僕の転機
MIN:作

■ 第8章 変わりゆく関係8

 当然と言えば当然の反応で、自分の肩が脱臼する程身体を捻る痛みの、数倍の痛みが、今絶える事無く続いているのだ。
 歩美は、痛みで失神し、痛みで目覚めるを繰り返した。
 宗介は、そんな歩美に、この痛みの原因は何にあるか、どうすればこの痛みを与えられないかを、蕩々と言い聞かせた。
 30分が過ぎた頃、傷口に塗った薬は白く塊、薄い膜を作っている。
 グッタリした歩美の身体に水を掛け、白い塊を落とすと、爆ぜた皮膚はうっすらピンク色の線に変わっていた。

 拘束から歩美を解いた、宗介の元に一本の電話が入る。
 その電話を受けた宗介の顔が見る見る険しくなる。
「歩美。今日の調教は終わりだ、そのまま走ってリビングまで付いて来い」
 そう言い残すと後ろも振り返らず、入り口へ走り出す。

◇◇◇◇◇

 昌聖と調教部屋を出た佐知子は、とても上機嫌であった。
 何故かと言うと、昌聖の横で腕を組み、歩いて居るからだ。
 調教部屋を出る時に、昌聖がポツリと佐知子に呟いた。
「今日は疲れたろ…?上までは、カメラもないから立って良いよ…」
 そう言って佐知子の2足歩行を許可し、手を差し伸べた。

 佐知子は、突然の申し出に驚き戸惑ったが、その差し出された手に縋り付く。
 佐知子は、立ち上がると手を離そうとしたが
「佐知子は僕と手を繋いで、歩くのは嫌か?」
 昌聖が、尋ねてくる。
 昌聖の言葉に首をブンブンと振り、強く否定すると
「とんでも御座いません!とても嬉しいです!宜しいのですか?」
 聞き返して来た。
「構わないよ…今はご褒美だから、佐知子の言う事を出来るだけ聞いてあげる」
 ニッコリ笑って佐知子に告げる。

 佐知子は、その笑顔に真っ赤になって、さらなる要求をする。
「でしたら…。あの…、腕を組んでも宜しいでしょうか…」
 声が段々小さくなり、それに連れてモジモジとし、佐知子の身体も縮こまる。
 佐知子の手から、突然昌聖の手が離れる。
(あっ!怒られる!余計な事を言っちゃった…)
 反射的に首を縮め、目を閉じ身を竦めた佐知子に
「どうしたの?早くおいでよ」
 必要以上に優しい昌聖の言葉が届く。

 目を開けた佐知子の前に、肘を軽く曲げた昌聖の腕が差し出されていた。
(やったー!許可して貰ったんだ…。昌聖様、有り難う御座います…。うふふふっ)
 相互を崩して、佐知子はその腕にしがみ付く。
 豊満な乳房を押しつけ、昌聖の腕に抱きつく佐知子は、満面の笑みを浮かべている。
 高々数mの距離を歩くだけと言うのに、佐知子は有頂天になっている。
(佐知子ちゃん。今日は、こんなモンじゃ済まないよ…。たっぷり、サービスして上げるからね…)
 正面を向いた昌聖の顔は、とても邪悪な微笑みを浮かべていた。
 コンクリートの階段も、あと3つに成った時、昌聖が佐知子に
「ここから先は、ビデオで確認されるから、いつものように移動して」
 優しく話す。
 佐知子は名残惜しそうに、昌聖の腕を放すと四つん這いになり、昌聖の後に付いて行く。

 風呂場に着いた昌聖は、自分で脱ごうとした手を止め、下から見上げる佐知子に
「脱がせたい?」
 悪戯っぽく聞いた。
 佐知子は、首をブンブンと縦に振り
「はい!是非お願いします」
 顔を真っ赤にさせながら、申し出る。
 昌聖は、許可を与え佐知子の手を取って立たせて上げた。
 佐知子は、昌聖に抱きつき、その豊満な身体を押しつけながら、甲斐々々しく昌聖の服を脱がせる。
 脱がせ終わった服を丹念に畳み、床に平伏して捧げ持つ。
 昌聖がそれを受け取り、棚に置くと浴室に入って行く。

 その後に続いた佐知子に、昌聖が待つように伝えると、ユックリと肩や背中を撫でながら、掛け湯をしてやる。
(はぁ〜っ…。昌聖様…、気持ち良いです〜…。こんなにして貰って、良いのかしら…)
 佐知子がウットリとしていると、昌聖が早々に湯船に入り佐知子を手招きする。
(いけない!昌聖様のお世話を忘れるなんて…。こんなんじゃ、本当に昌聖様の奴隷に何て成れないわ…)
 佐知子が自分を取り戻し、昌聖に詫びを入れ、浴槽に入る。
 昌聖が誘導して、佐知子が背中を預けるかたちを取り、そのまま後ろから肩を通して佐知子を抱き締める。
 昌聖の腕に抱かれ、頭を昌聖の胸に預けた佐知子は、軽く昌聖の腕に手を添え、その安心感に陶酔する。
(これ…、良い…。凄く…、落ち着く…。昌聖様の腕の中、心地良いわ…)
 心を落ち着かせ身体がリラックスした状態を見計らって、昌聖が次の行動に移る。
「どう?佐知子こんなのも、中々良いだろ?」
 昌聖の質問に、佐知子は頬を赤らめ[はい]と呟く。
「じゃぁ、こんなのはどう?」
 そう言うと、昌聖は佐知子の身体を優しく愛撫し出す。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊