね、美咲さん」
 楽しくて仕方ないという声音で話すのだった。
「今日は、臨時総会が入りました。貴女達は、今日の所は帰りなさい」
 歩美がそう宣言すると、席を立ち、昌聖に調整器を渡して
「ただし、美咲さんの電池を替えてからね…」
 と付け足した。

 調整器を受け取り、美咲の足下に跪く昌聖。
 顔を赤く染めてスカートの裾を、手を振るわせながら持つ美咲。
 そんな2人を、入り口の横に立ち、腕組みしながら見詰める歩美。
「早くなさい!それほど時間に余裕は無くてよ!」
 歩美の鋭い叱責が飛ぶ。
 打たれたように、美咲がそろそろとスカートを持ち上げる。
 昌聖が後ろに回り、ショーツを外し出す。
 アナルからバイブを抜いて、電池を交換すると再度元の位置に戻す。
 脱がせた時の逆手順でショーツを戻すと、調整器を使いロックを掛ける。
「交換は終わったようね。調整器は、明日の交換のために持ってても構わないわ」
 歩美が昌聖に告げると、生徒会室の扉を開けて顎をしゃくり、出て行けと指示する。
 2人は頭を下げ、生徒会室を退室して、それぞれの教室に戻る。
 教室に戻る途中、各学年委員に囲まれた美由紀達とすれ違ったが、会釈をして通り過ぎる。

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