僕の転機
MIN:作

■ 第11章 奴隷達の関係11

 昌聖と美咲がリビングに入ると、宗介は、リビングで携帯電話を操作する。
 暫くの沈黙、長いコール音の後、電話が繋がる。
「もしもし、展開が早まったみたいです…。これから合えますか?」
 宗介が電話に向かって、敬語を使っている。
 電話の相手は、小声なのか受話器から漏れる声が聞き取れない昌聖。
「じゃぁ、ホテルに入って居て下さい。はい、関係者も集めて下さい…お嬢さんも連れて行きますよ。山田さん…では。」
 そう言うと、電話を切り別の所に掛け出す。

 意外な名前を聞き、質問を投げかけようとする昌聖を、手で制して電話を掛ける宗介。
「フランス語が出来る奴を回してくれ。ああ、ネイテブ並みに話せて、同時通訳できる者を用意してくれ。うん…、そうか池谷か…良しあいつに任せるか。解った」
 電話を切ると昌聖を見る。
「お前も着替えろ今から、出かけるぞ。服は、奥にあるスーツを適当に着ろ」
 宗介が有無を言わせぬ口調で、昌聖に指示する。
「美咲ちゃん達はどうする?今日でけりが付くと思うから、晩ご飯でも食べなながら、今回の件の詳細でも聞く?」
 宗介が美咲達に悪戯っぽく笑いかける。
「今回の件?…詳細?…」
 美咲が不思議そうな顔をして、宗介に尋ねる。
「そう、詳細…。おっと、時間も押してきてる、取り敢えず6時頃には、帰って来るから、下で好きな服を選んでてよ…。昌聖早くしろ」
 宗介が美咲にウインクした後、奥で洋服を着替える昌聖に声を掛ける。
「う、うんでも宗介さん…。宗介さんはその格好で行くの…」
 昌聖の指摘に、自分が濡れた下着一枚なのに気付く。
「いけね、指示出しで自分の格好を忘れてた…。だ・が・お前がネクタイを締め終えるより、俺の着替えの方が早い…」
 そう言い残すと、宗介は奥の部屋に入り、実際昌聖がネクタイを締め終えるより早く着替えてきた。

 宗介は、黒いシャツにダークグレーのジャケットと、ダークブラウンのスラックスで、ゴールドのカフスを留めながら戻って来た。
 その姿は、誰がどう見てもモデル並みに格好いい。
 昌聖は、ダブルのスーツ姿が、お笑いの何とか坂課長みたいで、対比が酷すぎる。
「宗介さん…。行くよ…」
 昌聖は、神にこの格差を呪い出す。

 宗介と昌聖が歩美を連れて出て行った後、リビングに残された美咲達は、この後の行動を決め兼ねていた。
「今、2時でしょ…?貴女達どうする?」
 美咲が誰とは無しに質問する。
「私は、今の時間帰ると、親が心配しますし…。就業時間までは、ここに居させて貰います」
 佐知子が、ポツリと話した。
「私は、別に何時でも構いません…。親は、両方自分の人生を楽しんでますから…」
 美由紀は、あっけらかんと話す。
「佐知子も美由紀も残るのか〜…。私も暫く残るかな…所で晩ご飯は…。行く?」
 美咲の口調は、とても砕けていてお姉様の迫力は消えていた。
「あの…。美咲お姉様…、私も…口調を戻しても構いませんか…」
 美由紀が恐る恐る質問してきた。
「あら、良いわよ…。基本的な気持ちは、強要する物じゃないって教えて貰ってるから…。今は、強要しないわよ」
 美咲が笑いながら、美由紀に答える。
「それに、いつでも切り替えられるようにして置かなきゃ、昌聖様にご迷惑を掛ける事にも成り兼ねないし…。練習がてら砕けましょ」
 美咲は、既に気持ちは完全に上位者になっている。

 そのため、美由紀達のストレスにも気を使い出した。
「じゃあ、私も良いですか?…」
 佐知子が身を乗り出す。
「良いわよ当然じゃない…。佐知子ちゃん…」
 美咲が佐知子の名前を呼びながら頬を撫でる。
「美咲…。お姉ちゃん」
 佐知子が美咲の名前を口にする。
 佐知子は、真っ赤になって頬を押さえ、身体をくねらせる。
 美咲は、呆気に取られ、その仕草を見守った。
 すると、佐知子のお腹からグーッと腹の虫が鳴る。
 真っ赤な顔をした、佐知子は更に顔を赤くする。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊