僕の転機
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■ 第12章 落胆8

 自分には、そんな世界的規模の秘密組織に入れる資格が無いと感じ、足を踏み出せないで居る。
「昌聖いい加減にしろ…。自分の心を誤魔化して言い訳するな…。望む物を手に入れるには、前に進むしかないんだ…。本当は見せたく無かったが、お前がどれだけましな状態か理解できる筈だ…」
 宗介が立ち上がり、奥の自室に入ると、数十秒で出て来て手に1枚の写真を持っていた。
「君達は、ちょっとこっちに来ていてくれ…」
 宗介が少女達を昌聖から離し、テーブルの向こう側に行くように指示する。
 そして、充分に離れたのを確認し、呉々も動かないように注意すると
「ほら。絶対に笑うなよ…」
 1枚の写真を手渡す。

 昌聖は、その写真を受け取ると、マジマジと見だした。
 背の高い中年男性と寄り添うように立つ女性、丸まると太った中学生ぐらいの少年と、背の高い老人。
(あれ? この人達見た事がある…。それに端ッこに写ってるの父さ…、じゃなかった爺ちゃん? …この目。…鼻…)
 写真を見ていた昌聖は、途端に吹き出し大笑いを始める。
「昌聖…。俺は、注意したぞ……」
 宗介の地響きのような恫喝の声。
「だ、だ、だって宗介さん…。これ…、反則だよ…。これ見せられて…、普通で…、居られる…、訳ないじゃん…」
 腹を抱え身を捩りながら、涙を浮かべて笑い転げる昌聖。

 宗介は昌聖の手から写真をひったくると、胸ポケットに収める。
「くそ…。やっぱり見せるんじゃなかった…。ともあれ、俺も最初から今の状態では無かった。組織に入り努力してこうなったんだ…。お前も変われる」
 宗介は、真剣な表情で昌聖に言い放った。
 昌聖は、笑うのを止め姿勢を正すと
「解ったよ。僕もこれからの自分を作って行きたい…。弱気に成ってる場合じゃなかった…。爺ちゃんを説得する」
 腹を決め強い意志を瞳に溜め、宗介に答えを返した。

 そして2人は、組織の加入条件である昌聖の祖父の承諾を得るため、[顔見せ]を行う事を奴隷達に話した。
「はい…解りました。私には何の不都合も御座いません。昌聖様のお爺さまにお会いできるなら、何処へでもお供します」
「私で宜しければ、如何様に扱われても異存御座いません…。私は、昌聖様の所有物です、昌聖様のご意志のままに…」
「美由紀は、何処にでも行って、誰とでもお会いします。昌聖様に喜んで貰えるなら、何でもします」
 奴隷達は、一通りの話の後、宗介達に自らの言葉で思いを告げる。

 少女達の意見に大きく頷き、ソファーに深く身体を預けた宗介が
「昌聖…。この子達とリラックスして来い…。少し辛い目に合うかも知れないから、サービスしてやれ…」
 そっと昌聖に耳打ちした。
 昌聖は、判然としないまま、宗介の言葉に頷いた。
「さあ、後3時間ほど余裕が有る。君達は昌聖に可愛がって貰って、準備を整えてくれ」
 宗介は、そう言い残してリビングを立ち去る。
 リビングを出る直前に、振り返り
「今日は、特別だから、俺の部屋の使用を許す」
 一言言って玄関を出て行った。

 宗介が出て行った後のリビングでは、少女達がイソイソと奴隷支度を整える。
 その手際の良さに、昌聖は呆然と見守るばかりだった。
 全裸になり首輪と尻尾を付けて平伏する3人。
 言葉を掛けるタイミングを逸した主人は、成り行きを見守る。
 ジッと平伏し動かない奴隷達に、昌聖が声を掛ける。
「美咲…。良く躾けたな…。今日は、一杯ご褒美を上げよう…。佐知子仲良くできて良かったな…。美由紀これからも、美咲の言う事をちゃんと聞くんだよ…」
 優しく染み込むような口調の昌聖の声は、奴隷達の心を掴んで離さない。
 昌聖の声は、実際深いバリトンで、ゆったりと話すとそれだけで催眠効果が現れる。
 持って生まれた才能の一つで有るとは、この時はマインドマスターのディディェしか気付いていなかった。
 奴隷達の身体は、支配者の言葉に全身で反応した。
(きゃう…昌聖様に褒められた…あ…ああっ…駄目…溢れて来ちゃう…)
(あ、あああぁ昌聖様…私なんかに…お気遣い下さりありがとうございます…佐知子は…涙が止まりません…)
(昌聖様の声気持ち良いーっ…何でも言う事聞いちゃいそう…お姉様も大好きだし…何で私この2人虐めてたんだろ? …ま、良いや気持ち良いんだもん)
 それぞれ思い思いの反応を示した。
 昌聖が立ち上がり、奴隷達のリードを持つ。

 美由紀のお尻を見て思い出した昌聖は
「ちょっと、そのまま待ってて」
 言い残し、リビングを出て行った。
 2分程して戻って来た昌聖の手には、ポメラニアンの尻尾が握られていた。
「昌聖様〜っ…。それ…、私の…?」
 美由紀が身体を起こし、手を胸の前で組んで全身をくねらせる。

 昌聖は、佐知子と同時に美由紀のトレーニング尻尾を作っていたのだった。
「ゴメン。美由紀渡せずに居たんだ…。ほら、ごたごたしたから…」
 昌聖は、詫びながら美由紀のお尻に尻尾を差し込んで、ベルトを留める。
 美由紀は、お尻を振りながら
「佐知子どう?可愛いい?可愛いい?」
 ニコニコ笑いながら聞く。
「うん! 美由紀凄く似合ってて可愛いい! 昌聖様のグッドチョイスよ!」
 佐知子が掛け値無しで褒める。
「うん、良いわ…。それ美由紀にはピッタリかもね…。身体のラインからお尻のラインまで本当に違和感ないわ…」
 美咲が佐知子と同じように褒めると
「鏡…、鏡…。見たい…、見たい…。見た〜い…!」
 美由紀が騒ぎ出す。

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