僕の転機
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■ 第7章 奴隷達の思い1

 歩美は、宗介の命令により、最下層の奴隷に落とされてしまった。
 そんな歩美を、佐知子は完全に敵視していた。
 元々、権力を嵩に着て、横暴に振る舞う歩美が嫌いだったが、それ以上に、自分だけはどんな時でも特別と思う考えが、心の底から許せなかった。
(今まで、威張り散らして来た事を、精一杯悔やみなさい…)
 佐知子は、自分より下位に成った、かつての権力者に暗い炎を燃やしていた。

 美由紀は、自分に実害が無い事に、胸をなで下ろし、興味は全く別の所に向いていた。
 そう、お風呂場で美咲に聞いた、自分の存在意義。
 強く生まれ変わるための、ターニングポイントを見つける事
(私も、美咲のようになりたい!たった1日で…いいえ、たった一晩で、あそこまで変われる、出会いをしてみたい…)
 しかし、美由紀には、その変えた本人が、先入観のため見えていない。

 最後に残った歩美は、自分の余りの衝撃的な映像を見たショックから、自分を取り戻す事が出来ていなかった。
 その後に起きた、追い打ちを掛けるような出来事も、歩美にとっては許容しがたい事実であった。
 最下層の奴隷と言われた事も、友人と思っていた佐知子の裏切りも、歩美にとっては、強い自己否定の始まりだった。

 そう、全ては宗介の思惑通りに物事が運んでいく。
「今日の調教は、全員がレベルを選べる時間帯に此処に居たから、競争で決めよう」
 宗介の提案に、昌聖が答える。
「宗介さん。でも、厳密に言えば、トップは美由紀で。次は、佐知子なんだから、2人に意見を聞いて見るのは駄目なのかな?」
 昌聖の質問に宗介は、渋い顔をしながら。
「昌聖…。良く憶えておけ、奴隷に意見を求めるのはタブーだ…。何故なら、奴隷は決定権も、主人に渡しているから、答えようが無い…」
 宗介の言葉に、昌聖がまた反論する。
「それは、本当の奴隷の場合でしょ?この娘達は、ペナルティーとして調教を受けている偽物じゃない…。少しぐらい加減すれば」
 昌聖が、真正面から宗介に意見を言う。

 それを聞いていた、美由紀と佐知子の反応は、全く別の物だった。
(昌聖君やる〜っ!あのおっかない人に、真正面から意見をぶつけるなんて…。かなり格好いい!…昌聖君も一晩で変わったな…)
 自分自身、昌聖に対する態度が変わった事に気付かない美由紀は、賞賛の声を上げ。
(偽物の奴隷なんだ…。私は、やっぱり誰にも求められる事はないのね…。そう…、これが現実よ…)
 暗く、陰鬱な考えを展開し、落ち込んでいく佐知子だった。

 一人蚊帳の外の歩美は、自分も関係しているだろうと、口を開くが
「お前に意見をいつ求めた?命令を下されるまで、物のように動くな!」
 宗介が一括し
「調子に乗るんじゃない!お前は、意見を言える立場かどうかも分からないのか?」
 昌聖に怒鳴られ
 美咲に至っては、無言でビンタを食らわせる。
 ボロボロに攻撃された歩美は、こそこそと身を屈め、決定が下りるのを待った。

 宗介は、昌聖の意見をもう一人の主人である、美咲に問い掛ける。
「昌聖は、こう言っているが、美咲はどう思う?」
 気怠そうな表情で
「この子達は、あくまで奴隷なんだから、そこまで気を使う必要は無いと思うわ。ただ、私もルールを曲げるのは、嫌ですね」
 宗介の意見を、昌聖とは違う理由で否定して、何かを考え出し
「いっその事、競争自体を調教にしたらどうでしょう?例えば、こんなのはどうですか…」
 宗介と昌聖を集めて、話をしだした。

 3人は、顔をつきあわせて何やら、密談している。
 時折、宗介や昌聖が口を挟み、美咲の考えた調教を煮詰めていく。
 数分後、3人はお互いの意見で出来上がった、新調教を奴隷に披露する。
 3人とも、満足のいく内容だったのか、その顔には満面の笑みを浮かべていた。
「グループ調教を行うことにした。この調教は、結果によっては、最大5日の増減になる」
 宗介は、ニコニコと奴隷達に、ルールを説明しだした。
「これから、お前達には町に出て、ある人達に声を掛けナンパをして貰う。そして、その人達の精液を搾り取ってくるんだ」
 宗介の説明に、衝撃を受ける奴隷達。

 溜まらず美由紀が、質問をする。
「それは、SEXしてくるって言う事ですか?」
 まだ、どちらの穴も処女の美由紀は、必死の表情で聞いてきた。
「ん?俺は、精液を搾り取って来いとは言ったが、方法までは限定していないぞ」
 宗介が美由紀に、戯けながら言った。
 美由紀は、ホッと胸をなで下ろす反面、佐知子に目を向け
「でも、何を使っても良いなら、私は余りにも不利です。佐知子は3人同時に出来るけど、私は…」
 美由紀が口ごもる。
「良いぞ。負けたくないなら、遠慮せず処女を散らしてこい。俺達は別に、そんな物に固執して無いから」
 宗介の冷たい言葉にショックを受けるが、美由紀にはどうすることも出来ない。
(見ず知らずの人に処女を奪われるの?でも、使わなかったら勝ち目はないし…。でも、ここでSEXしてって言うと、折角短くした期間が…)
 美由紀は、激しい葛藤に襲われている。

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