僕の転機
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■ 第11章 奴隷達の関係12

 美咲はクスクス笑いながら
「そうね、私もお腹空いちゃった…何か食べようよ」
 提案すると、美由紀もそれに同意する。
「何が食べたい?でも、キッチンは使えないわよ…。この間覗いたら、冷蔵庫の中、食べ物入ってないし…」
 美咲が声をひそめて言うと、佐知子も顔を付きだし
「そう!多分、宗介さんって、外食か余所の家で食べてると思うの…。だって台所に生活感がないモノ…」
 美咲の言葉に同意する。
「え?何?…台所の生活感って解るの?…どんな風なの…」
 美由紀が不思議そうに、質問する。
 美咲と佐知子は顔を見合わせ、不思議そうに佐知子を見て
「美由紀…。お料理…、した事有るよね…」
 怖ず怖ずと聞く。

 美由紀は2人の質問に、ブンブンと顔を左右に振り
「無いよ…駄目?」
 小首を傾げて、真面目な顔で聞いてくる。
 その答えを聞いた美咲と佐知子は、手を取り合って顔を見合わせ大きく頷き
「駄目に決まってるでしょ!美由紀。女の子なのよ!料理の一つも作れないでどうするの」
 笑いながら怒る。
 美由紀は、連合軍に責められぐうの音も出ず、泣き出した。

 美咲と佐知子は思いも掛けず泣き出した美由紀に
「大丈夫。最初は誰でも出来ないのよ」
「そうよ、私達が教えてあげるから…。泣きやんで」
 慰めの言葉を掛ける。
 しかし、美由紀は身体をくねらせ
「だって、私の家じゃ何にもないんだもの…。出来無いんだもの…」
 駄々をこねる子供のように、泣きじゃくる。
「良いわ…。私のお家で、今度やりましょ…。私の家だったら一人暮らしだし、お泊まりしながら教えてあげる」
 美咲が美由紀に掛ける優しい言葉に、佐知子も手を挙げて
「私も…。私もまたお泊まりしたい…。お姉ちゃん…」
 佐知子が必死な顔で主張する。
「解ったわ…。佐知子もおいで…、みんなでお料理作りましょ…」
 美咲が優しい表情で話す。
「やったー!美咲姉様のお家でお泊まりだー」
 美由紀は、泣きじゃくっていた顔を上げ、嘘泣きを暴露し大喜びする。
「ああっ嘘泣きしたわね…。もう、まあ良いわ、お料理の時に仕返ししてあげるからね」
 美咲が美由紀を笑いながら睨み付ける。
「いやん…。ごめんなさい、美咲姉様…。許して下さい」
 美由紀は、美咲に抱きつき、ゴロゴロと甘える。
(美由紀は、典型的な猫系ね…。気まぐれで甘えん坊…。昌聖様もきっと苦労なさるわ…)
 内心で美由紀の性格を分析し、これからの関係構築を考える美咲。

 美咲に甘える美由紀を、羨ましそうに見ている佐知子に、視線を向けると手招きし、頬に口づけをする。
 ビックリした表情の後、照れ笑いしモジモジと身を捩る佐知子を見て
(そう、私と佐知子は典型的な犬系だから、こんなにも気持ちが解る…。これからも一緒よ…)
 とても優しい気持ちになる美咲だった。

 そして、今度は美咲のお腹がグーッと鳴る。
「忘れてたわ…何食べる?」
 美咲が2人に聞くと、2人とも
「お姉様と同じ物」
 答える。
(ふーん、長になる者は、こう言う事も決めなきゃいけ無いのね…。奴隷の方が楽だわ…、昌聖様に怒られそう…)
 美咲が一瞬考え、反省する。
「じゃぁ、デリバリーのピザにしましょう。誰か番号解る?」
 美咲が聞くと、美由紀が手を挙げ
「はーい、わかりまーす…お勧めのピザで良いですか〜?」
 元気に答えて、同意を求める。
「良いわ、美由紀ちゃんに任せてあげる…。その変わり美味しくなかったら…お仕置きよ…」
 美咲が冗談めかせて言うと
「あん…。じゃぁ美味しくないの選んで…、お仕置きして貰っちゃおうかな…」
 美由紀は、欲情した顔でとんでもない事を言う。
 そんな美由紀の頭をペシッと佐知子が叩き。
「調子に乗りすぎ…」
 たしなめる。
 美由紀は、ペロッと舌を出し肩をすくめると
「ごめんなさ〜い」
 悪びれもせず、謝って携帯を操作する。
 次第に構築されてゆく奴隷達の関係、奇妙な運命共同体が形作られ出した。

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