ボクの中のワタシ
羽佐間 修:作

■ 第3章 みちる4

 みちるが憑依した竜之介は、見られるかもしれない恥辱の快感に酔い痴れ、ヌードダンサーのように身体をくねらせる。

《気持いいの、みちる?! もっと、踊って! いやらしいみちるを見てもらって!》

 下から見上げる恵理には竜之介の揺れ動く頭しか見えない。

 しかし携帯から聞こえてくる竜之介の切なそうな声に、竜之介の昂りを感じ、恵理もしとどに蜜壺を濡らしている。

「はぁぁぁ…… わたし、いやらしい、、、」

 淫らに身体をくねらせるほどに身体の奥底から妖しい被虐の炎が燃え上がってくる。

《ねっ?! エッチなみちるのペニクリ、濡れてるんでしょ?》

 頭上に掲げた携帯から恵理の声が聞こえた。

「はい、、、 みちるのペニクリ、、、 いっぱい濡れてる、、、」

 タックから飛び出しているペ○スの先端をクリ○リスに模して、恵理に”ペニクリ”と呼ばされていた。

――あぁぁ、、、 オシッコしたい、、、

「ねえ、恵理、、、 もうお家帰ろう、、、 わたし、、、オシッコしたくなっちゃった、、、」

《またあ?! さっきも公園でさせてあげたでしょ》

 外で恥ずかしい思いをすればするほど尿意がこみ上げてくるのはいつものことで、その癖は恵理も知っている。

「うん、、、 でも、、、」

《辛抱できないの?!》

「ううん、、、 これ以上続けたらきっと我慢できなくなっちゃう、、、」

《あ〜っ、わかった! ホントはそこでしたいのね、みちる?!》

「ち、違うわ!」

《ウソ〜! さっきだってオシッコしてる時とってもいやらしくて嬉しそうな顔してたわ》

「そんなこと、、、」

《みちるは恥ずかしい事が大好きだものねえ〜。 いいわ。 そこでオシッコさせてあげる。 そうだわ、みちる! どうせなら道路に向かって立ってしてみて》

「えっ?! 立ってなんてそんなの無理、、、」

《立ちションっていうんでしょ?! 竜之介クンは得意だったんじゃないの?! うふふっ」

「ホントに立ってするの、、、?」

《そうよ、みちる。 でないとそこに置いて帰っちゃうわよ〜》

「そ、そんなあ、、、 あぁぁぁ、、、 わかりました、、、」

 竜之介は、歩道橋の欄干の隙間の位置を確かめ、ヒップを近づける。

――誰も通らないで、、、

《早く〜、みちる》

 竜之介は下腹に力を込めた。 タックで折り曲げたペ○スからは、いきまないとなかなか尿が出ない。

「うっ、、、 あぁぁ、、、 でっ、出ますぅぅ〜」

 高いところから迸る小便はビジャ、ビシャと思わぬ大きな音をたてて道路を叩いた。

《やぁ〜ん! みちるのオシッコが降ってきた〜》

 興奮した恵理の声が竜之介の羞恥心を煽る。

――あぁぁぁ、、、 恥ずかしいぃぃ、、、

 こみ上げてくる恥ずかしさに竜之介は身体の震えが止まらない。

 いきむたびに圧し出される迸りが、道路を弾く恥ずかしい水音が数回響いた。

《オシッコ、終わりましたかあ?!》

「あぁぁぁ、、、 はい、、、」

 竜之介は泣きそうな声で言った。

《じゃあ、ティッシュで綺麗にして》

「持ってない、、、」

《ダメねぇ〜! 女の子のくせに。 お出掛けの時は持ってるものよ》

「はい、、、」

《じゃあ、オシッコの後は竜之介クンみたいに、”ペニクリ”をプルン、プルンってしとかなきゃね、みちる》

「あぁぁ、、 はい」

 恵理の言いがかりのような会話さえ、昂った竜之介には心地よい。

「はぁぁぅぅ、、、」

 言われるがまま股間に手を廻し、ペ○スに触れるとズキン!と快感が走り、その先端はカウパー線液でヌルヌルしていた。

 竜之介は滴が垂れる”ペニクリ”を指で振るった。

《公衆電話まで後半分よ。 急いで、みちる》

「は、はい、、、」

 竜之介は歩道橋をふらふらと歩きだした。

   ◆

 電話BOXは暗闇の中にポッカリと浮きあがって見える。

 竜之介は既に10分近くBOXの中に佇んだまま電話で恵理と話し続けていた。

 今度はどの映画を観に行こうかという他愛のない話なのだが、竜之介は気もそぞろだ。

 目の前をいつ車が通るかもしれないと思うと竜之介は不安で仕方がない。

 すぐそばのまだ灯りが点いている会社の人が仕事を終えて帰宅しないのだろうか、、、 歩道橋の上から何台見えたトラックがこっちへ廻ってきたら、、、 BOXの中には隠れる場所はないし、乗ってきた車まで戻るには遠すぎる、、、

 そんなことばかりを考えながら、竜之介は周りの様子を気にしていた。

「はっ!」

 恐れていたことが現実になった。

 200mほど先の角を大きな車が目の前の車線に曲がってきた。

「えっ、恵理っ! く、車が、、、」

 ヘッドライトの眩い光が凄い勢いでまっすぐに近づいてくる。

《隠れて! みちる!》

 竜之介は震える手で電話BOXのドアを開け、外に出た。

「ダメ〜! みちるっ! もう間に合わないわ! 隠れて〜〜っ!」

 恵理は道路に駆けだし、うろたえた声で竜之介に叫んだ。

「あぁぁぁ、、、 見られちゃう〜!」

《みちる》

「あああぁぁぁぁ、、、」

 大きなトレーラーが通り過ぎざま『見たぞ』という合図なのか『ブシュッ』とエアブレーキの音を立てて走り去った。

「あはうぅぅぅ、、、」

 竜之介は緊張が解けると力が抜け、電話BOXの前にへたり込んでしまった。

《あぁぁ、、、 みちる。 みちる! 帰りましょ》

 予期せぬことに恵理も狼狽したのか、興奮気味に叫ぶ。

「あっ、、、 はい」

 竜之介は立ち上がり、道路を渡って恵理が待つ車に乗り込んだ。

「アアアッ……ウァッ 怖かったぁ〜〜。 運転してる人が降りてきたらと思ったら怖かったの〜〜〜〜!」

 竜之介は車に入るなり恵理に抱きつき声をあげて泣いた。

「ごめんね、みちる、、、 ごめんね」

 竜之介を抱きしめる恵理の目にもうっすら涙が浮かんでいる。

「怖かったね、みちる。  お部屋に帰りましょうね」

「うん、、、」

「あっ、コートは着ちゃダメよ」

「え?!」
 
 コートをはおろうとした竜之介を恵理は制した。

「だって約束の歩道橋の往復は出来なかったでしょ。 だからお仕置きよ。 お家に着くまでその恰好でいなさい」

「もう、、、 恵理ってホント、意地悪ね〜、、、 そんな人だったかしら?!」

「うふふ。 私もびっくりしてるの。 きっとみちるがそうさせたんだわ」

「きゃっ!」

 恵理が突然助手席のシートを目いっぱい倒した。

「このまま横になっているのよ、みちる。 ダンプとか車高の高い車の運転手さんに見てもらうといいわ」

「あぁぁぁ、、、はい」

 今から数十分の道のりには信号で止まる事もあるし、煌々と明かりがともる繁華街も通らなければならない。

 その時を思うだけで竜之介の胸にゾワゾワと妖しい気分が湧いてくる。
 
 恵理は車を発車させ、スピードをあげて竜之介のマンションに向かった。

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