僕の転機
MIN:作

■ 第3章 少女の目覚め1

「どうしたの?忘れ物?」
 モニターに話しかける宗介。
『あの、あの、少しお話をしたくて…』
 美咲の態度に用件を理解する宗介。
(さて、どう持って行くかな…。取り敢えずは、話の方向によりだな…)
 ほくそ笑みながらも、インターホンに言葉を投げかける。
「解ったよ。今、行くから少し待ってて」
 玄関に向かって歩いていく、はやる気持ちで扉を開けると、そこには、美咲が顔を赤らめ立っていた。
「どうぞ」
 ぶっきらぼうに、、話しながら顎をしゃくって招き入れる。
 美咲が、現在招かざる客だと、思わせるための行動だった。
「すいません、お邪魔します」
 宗介のニュアンスを感じ取った美咲が、恐縮しながら玄関を潜る。

 招き入れた宗介は、内心迷っていた。
(この様子だと、完全に俺目当てだな…どうやって、昌聖に興味を向けさせる?う〜ん…)
 頭を抱えながら、歩く宗介に後ろから付いてくる美咲が肩を落とす。
(やっぱり迷惑だったんだ、こんな他人にオモチャにされた身体だと、敬遠されるわよね…)
 二人がリビングに着く前に、同時に大きなため息を吐いた。
 リビングに着いて、二人で向き合いソファーに座る。
 お互い、言葉の始まりが掴めなくて黙り込む。
 沈黙がリビングを支配する。

 その時、昌聖がどたどたとリビングに入って来て、美咲に気付かず会話を始める。
「宗介さん、僕頑張るよ!絶対にあいつらを服従させ…。あれ?美咲ちゃん」
 話しかけた言葉の途中で、美咲に気が付く昌聖。
「あの、ちょっと宗介さんに話があって…」
 顔を赤らめ俯く美咲。
「あっ。そ、そう。僕邪魔だね…」
 踵を返して、立ち去ろうとする昌聖に
「昌聖、逃げるなお前も関係する話だ!此処に居ろ」
(ここは直球勝負だ!最悪でも、変わる切っ掛けには成るだろう…)
 宗介が、昌聖を引き留めた。

 驚く昌聖と美咲に、言葉を続ける宗介
「美咲ちゃん、昌聖。俺の言ってる事が間違えてたら言ってくれ」
 言葉を句切り、二人を見つめる宗介。
 黙って頷く昌聖と美咲。
「美咲ちゃんは、今俺に処女を捧げて俺の女に成ろうとして来た。そうだね」
 美咲が言葉を取り繕うとするが、上手く言葉が出ず俯く。
「昌聖は、美咲ちゃんの事が好きだ!間違えないな」
 昌聖が反論しようとするが、言葉が出ない。
「俺も、美咲ちゃんは可愛いと思う。だけど、俺に付いて来れる女は、間違えなく居ない」
宗介の言葉に、否定も反論も出来ない二人。
「何故なら、俺はそう言う世界に生きているからだ」
 宗介の言葉を黙って聞いていた美咲が
「でも、でも。私を救ってくれたのは、宗介さんです!私、宗介さんの心に残りたい!」
 美咲の訴えを聞いて、深くため息を吐く宗介。

 暫く言葉を探しながら沈黙するが、言葉が見つからず話し出す。
「確かに、俺の心には残るよ…。重荷としてね…」
 宗介の言葉に、涙を浮かべる美咲。
 顔を赤くし、檄しい怒りを露わにする昌聖。
「何て、言い方するんだよ!宗介さんは、美咲ちゃんの気持ちをなんだと思ってるんだ!」
 食って掛かる昌聖を苦笑しながら指さし
「こんなに君の事を理解している男が傍にいるのに、君の目は何故そこに向かない?」
 宗介の言葉に、美咲が震える。
「だって、だって昌聖君は、私の醜い姿も見てるし…。はしたない、女だって知ってるし…」
「そんなの関係ないよ!美咲ちゃんは、いつも可愛くて、僕みたいなデブにも気を使ってくれて…」
 昌聖と美咲が、二人でネガティブトークを始めだした。
「ストップ、ストップ!で、お互いがお互いを認めてる事が解ったら、二人で話を進めて貰って良いかな?」
 宗介が、早々に話を切り上げ退散しようとする。
「ただし、お互い前向きにね、お風呂の場所と寝室は、昌聖が知ってるから仲良くね。お休み」
(後は、お前の頑張り次第だ!健闘を祈るぞ昌聖…。俺のためにも早く成長してくれ…)
 そう言うと、スタスタとリビングを後にした。

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