僕の転機
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■ 第3章 少女の目覚め10

 部屋の中に入り、電気を付けると。
 そこには、シングルベッドが一つと、テレビと小さめのテーブル、その上にレポート用紙とボールペンが置かれていた。
(やっぱり、有った!昌聖様が美咲を遠ざけたのは、[契約しなければ奴隷とは見ない]と言いたかったんだ。)
 美咲は、テーブルに飛びつき、レポート用紙を開き考え出した。
(ネットで、見たような文面で良いかな?良く分かんないけど、どれも同じような物だったし…最後まで書いて変だったら直そう)
 ペンを取り目の前の白紙に、自分の思いを書き出した。
(まずは、美咲の立場を明確にしなくちゃ…)
 レポート用紙にスラスラとペンが走る。
(次は、やっぱり決まりかしら…私が決めても良いのかしら?でも、昌聖様は自分で書けと仰ったし、良いわね…)
 また、レポート用紙の上をペンがスラスラと走り出す。
(次は、美咲の覚悟ね。これは決まってるから書き易いわ…)
 一心にレポート用紙に書き込む美咲。
(次は、契約書だから契約書、自体の決まりと期限が必要だわね…)
 少し考え、書き込み、また考え、書き込むを繰り返した。
(最後は、昌聖様の名前と私の名前を書いて出来上がり)
 20分ほどの時間を掛けて、出来上がった[奴隷契約書]を一から読み返す美咲。

奴隷契約書
 この契約書は、私、橘美咲が自分の意志でその人権及び財産を含む、存在の全てを近藤昌聖様に譲渡し、その指示に従うことを誓約するもので、如何なる事態が発生した場合でも、それは橘美咲本人に責任の所在が帰属する事を証明する書類である。
 この後に書かれる内容は、全て橘美咲本人が自らの意志で、奴隷となり、その心構えとして綴り遵守する事を誓う物である。
 一つ、橘美咲は、これよりその名前を捨て、奴隷として生涯を掛け主人近藤昌聖様に尽くし、従う事を誓います。
 一つ、奴隷の呼び名は主人が決めた物を法律的不都合が出ない範囲で、生涯使用する事を誓います。
 一つ、奴隷は一切の権利を所有せず、一つの物として存在する事を誓います。
 一つ、奴隷は何時如何なる場合に於いても、主人の命令を絶対とし、物理的速やかに命令を遂行する事を誓います。
 一つ、奴隷は自分の欲求を満たす、排便、睡眠、食事、入浴、自慰等の全ての行為を主人の許可無く行わない事を誓います。
 一つ、奴隷に許された思考行為は、主人の命令を素早く実行する事、主人を楽しませる事、主人に不利益を与えない事の三っつとし、それ以外の思考を行わない事を誓います。
 一つ、奴隷は常に道具として主人に使用して頂けるように、その身体の全てを鍛え、磨く事を怠りません。全ての穴、体型維持は元より、主人が何処に出しても恥ずかしくないように日々精進する事を誓います。
 一つ、奴隷は生涯一切の着衣を付けず、全裸で居る事を基本とし、主人の指示がある場合にのみ、指定の着衣を付ける事を誓います。
 一つ、奴隷は主人の指示された方に最大の敬意を表し、全身を使い全力で奉仕し、道具としてもてなす事を誓います。
 一つ、奴隷が至らなく主人及び、主人の指示された客人に罰せられる時や、気分により与えられる罰は、どの様な事であろうと受け入れる事を誓います。
 一つ、奴隷は主人及び主人の指示された客人の体液は、全て最上の物とし、一滴も余す事無くこの身の中に受け入れる事を誓います。
 一つ、奴隷は一切の避妊をせず使われる事を自覚し、それにより、もし妊娠等の事実が起きたとしても、奴隷の責任として処理する事を誓います。
 一つ、奴隷は主人の持ちもであり、一切の合意無く、人体の変形や改造、生涯消える事のない傷や入れ墨等、その行為により生命に危険が及ぶような事でも、全て奴隷自身が望んで施して頂いた行為であると認める事を誓います。
 一つ、この契約書に加筆、変更を行える者は主人のみとし、その変更に対して一切の抗議や反論を唱え無い事を誓います。
 一つ、この契約の有効期限は、どちらかの死を持って終了するか、主人が解約するまで有効とし、解約後も主人の意志で、どの様な状況及び状態でも復活し、その他一切の事を放棄する事を誓います。
 平成○○年○月○日
 主人 近藤昌聖
 奴隷 橘美咲

(出来た。受け取って貰えるかしら…昌聖様…。大丈夫かな……)
 美咲は、出来たばかりの奴隷契約書を手に立ち上がり、昌聖の部屋へと向かう。
 コンコン、昌聖の部屋の扉をノックする。
(眠られたかな?今日、許可が下りなかったら、私ひとりぼっちだ…返事がない。もう一度だけ…)
 ノックしようとした、美咲の手が中からの声で止まった。
「開いてるよ、入っておいで」
 扉を開けて中に入ると、赤い豆球が点っていて、中はうっすらと見て取れる。
「あの、昌聖様。見て貰いたい物があるんですが…」
 震えながら、昌聖の部屋の扉を閉め、入り口に佇む。
「なに?早くして貰えるかな?」
 入り口の美咲に、抑揚のない声で答える昌聖。
(まただ、昌聖様の声が私を拒否してるように聞こえる…。早く、これを見て貰わなきゃ)
 美咲が、震える身体で昌聖に近寄る。
「あの、あの、…これを読んで受け取って欲しいんです」
 美咲がベッドの横に正座し、奴隷契約書を差し出した。

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