僕の転機
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■ 第4章 眠れぬ奴隷達11

 同時刻、歩美の家。
 際限なく続く下着の責めと、絶頂の度に体内に追加される、催淫剤により、全身を性感帯に変えられた歩美は、シーツが擦れる動きさえ快感としていた。
 そんな歩美は、その日9回目の責めを受けていた。
 ブラジャーとお尻のバルーンが同時にやわやわと動き、責めを引き延ばす。
 今の制御システムは、完全に歩美の身体をコントロールしている。
 快楽と痛みを使い分け、現在70分間起動中である。
 歩美は、与えられる刺激に震え、悶え、苦しみ、鳴く、哀れな操り人形と化していた。
 そして、そんな歩美の身体を操るのは、只の機械である。

 歩美は、お腹と腿の露出部分をさわさわと撫で回している。
 その歩美の顔は、口を半開きに涎を垂らし、唇の周りには白く涎の後をこびりつかせ、小鼻をヒクヒクと動かし、眼には霞が掛かったように視点など定まっていない、その顔は、知性のかけらも存在しない、只の色情狂のようになっていた。
 絶頂寸前の状態が何十分も続き、歩美の頭の中には、既に何の考えも浮かんでいない。
 与えられた快楽に単純に応え、絶頂を迎えるだけのただの肉の塊だった。
 乳房とお尻の刺激に、大淫唇も加わり歩美の口から
「あ〜〜〜」
 と痴呆のような声が漏れ出す。
 アナルバイブが振動を開始すると
「あ、あ、あ、あ、」
 とその声が小刻みになり、腰が声と同じリズムで跳ねる。
 しかし、その動きは、決して歩美が絶頂を極めないように、ギリギリの刺激しか与えていない。

 そして、与えられる痛みと快感のミックス攻撃。
 痛覚を刺激しながら、性感帯を刺激する。
 その、微妙な増減で歩美の快感は、チューナに調整される機械のように、その感度をコントロールされる
 また、イク事を引き延ばされ、ベッドの中で淫らなダンスを踊り続ける。

 数分が経過し、歩美の脈拍の限界を察知した制御部が、バイブの蠕動と乳首とクリトリスの振動を加わえ、歩美を絶頂に導く。
「あーーーー」
 と声を上げ、絶頂を迎える歩美は、表情は虚ろのままに、身体だけを大きく波打たせる。
 ヒクヒクと腹を動かし、余韻で軽くイキながら、またアナルに催淫剤が追加される。

 身体の力がだらしなく抜け、グッタリとしている歩美。
 その時、歩美の携帯が鳴る。
 枕元に置いた鞄の中で、曲を奏でながら振動する。
 携帯に気付いて居ないのか、ボーッとしている歩美に、クリトリスのキャップが強く閉まり、最大振動で動く。
「ひーっ」
 強烈な痛みに近い刺激で、少し自我が戻った歩美は、携帯電話に気付く、しかし手を伸ばす気配がない。

 暫くすると携帯電話が切れて、また鳴り出す。
 ボーッとしている歩美に、またさっきの刺激が走る。
「ひーっ」
 痛みは、また少し自我を目覚めさせ、電話に出る気にさせた。
『歩美か?早く電話に出ないか!』
 電話の声は、宗介だった。
 宗介は、パソコンで各人の下着の動作状況をモニターをしていて、佐知子がリビングでイッた後にデーターのチェックをした。
 するとそこに、[歩美:65分/175分起動]と目を見張る数字が出ていた。
 生命の危機を感じた宗介は、急遽呼び出しのため、電話を入れたのだった。
 そんな宗介は、返事を返さない歩美に、危なさを感じていた。
『歩美。今すぐ調教を受けに来なさい』
 命令した。
 すると、驚いた事に歩美が返事を返す。
「はい。解りました」
 そう言うと、スッと掛け布団を捲り、昨日の洋服のまま立ち上がった。
 歩美のスカートのお尻の部分は、お漏らしでもしたようにズブズブに濡れていた。
 そのまま、家族の寝静まった玄関を出て、宗介の家の方に向かう。
 歩美は、携帯電話を通話状態で持ちながら、夢遊病者のように道の真ん中を素足で歩いている。

 宗介は、車で歩美の家の近くに待機していて、歩美が姿を現すのを待っていた。
 視界に入った歩美を見て、眼を押さえる宗介。
(失敗した。完全に俺のミスだった。まさかあんな時間動いてるなんてな…間に合えよ)
 車を出て歩美に走り寄る。
 手を掴まれた歩美が、動きを止める。
「こっちだ。来なさい」
 宗介の言葉に促されるまま、車に乗る。
 宗介は、青い透明な錠剤を歩美の口に入れ、飲み込ませた。
 そして、車を動かし自宅へ走り出す。
 家に着いた宗介を、昌聖と美咲が迎える。
「どうだった?大丈夫だった?」
 昌聖が真剣な顔で尋ねる。
「何とか大丈夫だったよ」
 少し落ち着いた様子で、隣に佇む歩美を指差す。
 歩美は、トランス状態だが自我を少し取り戻していた。
「よし、外してやるから入れ」
 歩美に指示する。
「はい…」
 小さく返事を返し、素直に従う。

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