僕の転機
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■ 第9章 新たな日常2

 コーヒーをゆっくり飲んだ美咲は、椅子から立ち上がり、佐知子の後ろに立つ。
 佐知子は、そんな美咲の行動に気付かず、一心に自分の考えを練り上げている。
(佐知子って、自分の世界に入ると周りが見えないのね…迂闊な子)
 美咲は、佐知子を観察して思う。

 美咲は、佐知子の首にユックリと手を回し、抱きついて耳元に囁く。
「佐知子…。もし、お前が昌聖様の奴隷に成れなかったら、私のオモチャにして上げようか?」
 美咲が甘い罠を掛ける。
 佐知子は、美咲の言葉に驚き、少し考えた後
「はい…お姉様よろしくお願いします…」
 小さく答えてしまった。

 美咲の顔から、スッと表情が無くなると
「馬鹿ね、そんな考えだから昌聖様に許可を戴けないのよ…。心に決めた主が2人居て良い分けないでしょ」
 美咲の言葉が、佐知子の心をえぐる。
「そんな…。私は、そんな積もりは…」
 言い訳しようとする、佐知子に
「見苦しいわよ…。この世界に言い訳程、必要のない物は無いわ!」
 宗介の言葉と、まるっきり同じ台詞を吐く美咲。
「良いわ。心得違いの貴女に私が教えて上げる…。奴隷の心を…」
 美咲の目が、妖しく光る。

 佐知子は、初めて美咲の家に来た事を後悔した。
 椅子に腰掛けた佐知子を放置し、キッチンで物色し出す美咲。
 色々な物を抱え、戻ってくる美咲。
 それらを、テーブルの上に並べ、佐知子の反応を見る。
 摺り子木、泡立て器、金串、ナイフ、フォーク、電動泡立て器、鍋敷き、ラップごく普通の台所用品を並べる。
 それらを一つ一つ持ち、佐知子の身体にどう使うか、説明する美咲。
「どう?これ。この太さだと佐知子のオ○ンコには物足りない?アナルなら丁度良いかしら?」
 そう言いながら、摺り子木を持つ美咲。
「そうそう、オ○ンコならこれが良いかもしれないわね。この隙間から佐知子の汁があふれ出るわ」
 言いながら、泡立て器を持つ。
「これを突き刺したら、佐知子の身体も一杯ピアスで飾れるかしら」
 金串を舐めながら、佐知子を見下ろす。
「この、金具の間隔だと、丁度佐知子のオ○ンコとアナルを掻き回してくれそうでしょ」
 そう言ってウットリと電動泡立て器を持つ。
「これで打たれると、きっと気持ち良いわよ…」
 鍋敷きの分厚い布をばさばさと振る。
「どれで遊んで欲しい?」
 そう言う美咲の目は、完全にサディストの目だった。

 佐知子は、強ばった表情で美咲を見、椅子から立ち上がったあと、平伏し
「美咲様の望むようにお使い下さい…」
 そう言って、動きを止めた。
 美咲は、そんな佐知子を見下ろし。
「ブー50点」
 無造作に言う。

 佐知子は、意味が解らず顔を上げると、美咲は椅子に座り、詰まらなそうな顔をして、鍋敷きを弄んでいた。
「美咲…様?」
 佐知子は、美咲の意図が全く理解できていない。
 呆れた美咲が、佐知子に話し出す。
「佐知子…。貴女誰の奴隷になりたいの?私の言った事、全然理解して居ないじゃない」
 美咲の言葉に、初めてその意図を理解した。
(そうか…、美咲様にされちゃ駄目なんだ…。ここは、心に決めた主に任せなきゃいけ無いんだ…。だからここは…)
 思いついた言葉を、美咲に告げる。
「この身体は、昌聖様の所有物です。主の許可がお有りでしたら、何なりとお使い下さい」
 平伏して告げる佐知子に
「ピンポーン。そう、その気持ちなのよ」
 明るく笑いながら話す美咲。

 その笑顔に引き込まれる佐知子。
「先ず第一に主を考えるのが、大原則よ!私達の都合なんてどうでも良いの…。もし、身体が壊れても、責めに耐えられ無い事を恥じる様に成らなきゃ」
 美咲の言葉に、涙を流し頷く佐知子。
 そんな佐知子を美咲は、愛おしく思えてきた。
 そして美咲は、佐知子を躾ける事まで考える。
(佐知子は、昌聖様がお飼いに成らなかったら…、私が拾って上げよう…。そして、躾けて上げる…)
 ふと、美咲は別の事に気付く。
 それは、一つの真理であり、奴隷の法でもあった。
(あれ?でも、そうなったら私の持ち物は、昌聖様の物だから…。必然、佐知子も昌聖様の物に成るのね…)
 そして美咲は、一つの考えに行き着く。
(佐知子を使って、私が昌聖様の気持ちを理解する…。どう躾けるかとか…、どう使うかとかを…、私が理解し、そのとおりに動く…)
 美咲は、自分の考えに没頭する。
(でも、それってSに成る事よね…?Mの私が…、Sに…、これって堂々巡り?…)
 美咲がその可愛らしい頭の中で、恐ろしい事を考えている頃、足下の佐知子は
(そう、私の事はどうでも良いの…。どうやって、気持ち良く遊んで貰えるか…。其処が重要なの…)
 自分の考えが、いかに甘かったかを悔い反省する。

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