ボクの中のワタシ
羽佐間 修:作

■ 第1章 目覚め6

 読みながら竜之介はペニスの付け根を指で触り”睾丸の入る部分”を探ってみる。 指で強く推してみてもそれらしき穴は見当たらず、竜之介は少しがっかりした。

――そんなの、ないじゃん、、、

 竜之介が女装するときは、ペニスを股に挟み、固いガードルで股間に押さえつけるだけで、着る物によっては鏡に映るそのシルエットに満足できない時があった。

 ローウェストのスカートを穿くとお腹のあたりに覗いてしまうガードルは、まるで中年のおばさんのようで嫌で、女装するたびに、もっと小さなセクシーなパンティを穿けたらいいなあと強い願望が芽生えていた。

――最初は入口が狭く痛いがそこを抜けてスポッと収まるかあ、、、 コツさえつかめばいいんだよね

 矢も盾もたまらず、自分の体にもひそんでいるらしい不思議な穴を探してみることにした。


   ◆

 痛みに耐えながら悪戦苦闘しているうちに、レポートに書いてあったように、睾丸がすっぽりと入ってしまう場所があった。

「うむぅぅぅ、、、」
 下腹部を襲う鈍痛に呻きながらも、確かに睾丸が一つ、股間から消えている。
――これかっ?!

 夢中になってもう一方もその対称する場所にエイッとねじ込むと股間にはペ○スだけが垂れ下がった奇妙な股間が出来上がった。

 手順通りに部屋にあったガムテープで折りたたんだペニスを後ろで固定し、睾丸の皮でペニスを包み、合わせ目をテープで止めた。

「やったっ!」

 動き回ってもきれいな女の子の股間のシルエットは崩れず、なだらかな女性の恥丘を保っている。

 竜之介はチェストから小さなショーツを取り出して足を通した。

 レースに縁取られ眩く輝くTバックショーツは、憧れて買っていたものだが、女装を楽しむ時には股間を隠せないので一度も穿いたことがないものだ。

――うわっ!! 信じられない、、、

 鏡に映る自分の姿に驚き、感激すら覚える。

――わあっ!これならお尻の見せパンだって出来るぅ

 竜之介は、今まで買えなかったローライズジーンズを穿いた自分を思い浮かべると嬉しくて仕方がない。

 ウキウキ気分でいつものように鏡に向かってカメラのシャッターを押す。
――あっ! こんな写真、サイトにUPなんかしたら大変だ。 へへっ

 竜之介は服を着なくてもそれらしく見える鏡の中の女の子を映像に残しておきたくて、角度を変えて何回もシャッターを切る。

「明日、もっといいテープを買ってこよっと!」

 ショーツの上から触った股間は、ガムテープのゴワゴワした感触が布越しに指に伝わる。

――誰かに触られる訳でもないけど、やっぱりボクらしく完璧を目指さなきゃなっ。 うふふっ

 竜之介は次々とショーツを穿き替えては鏡に映し、憧れの女の子の股間のシルエットを明け方近くまで楽しんだ。

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