僕の転機
MIN:作

■ 第9章 新たな日常10

 昌聖は、歩美を一度抱き締めると腕を解き。
「よし、終了だ…」
 静かに宣言した。
「あ、有り難う…御座い…ました…。御主人様…」
 歩美は、嗚咽混じりに感謝の言葉を述べた。
 この時の時間は、6:20だった。
 歩美の器具を外し、椅子を元に戻すと、扉を叩く音がする。
「中川さん?今、開けるね。僕に何か用?」
 扉に向かいながら、学校用の言葉を投げ掛け、鍵を外す。
 すると、佐知子は俯きながら、ゆっくり入って来た。
 その頬は、薄くピンクに染まり、伏せた目は濡れているようだった。
 佐知子は、一歩前に進み、床に正座すると三つ指を付いて頭を下げた。

 何事が起きるのか躊躇っていた昌聖は、佐知子の仕草を見て全てを悟った。
(やっぱりな…。美咲が昨日の夜、何かしたな…)
 佐知子は、昌聖に向かい口上を述べだした。
「朝早くからの呼び出しに、お応え下さりありがとうございます。本日来て頂いたのは、私のお願いを叶えて頂きたく、お越し頂きました」
 昌聖は、心の余裕が出来、鷹揚に頷き、生徒会長席の後ろに隠した歩美を呼ぶ。

 歩美の姿を見て、驚いた佐知子だが、直ぐに気を取り直して言葉を続けようとする。
「少し、待て。歩美。ここに来て、四つん這いに成れ」
 昌聖が制止して、歩美を呼びつけ、生徒会室の真ん中に四つん這いにさせる。
 昌聖は、その歩美の背中に腰を下ろすと
「良いぞ、佐知子続けろ」
 続きの言葉を促した。
 [はい]と短く返事をすると、続きを始める。
「私。中川佐知子を、奴隷の端に加えて下さい」
 佐知子の言葉を聞いた歩美は、昌聖の下でビクリと震える。
(さ、佐知子さん…。今なんて…?奴隷の端に…。駄目よ…、そんな事…許される訳無いわ…)
 歩美は、狼狽を隠せない表情で佐知子を見る。
「動くな歩美!その感じなら…、美咲の話を聞いたな?昨日…」
 歩美に注意し、佐知子に質問を投げ掛ける。
「はい。お伺いいたしました」
 佐知子が答える。
「なら、何が必要か解ってるな」
 昌聖の質問に佐知子が立ち上がりながら[ハイ]と答える。
「お受け取り頂ければ、有り難いです…」
 そう言いながら、佐知子は制服を脱ぎだした。

 ブレザーを脱ぎ足下に下ろし、スカートのホックを外しチャックを下げると、手を放しストンと落とす。
 足を抜く時に、ブラウスが軽くめくれると、パンティーのラインが見あたらない。
 ブラウスのボタンを上から一つずつ外し、最後のボタンを取ると
「どうぞ、ご覧下さい」
 ブラウスを左右に大きく広げ、奴隷契約書を晒す。
(こいつ、やるな…こんな契約書差し出されたら、断れる奴居ないだろう)
 マジマジと見詰める。
 そんな中、歩美が佐知子の方を盗み見る。
(えっ…何…良く見えないけど…身体に字が書いて有る…なんて書いてあるのかしら…)
 気になって仕方がないが、昌聖に先程注意されたため、思い切った動きが出来ない。

 そして、昌聖は一つの事に気付いて
「もったい付けないで、全部見せろ」
 佐知子に命令した。
「はい、昌聖様。こちらです」
 肩からはだけたブラウスを、軽く後ろに手を反らしスルリと落とす。
 2歩前に進み、クルリと回転し背中を向けて、全部を昌聖に晒す佐知子。
 目の前に来た、佐知子の背中の文を読み頷いた後、佐知子の大きな右のお尻に、パチーンと手形を付け
「正面を向け」
 命令する。
 佐知子は、[はい]と返事をすると、胸の前で手を組み、少し怯えていた。
「それじゃ、よく見えないぞ」
 昌聖が呟くと、手を後ろに素早く回す。

 乳首から下がっている、奴隷契約書の写しを乱暴にひったくると、歩美の目の前の床に置いた。
 歩美は、目の前に置かれた佐知子の写真に思わず目を奪われ、その内容を一心に読む。
「佐知子。お前は、僕の何に成りたいんだ?」
 質問する。
「はい!奴隷です」
 ハッキリと答える。

 昌聖の質問にドキリとし、佐知子の答えに苛立ちを感じた歩美。
(佐知子さん、恥を知らないの!…暴力や脅迫に屈するなんて…)
 しかし、込み上げた歩美の怒りは、長続きしなかった。
(違う…。違うわね…、ただの暴力じゃ無い…。屈したわけでも…、無い…。今の私なら…、解る…。解るけど…、私には出来ないわ…)
 佐知子の態度に感じた苛立ちは、自分に出来ない事に対する、羨望だった。

 そんな歩美の上で、新たな奴隷を値踏みする昌聖。
 歩美の心に、昌聖の行動が深く重い影を落として行く。
「佐知子、手を後ろに組んで跪け」
 昌聖の命令に素早く答える佐知子。
「口を開いて、舌を出すんだ…。何をされても、お前から動くなよ」
 昌聖の命令に、口を開き舌を差し出して、表情に相変わらず少しの怯えを浮かべ頷く。
 昌聖は、そんな佐知子の顔を引き寄せ、差し出した舌ごと唇を合わせる。
 舌を絡ませ、唾液を送り込む。
 佐知子は、昌聖の舌の動きに応える事が出来ず、喉を上下し、唾液を飲み干す。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊