僕の転機
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■ 第2章 救いの手17

 佐知子に向き直ると、その乳房の圧巻の迫力に、見とれる宗介。
 恥ずかしげに、顔を赤らめ身を捻る佐知子を制止し、手を後ろに組ませ、暫し堪能する。
 チェックのために触れた指は、その弾力と質感に押し戻されそうだった。
 両方の着け具合を、確かめ頷き、ショーツの説明に入る。
「これは、構造を見たら判るように、普通に履いて、後ろでロックする前に、お尻をちゃんと納める。そしてベルトを後ろで合わせると、OKだ」
 そう言って、美由紀のショーツを履かせてやる宗介。
 美由紀は顔を赤らめ、嬉しそうに宗介の為すが儘に成っている。

 後ろでロックを止めると、ショーツと言うよりも、ガードルと言った方が、しっくりする形状だ。
 これについては、歩美も誤魔化しようがないようなので、宗介は詰めに入る。
「よし、じゃぁ3人とも四つん這いになって、尻を突き出せ」
 指示通りに姿勢を変える、3人の奴隷達。
 宗介は、ショーツのロックを一旦解き、帯状に成ったカバーを外す。
 すると、インナーが覗き、そのインナーの後ろのクロッチに、アナルバイブを差し込んだ。
 アナルバイブと言っても、昌聖が作った直径2pに満たない太さで、長さだけはあるものの、何の苦もなくアナルに進入する。
 3人にそれぞれ挿入すると、帯状のカバーを戻し、ロックする。
 調教下着を付けた、3人に服を着る許可を下すと、宗介は奥の部屋に入っていった。

 3人が着ていた服を、それぞれ身につけると、奥から宗介が戻ってきて、佐知子を呼びつける。
「はい、何でしょうか?」
 佐知子が不思議そうに、宗介に尋ねると
「ブラウスは、これを着なさい」
 手に持ったブラウスを佐知子に差し出す。
 宗介の差し出したブラウスを受け取り、広げた佐知子は、驚きの表情を浮かべた。
 それは、佐知子が着ていたブラウスと、似たようなデザインであったが、明らかに素材が違っていた。
 総シルクのレースに、触れただけで判る上質のシルクの感触。
 佐知子の着ていたブラウスとでは、桁2つ程の違いが有る筈の物で有った。
「これをお貸し戴けるんですか?」
 佐知子の問いは尤もだった、確かに大きく縦に裂けたブラウスでは、帰りの道のりも大変だと配慮され、変わりを差し出されたと思ったのだ。
 しかし、宗介は首を横に振り、佐知子に告げた。
「これは、お前の物だ…俺の持ち物は、ここに有る」
 そう言うと、佐知子のブラウスの襟首を持ち、一瞬で二つに裂いてしまった。
 キャッと小さく叫び、身を竦める佐知子の肩を掴み。
「今では、原形を留めてはいないがな…」
 悪戯っ子のような、笑顔で佐知子を覗き込んだ宗介。
「さぁ、着替えてくれ。似合うと良いがな…」
 視線を外して、呟く宗介。

 自分の言葉と行動が、相手に与える影響を充分に知り尽くした、調教師の演技だった
 全てを黙って見詰める、昌聖。
 それを知りながら、人のコントロールの仕方を教える宗介。
 それに踊らされる、哀れな奴隷。
 佐知子は、目に涙を浮かべながら、強引なプレゼントに感動していた。
「有り難うございます。絶対大切にします」
 そう言うと、ブラウスを身に纏い、そっと肩を抱き感触を確かめる佐知子。
 理不尽な夜にあてられて、普通の思考が出来なく成った少女達。
 唯一、正しい思考をしていた者が、この後最も苛烈な運命を背負うのだった。

 宗介の家から、帰途に就こうとする、4人の女の子達。
 昌聖は、早々に家に電話を入れ、宗介の家に泊まる事を家族に告げている。
 玄関先で、美咲を送り出した後、奴隷達にちょっとした注意事項を与える宗介を訝しみながら、昌聖はさっきの下着に思いを巡らせる。
 リビングで考え込んでいる昌聖の元に、玄関先で注意事項を与えていた宗介が戻ってきた。
「宗介さんどうしたの、あんな所でくどくど言うなんて、らしくないなぁ」
 昌聖の一言に、溜息をつき頭を抱える宗介。
「お前は、あれの必要性に気付いてないのか?俺は、何分玄関で3人に話した?」
 宗介の意外な答えに鼻白む昌聖。
「えっ、確か15分程だったと思うけど…何で?」
 昌聖の答えに、少し苛立ちを感じた宗介は
「美咲ちゃんは、ここから15分経ったら、何処にいる…」
 宗介の答えで、その意味にやっと気づき、ポツリと答える。
「家だ…」
 呆然と呟き、宗介の顔を見詰める昌聖。
「じゃあ、あの3人が美咲ちゃんと、一緒に帰った場合、どんなリスクがある?」
 宗介の質問に、しどろもどろになりながら、答える昌聖。
「復讐の仕返し…」
 自分で言ってゾッとしたのか、震える昌聖。
「最悪の想定をするのが遅すぎる…。もっと、周りを。もっと自分を。もっと状況を。見て!知って!理解しろ!それをリアルタイムで考えられるのが、サディストとしての最低条件だ!今のお前なら、そこいらのいじめっ子にも劣るぞ!」
 宗介の激しい叱咤に、自分の未熟さを恥じる昌聖。
「ごめん宗介さん…僕、あの下着の事が気になって…あんな物を誰が作ったか、知りたくて…」
「言い訳はするな!俺達の世界では、言い訳程無用な物はない!良く憶えておけ。それに、俺はあれを作った人をお前に教えたぞ。もう忘れたか?」
 宗介の言葉に記憶を探る昌聖。
(確か、あの時宗介さんは、僕の身近な人って言ってたな…僕の身近で、あんなのを作る人って…父さん?)
 昌聖は、今年65歳に成る、自分の父親を思い出す。

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