僕の転機
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■ 第3章 少女の目覚め11

 昌聖が、受け取り電気を付け読み始める。
 部屋が明るくなり、昌聖が全裸で布団に入っている事に気付いた美咲。
 腰の奥が途端に熱くなり、モジモジと腿を擦り合わせる。
 それは、奴隷が主人の側に来た時に起きる、自然な反応だと知るのは、もう少し後の事だった。

 美咲の奴隷契約書を読んだ昌聖が、顔を上げる。
「基本的にはこれで良い、あと少し直す箇所は考えてあげる」
 そう言うと、昌聖は美咲に向き直り。
「奴隷契約書を受け取った。お前は、今から正式に僕の物だ」
 昌聖が美咲に告げた。
 美咲は、バスローブを脱ぐとそのまま頭を下げて
「未熟者ですが、一生懸命に努めます。至らない事が有れば、直ぐにお申し付け下さい」
 声を詰まらせながら、答えた。
「美咲、顔を上げてごらん」
 昌聖の声に顔を上げ、その手に持っている物を見て、美咲の眼がさらに潤む。
「首を出せ」
 昌聖の言葉に目を瞑り、大きく首を伸ばす美咲。

 その首に赤い中型犬用の首輪が嵌められた。
「昌聖様……」
 美咲は、やっとの思いで主の名を呼んだ。
「僕の横においで」
 ニッコリ笑いながら呼ぶ昌聖に、飛びつくように抱きつく美咲。
「昌聖様…昌聖様……」
 何度も何度も主人の名を呼ぶ美咲。
「こら、落ち着け。ほら…」
 そう言いながら、美咲の頬や瞼や唇にキスしながら、頭を撫でる昌聖。
 美咲は、されるがままにキスを受け、気持ちを落ち着けていった。
「落ち着いたか?どうしてそんなに泣いたの」
「はい…。昌聖様に捨てられたかと思って、不安で仕方なかったんです」
 素直に、自分の不安を打ち明ける美咲。

 その美咲に、昌聖もまた不安な気持ちを打ち明けた。
「美咲。本当に僕で良いの?こんなデブで、オタクで、ブサイク眼鏡の僕で…」
 昌聖は、自分の容姿にかなりのコンプレックスを持っている。
 しかし、美咲には、そんな事は一切関係はなかった。
 逆に、美咲が昌聖に聞き返す。
「昌聖様こそ、こんな淫乱で変態な女をお側に置いて頂いても、構わないんですか?」
 お互いが、違う位置でコンプレックスを抱いてる事を知り、同時に可笑しくなった。
「昌聖様は、デブでブサイクと言いますが、痩せれば間違いなく、顔のバランスや骨格から言って、美形の部類に入りますよ。ですから、昌聖様のコンプレックスは改善出来ます。その点、私の場合は、性格と言うか、本能と言うか修正のしようが無い事ですもの……」
 昌聖をフォローし、自分のコンプレックスに落ち込む美咲。
「美咲の場合は、相対する趣味を持った人に出会えば、それは何物にも変えられない特質に成るじゃない。僕のは、万民に嘲笑される対象だから…」
 二人の噛み逢わない意見が、徐々に摺り合わされる。
「ですから、美咲は昌聖様が居ないと駄目なんです。昌聖様はお風呂でも言いましたけど、私の全ての、初めての方なんです。口も、アナルも、オ○ンコも、全部最初に入れた方なんです。そんな人が私の性癖に合った人なら、私には最高の人じゃ有りませんか?」
「確かに、美咲の言う事は、尤もかも知れないけど、美咲みたいな可愛い子が、僕みたいなのの相手で良いのかなって……」
 自分に自信が持てない昌聖は、落ち込んでいく。
「他の人は関係有りません!美咲にとって最良の方は、昌聖様しか考えられません!」
 そう言いきった美咲に、煮え切らない昌聖は、本音を吐く。
「僕は、今だから言うけど、ずっと美咲が好きだった…。表情も、仕草も、性格も、何もかも。実際あの虐めに耐えられたのは、美咲が居たからなんだ…」
 昌聖の本音を聞いて、美咲の表情がパッと明るくなる。
「昌聖様…本当ですか?嬉しい、美咲本当に嬉しいです。私達、相思相愛の関係なんですね…」
 歪んだ乙女心を振るわせて、縋り付く美咲。
「そうなるね…」
 美咲と打って変わってテンションの上がらない昌聖。
「昌聖様、そんな事気にしないで下さい。美咲には昌聖様が必要なんです。他人の目など気にしないで、私を飼って下さい」
 美咲が、昌聖に引きずられ落ち込んできた。
(美咲の心は、本物だ…これ以上試すような真似は、今後にも引きずる可能性が出るな…)
 昌聖は、偽りの落ち込みを終わらせる。

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