僕の転機
MIN:作

■ 第6章 回り出す歯車7

 指示されたように湯船に浸かると
「こうですか?昌聖様」
 指示通りに出来ているか確認する佐知子。
「ああ、そんなもので良いよ。後は中に入って微調整するから」
 そう言うと、自分も浴槽の中に入り、佐知子の股の間に尻を置き、身体を後ろに預ける。
 その行動に、昌聖の要望を察した、佐知子が身体の位置を整える。
「おっ、良い感じだ佐知子。もっと頭をフィットさせる感じで…そう、次は膝を曲げて立てろ。良い感じだ」
「どうですか?こんな感じで宜しいでしょうか?」
「ああ、気持ち良いぞ…やっぱり佐知子ぐらいの身長差がないと、こうもフィットしないな…」
「有り難うございます…。身長の事を言われて、こんなに嬉しくなったのは初めてです…」
 湯船の中では、昌聖の身体を後ろから支え、その大きな胸を枕代わりに差し出し、膝は肘掛け代わりにされる佐知子。

 ゆったりと身体を伸ばし、後頭部で佐知子の乳房を堪能する昌聖。
 そんな昌聖に身体を任せ、ウットリとした表情を浮かべる佐知子。
 暫くジッとしていた佐知子が、
「昌聖様…手を動かしても宜しいでしょうか?」
 尋ねてきた。
「どうしたの?疲れた?」
 昌聖の問いに佐知子は首を振る。

 すると、それに連動して乳房が揺れたため、昌聖の頭も左右に振られた。
 慌てて、動きを止めた佐知子は、スッと手を昌聖の肩に当てマッサージを始めた。
「こう言う動きをさせたいんですが、宜しいですか?」
 佐知子の言葉と動きに、
「うん、許す。思う存分遣ってくれ」
 笑いながら承諾する昌聖。
 暫く、無言で湯船に浸かる2人。
(ああ〜っ、幸せ…こんなゆっくり時間が流れる感覚初めて…こんな時間がもっと続けばいいのに……無い物ねだりね……?)
 佐知子は、その時有る事に気が付いた。
(あれ?ひょっとして…奴隷になる事を認めたら…ずっと、一緒にいられるんじゃないかな?…そうよ、奴隷になれば良いんだわ!…そうすれば)
 そんな、佐知子の考えを中断させるように昌聖が声を掛ける。
「こんな気持ちの良いのも、佐知子が奴隷で居る期間だけだな…」
 そう言うと、昌聖は佐知子から身体を離し、向き直る。

 ビックリした顔で佐知子が昌聖の視線を受け止める。
「でも、佐知子。君は奴隷になんか成っちゃ駄目だよ。あんな辛い目に有ったんだ、この調教を終わらせたら、二度とこんな世界に引っ張られないように、宗介さんに頼んであげる。それに佐知子を心配して、優しくしてくれた、君の養父母が絶対に悲しむ。だから、君は奴隷になんか成るべきじゃない」
 佐知子の手を握り、真剣な表情で告げた。
(え〜っ!今、私決心したばかりなのに!昌聖様に止められるなんて…だめよ、此処はハッキリ自分の気持ちを伝えなきゃ!)
 佐知子がそう思い口を開こうとした瞬間、ザバッとお湯を跳ね上げ昌聖が立ち上がり、
「こう言う事は、早めに言っておいた方が良いと思う。先に上がってるね」
 そう言い残すと、さっさとバスルームを出て行く昌聖だった。

 バスルームに一人取り残された佐知子は、出て行った昌聖を、引き留めようとする姿勢で固まっていた。
(昌聖様の優しさは解るけど…。少しは、私の意見も聞いて欲しい…。でも、このまま私が奴隷になったら、昌聖様の言う通り両親を悲しませる事になる…。どうしよう…)
 思い悩む佐知子は、この時点で既に思考を支配されている事に、全く気付いておらず、さらに悪い道を進むのである。
(昌聖様の気持ちを無駄にしないで…、私が傍に入れる方法…。これが終わって、普通に告白して付き合うなんて有り得ないし…。優しさにつけ込む…?それもしたくないな…。…日数を伸ばすにしても、調教失敗は役立たず見たいに思われるし…。今の気持ちで、命令違反なんて論外だし…)
 湯船に浸かり口までお湯に付け、ブクブクと泡を吹いていた佐知子は、突然ブハッと大きく息を吐き、ルールを思い出した。
(そうだ!私から求めれば良いんだ…確か、SEXで10日のペナルティーだった!…昌聖様にして貰って、期間も延長する!これぞ一挙両得)
 妙案が浮かんで上機嫌になった佐知子は、急いで風呂を出る。
 身体を大急ぎで拭い、四つん這いでダッシュする。

 リビングに入ると、昌聖と美咲が、それぞれソファーに座りコーヒーを飲んでいた。
 美咲の横に、美由紀が座っていたので、迷わず昌聖の元に走り寄る佐知子。
 すると、昌聖の口から
「宗介さんが呼ぶまで誰も入って来るなって指示が出たらしいから、今は休憩中だよ」
 と告げられた。

◇◇◇◇◇

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊