ボクの中のワタシ
羽佐間 修:作
■ 第3章 みちる3
-露出の快感 -
ア○ルの快感に絶叫し、激しく痙攣しながら絶頂を迎えた”その瞬間”は、竜之介と恵理の関係をまったく様変わりさせた。
竜之介は恵理に”みちる”として愛される快楽にすっかりハマっている。
恵理もまた女として竜之介に愛されるよりも、竜之介に宿った”みちる”を愛することに夢中になっていた。
二人の夜は、男女の恋人同志のものからすっかりレズビアンのような関係になっている。 もちろん竜之介がネコ役だ。
恵理は”みちる”の羞恥に身悶える姿が愛おしくて堪らない。
最初は女言葉で快感を口にすることすら恥ずかしがるのだが、快感がせりあがってくると、”みちる”が竜之介に憑依し、快楽に身悶える女そのもの体を示す。
それでも迫りくる快感に懸命に耐え、悟られまいとする”みちる”が何とも可愛い。
激しく愛し合った後も、竜之介はア○ルで気を遣ってしまった事がよほど恥ずかしいようで、暫くは恵理と目が合っても俯いてしまうほどの恥じらいを見せるのだ。
そして少し前に、みちるの淫らな可愛さはベッドの中にとどまらないことに気付く。
2週間前、二人でショッピングをしている時、突風が吹いて竜之介のスカートがめくれ上がり、下半身が露わになってしまったことがあった。
竜之介は『きゃ〜っ』と叫んで慌ててスカートを下ろしたものの、前を通り合わせた酔ったサラリーマン達にバッチリと見られてしまった。
『ヒュ〜!』
『ラッキ〜! やっぱ下着は白がエロいね〜』
『ネエチャン、今晩ワシと一発、どうや?』
酔っぱらい達は卑猥な言葉を吐きながら通り過ぎていった。
竜之介は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いている。 やがて潤んだ眼で恵理を見つめ『恥ずかしかったぁ、、、』と泣きそうな声で言った。
恵理は以前、恵理のセーラー服を着て外出した時の竜之介の態度にもしや?!と思ったのだが、目の前の表情に、”みちる”の被虐性がはっきり見えたような気がした。
確かめてみようと立ち寄ったランジェリーショップで恵理は竜之介のショーツを奪い、スカートの中はパンストだけの姿でウィンドウショッピングを続けた。
部屋に戻った途端、竜之介は潤んだ眼をして恵理に抱きついてくる。
恵理が股間をまさぐると、タックから先端が頭を出すペ○スから溢れ出た先奔り液が、パンストをべっとりと濡らしていたのだ。
”みちる”は恥ずかしい場面に遭遇するほどに、恥ずかしい事を強いられるほどに身体が疼いてしまうのだと恵理は確信した。
”露出プレイ”が愛し合う前の二人にとって前戯のようなものになった。
といってもAVにあるような卑猥なものではなく、ショーツを着けずミニスカートで買い物をしたり、夜の誰もいない公園で下着姿で歩いたくらいの可愛いものだが、”みちる”の羞恥心を掻き立てるには十分だ。
露出の快感に疼く身体で部屋に戻った”みちる”は、恵理にア○ルを嬲られ、息も絶え絶えによがり泣く。
恵理は自分の中のサディスティックな部分に、竜之介は”みちる”のマゾ的な部分に戸惑いながら、二人の新しい関係に胸を躍らせ週末を待ちわびていた。
◆
「今日は、私のテディを着させてあげるわ」
バスルームを出た二人は露出プレイの身支度を始める。
「これだけ?」
「部屋を出る時はコートを着ていいわよ」
「今日は何処へ行くの、、、?」
竜之介は不安そうなまなざしを恵理に向けた。
「どこがいい?」
「……。 このままお家がいい、、、」
「うふふっ。 ウソばっかり。 今日は誰に恥ずかしい姿を見られるのかしらん?!ってワクワクしてるくせに〜」
「そんなことないモン、、、」
「人がたくさんいる処がいいかしら?! それともあまり人が来ない処で裸になっちゃう?!」
「あぁぁ、、、恵理のイジワル、、、 でもこんな恰好じゃあ恥ずかし過ぎるぅ、、、」
「うふふっ。 マゾっ子のみちるちゃんはこんな恰好だから気持いいんでしょ?!」
「…………」
「部屋に帰ったらいっぱいお尻を可愛がってあげるわ」
「もぉ〜…… 」
「あら?! ホントは嬉しいんでしょ?! みちる」
「う、うん、、、」
「さあ、早くメイクして。 露出症のみちるちゃん」
「、、、はい」
◆
―横浜港コンテナ埠頭:深夜―
二人が乗った車は歩道橋の真下に停まっていた。
「さあ、みちる。 行ってらっしゃい」
「、、、うん」
竜之介は、静かにドアを開けた。
「あっ、、、」
ルームランプが点き、身体を覆う鮮やかな赤い下着が暗闇に浮かびあがる。
部屋を出るときに羽織っていた白いコートは既に恵理に取り上げられ、身に着けているのは真っ赤なテディと黒のピンヒールだけだ。
素早く車の外へ身体を移しドアを閉めたが、ルームランプは直ぐには消えない。
恵理が微笑み、じっと見つめているのが見えた。
――あぁぁぁ、、、 こんな姿で、、、
ようやくランプが消え、恥ずかしい姿は闇に薄れていった。
辺りを見回すとポツン、ポツンと街灯が灯り、 少し先の倉庫会社の事務所の一室にはまだ灯りが点いている。
ひんやりとした夜の風が火照った身体をすーっと撫でると、恥ずかしさと不安が増し、心臓が高鳴る。
恵理に与えられた課題は、下着姿で歩道橋を渡り、道路の反対側にある公衆電話BOXを往復してくるというものだ。
《みちる。 早く行きなさい》
握りしめている携帯電話から恵理の声が聞こえてきた。
「う、うん、、、」
細かい指示は電話で下され、その指示に服従する事が恵理が決めた今日のルールだ。
階段を目指し小走りに駆けだすと、直ぐに恵理からダメ出しの声が飛ぶ。
《ダメよ。 もっと女の子らしく歩いてっ。 毎晩モデルウォーキング練習してるんでしょ》
「はい、、、」
竜之介は大きく息を一つ吐き、ゆっくりと歩き始めた。
橋げたの影を抜け歩道に出ると、少し離れた電話BOXから漏れる光がくっきりと身体を浮かび上がらせているような気がする。
竜之介は大きなため息を一つ吐き、目の前のステップを昇り始めた。
階段を昇りきり、顔を上げると駄々広いコンテナヤードの遠くの方で車が走っているのが見えた。 更にその先には横浜の夜景が視界に拡がる。
身体の奥底から湧き上がってくる露出の快感が竜之介を包み込んでくる。
《ねえ、みちる。 恥ずかしい?! 私の下着姿で外を歩くの、恥ずかしいでしょ?!》
「……はい。 とっても、、、」
階段を昇りきったところで、恵理の嬉しそうな声が聞こえた。
《真ん中まで行ったら、立ち止まって》
「はい、、、」
竜之介はゆっくりと歩道橋を歩きだす。
――恥ずかしい、、、
《灯りが点いてる事務所が見えるでしょ?! こんな時間まで働いてる人へのご褒美にみちるの綺麗な裸を見せてあげましょうよ!》
「あぅぅ、、、 はい、、、」
竜之介は歩道橋の中ほどで立ち止まり、灯りの灯っている建物に身体を向けた。
《みちるちゃん。 突っ立ってるだけじゃダメじゃない》
――あぁぁ、、、 恵理のイジワル、、、
竜之介は両腕を上げて伸びあがり、下着姿を夜空に晒す。
《みちる! もっとセクシーにアピールしなきゃ気付いてくれないわよ》
――あぁぁぁ、、、 恵理、、、 恥ずかしい、、、
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