僕の転機
MIN:作

■ 第13章 僕の転機3

 美咲の兄との会見の後、逃げるように歩美を連れて出て来た昌聖と宗介。
 そのまま3人は、車に乗り込んだ。
 発射しようとすると佐知子と美由紀が付いてきた。
 5人は、車に乗って宗介の家に到着する。
 とてつもなく疲れた表情の宗介、その後に昌聖・歩美・佐知子・美由紀と続く。
 いつものようにリビングに到着すると、ソファーに座り、身体を休める。
「佐知子ちゃん…、ビール持って来てくれる…。美由紀ちゃんは灰皿お願い…」
 宗介は、疲れ果てグッタリして、いつもの精気が無くなっていた。
 宗介は、煙草を吹かし、ビールを一息煽って、話を始める。
「優瞬さんは…。俺の9つ上で、言ってみれば俺と昌聖のような関係だ…」
 目を閉じながら煙草をくゆらし、冷えたビールを額に当てる。
「あの人は、俺から見ても完璧だ…。ただ求める物が高すぎる…。俺ですらあの通りだ…」
 フッと笑いながら、煙草を揉み消し、ビールを煽る。
「昌聖…、気を付けろ…。先生を宛がわれてる間は、命に別状はない…。基本を憶えたらあの人…、殺しに来るぞ…」
 宗介の言葉に、息を飲み
「ちょっと…。宗介さん冗談じゃないよ…、どうしてそこまで…」
 昌聖が薄ら笑いを浮かべ、宗介の言葉を否定しようとする。
「あの人に見込まれたからだ…。あの人が見込んだらスーパーマンに成るまで鍛えられるか、死ぬかだ…」
 沈鬱な表情で宗介が答える。

 宗介は、ポケットから小さな鍵を取り出し、昌聖に投げてよこす。
 昌聖は、それを受け取ると、マジマジと見詰める。
「何この鍵?」
 昌聖は、宗介に質問する。
「出がけに渡された、歩美の[所有者の鍵]だ…。お前には、拒否する権利がある。しかし、それを拒否することは、歩美と…。美咲を拒否することに繋がる」
 宗介は、ジッと昌聖を見詰め、選択を迫る。

 昌聖は、その言葉に佐知子と美由紀を見、歩美に視線を移して、鍵を見詰める。
「これを受け取れば…。僕は宗介さんみたいに成れる?」
 鍵をジッと見詰めながら、宗介に質問する。
「ああっ、耐えられれば最低限、俺ぐらいには成るよ…」
 宗介の言葉を聞き、考えながら鍵を握り込む。
「この鍵は、僕のモノだ…。どんな訓練にも耐えてみせる…。僕には、佐知子や美由紀は当然、歩美も必要だ…。成りより、美咲を手放す気には成れない!」
 そう言うと宗介の目を真っ直ぐに、見詰める。

 すると、奥の部屋からパチパチと手を叩く音がし、2人の人影が現れる。
 その人影は、優瞬と美咲だった。
「良いね…、昌聖君。君の決心は、とても気に入った…。これからも妹を頼むぞ…。それと、訓練もな…」
 優瞬がそう言いながら破顔する。
「有り難う御座います…。昌聖様…、一生ついて行きます…」
 美咲は、平伏し忠誠を誓い直す。
「その鍵は、そのお嬢さんの所有者の証だ…。無くすんじゃないぞ」
 優瞬が言い残し、宗介の首根っこを捉まえながら
「飲みに行くぞ、付いてこい。そうだ、近藤翁も呼べ!久々に浴びるほど飲むぞ」
 そう言いながら出て行った。
 後に残された4人は、ただ一人の声を待っている。
 主の一言を。

 昌聖は、ソファーに座り、項垂れながら口を開く。
「用意しろ」
 短い一言を放った。
 その一言で、3人の奴隷達は洋服を脱ぎ、全裸になると美咲は昌聖の傍らに、佐知子はキッチンにとんで行き、美由紀はバスルームに走った。
 全員が自分の役目を果たすべく一つのチームとなっていた。

 そして、散っていった3人が集まると、ポツリと歩美が立っている。
「こっちにおいで…」
 昌聖が呼びかけて手招きすると、スッと前に進んで、昌聖の前で止まる。
 歩美は白のプリーツスカートに、白のブラウスを着て何の飾り気もなかった。
 ただ、歩美が動く度に聞こえる、シャラシャラと言う音以外は。
「脱げ」
 昌聖の短い命令に、歩美は従い、その全裸を晒す。
 歩美の首に巻かれたチェーンは乳首に着いた、リングピアスを通り、包皮を切除されたクリトリスを縦に貫くリングピアスに繋がっている。
 そして、大淫唇を根本からまとめる、ピアスには南京錠が付いている。
 無毛の恥丘の上には[GOS FE−350273]の文字が、2段になって入れ墨されていた。
 歩美は、全裸を晒すと平伏して、口上を述べ出す。
「この度、この物体の所有者に成って頂けた事を感謝いたします。この物体は、名前も用途も何も有りませんので、ご自由にお申しつけ下さい。この身体が朽ち果てるまでご自由にお使い頂ける事を、感謝を持ってお願いいたします」
 歩美は、口上を語った後ピクリとも動かない。
「お前の今の立場は何だ?」
 昌聖は、静かな落ち着いた声で、歩美に問いかける。
「はい。肉で出来た、まだ何の用途も示されていない物です」
 歩美は静かに答える。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊