僕の転機
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■ 第10章 究極の飴と極限の鞭2

 2時限目の授業が始まっても、美由紀はブツブツと昨日の夜からの、美咲の言葉を思い出しその意味を考える。
{そこから先は、感情で話しちゃ駄目よ…。真剣に考え、求めてからでも遅くはないわ。少なくともあと数日…}
(ええ。今の考えは感情じゃない…。求める心も…、数日分に勝る時間も考えたわ…。昨日寝ずに…。でも、どうして…相手にされないの…)
{調教中に一つの答えを見つけましたね…。それは、主人も確認されました。だけど、それを恒久的に維持するのは、とても難しい事だと解って下さい}
(答えは、見つけたわ!それは、確かに見つけた…。昌聖さんも確認したと、言ってくれてた…。でも、今それが思い出せない…。維持するどころじゃない…)
{貴女が、今日見つけた答えは、恐らく間違えてはいない…。ただ、それを維持し育てて行く為には、これからの人生、全てを投げ出さなくてはいけません}
(美咲さんが、言った答えが基本なのに…。それが出て来ない…。私無くしちゃったの…?一晩考えたのは、何…?育てるだけで生涯を掛ける物…)
{日常でも言葉と態度には、全て意味が有りますよね。私達の世界は、それをどれだけ、敏感に感じ取れるかが、とても重要。憶えておくと良いわ…}
(そう、確かにそう言っていた…。私の態度や言動で、全て見抜かれていた…。今日の佐知子を見て私でも、解る事を…。あの人達が見逃すはずがない…)
(?今日の佐知子を見て…私が解った事?…佐知子が、昌聖さんの奴隷に成った…。だよね…?でも、どうして解ったの?)
 美由紀の中で、何かが繋がり始める。
(…そう。…目よ。…佐知子の目を見て解ったのよ…!あの人達の共通の特徴…。それぞれに有る、目の力…。あれが…、仲間の証?)
 美由紀の考えは、当たらずとも遠からずだった。

 目は、本人の心の状態を強く表す窓、その眼差しは意志を伝える。
 3人の心の変化が、劇的に変わった証だった。
 しかし、そんな知識のない美由紀には、心の有りようが変わったと言う答えに、行き着かなかった。
(でも、目が変わるって…、どうして?…分かんない…分かんないよ…。昌聖さん教えてよ〜…。あれ?)
 美由紀の中で、一つの切り口が起きあがる。
(ちょっと待って…。私たしか…、昌聖さんて呼んで無かったよね…?確か…、デブ…。ご免なさい…!その後、近藤君…で昌聖君?…昌聖さん…?…)
 そこで止まり、ジッと考える。
(あと一つ呼んでた…。そう…、あの時の呼び方…。御主人様だ!…あの時は、御主人様って呼んでた…!…でも、何で…?)
 ループする疑問の回廊に落ち込んだ美由紀は、助けを求め出す。
(何で…何で…何で…何でなのよ…誰か助けて…教えてよ…お願いします………御主人様…)
 その時、美由紀の乳首がピクリと動いた。

 宗介に付けられた、[服従のピアス]を今も変わらず、付けていた。
(あれ…今の…そう…似てる…今の感じ…)
 美由紀は、乳房にソッと手を当てると、ピアスの存在を感じ
(これは…服従の証…私が、服従した証拠…そう、最初はあの人に…でも、後は昌聖さんの優しさや、思いやりや、厳しさに…御主人様…)
 美由紀の身体が、奥から激しく反応する。
 ビクビクビクと、おこりのように震えた。
(あ〜っ!これだわ…これよ…昌聖さんを御主人様にして…服従する…そう…心から全てを掛けて、服従するの…それが、奴隷…)
 真っ赤な顔をして、ビクビクと震える美由紀。

 その姿を見て、老教師が声を掛ける。
「松山?どうした…、具合でも悪いのか?保健室で休みなさい…。顔色も悪いぞ…」
 老教師の指摘通り、美由紀の顔は目の下に濃い隈を作り、耳まで真っ赤になって、ビクビクと震える姿は尋常では無かった。
 保健委員に付き添われ、保健室に移動する美由紀。
 保健室には、出張中の看板が掛けられて居た。
 そのまま、保健室のベッドで横になる事を告げ、保健委員を返した美由紀は、中に入り横になる。

 移動中も、掴んだ糸を放すまいと、必死に考えをまとめる美由紀。
(御主人様…御主人様…美由紀に服従させて下さい…美由紀にお仕えさせて下さい……これよ…この気持ち…ピアスが熱い…あ〜っ)
 美由紀の他に、誰もいない保健室で、ブラウスの胸をはだけ、激しく乳房を揉む。
 そんな美由紀の脳裏に、有る言葉が浮かぶ。
{貴女が、今日見つけた答えは、恐らく間違えてはいない…ただ、それを維持し育てて行く為には、これからの人生、全てを投げ出さなくてはいけません}
(そう、これを維持して育てて行かなきゃ、意味がない…。私は、もう完全に見つけてしまった…。手放せない大事な物…。全てを掛ける価値のある物…)
 その瞬間、美由紀の身体の奥から、濃い体液が溢れた。
(あふ〜っ…もう駄目…。この思いを…受け止めて貰えないなら…、死んだ方がましだわ…。御主人様…、美由紀を奴隷にして下さい…)
 一人妄想に耽りながら、絶頂を迎え続けた美由紀は、その間にチャイムが2回鳴った事など気付かなかった。

◇◇◇◇◇

 時間は少し戻って、2時限目の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った時、教室の扉が開き、学年主任が美咲を呼んだ。
 美咲が教室を出ると、佐知子と昌聖が同じように、主任指導の教師に呼び出されていた。
「どうかしたんですか?」
 美咲の質問にも一切答えず、人の増え出した廊下を、ただ会議室に向かって、早足で進んで行く。
 目の前数mを歩く昌聖達も同じような、雰囲気だった。

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