ボクの中のワタシ
羽佐間 修:作
■ 第3章 みちる5
-Enema -
翌週の日曜日、昼食を摂った後に行き先を告げられずに連れてこられたのは恵理が会員になっているフィットネスクラブだ。
「はい! いいですよ〜! ワン! ツー! ワン! ツー!」
インストラクターの掛け声に合わせて竜之介は懸命にステップを踏む。
竜之介はクラブのショップで買ったレオタードを身に着けて体験コースに参加させられている。
厚手のストッキングとレオタードでガードしているが、人前で股間のシルエットを露わにするのは初めてだ。
恵理に言われて竜之介は一番前の列でエクセサイズを受けているが背後の視線が気になって仕方がない。
しかし、時間が経つにつれ徐々にエクセサイズ自体の楽しさに引き込まれていく。
「ワン! ツー! ワン! ツー!」
インストラクターに煽られ、動作に合わせてみんながリズムに乗って掛け声を出し始めると、受講者の間に一体感のようなものが湧いてくる。
「はっ! はっ! はっ! はっ! はっ!」
身体を動かすことが無性に楽しくなってきた。
竜之介はみちるの声を探りながら小さな声で掛け声をあげる。 初めて発する類の声だ。
――可愛い声が出てるのかしら、、、
「はっ! はっ! はっ!」
汗が吹き出し、息が弾む。
目の前の大型の鏡には、だれもが楽しそうにステップを踏んでいる姿が映る。
そして、竜之介は”みちる”がそのなかの一人として溶け込んでいるのがとても嬉しい。
「はっ! はっ! はっ! はっ! はっ!」
鏡の中で恵理と目が合うと、恵理はにっこりと笑いウィンクをした。
――うふっ。 恵理、アリガト
◆
「身体を動かすのは久しぶりだったから筋肉痛になっちゃいそうだわ」
恵理はじゃれあいながらバスルームで週に一度の竜之介のムダ毛の手入れを愉しんでいる。
「私も〜。 でも今日はホントに楽しかったぁ〜」
「だったらみちるも入会しちゃえば?!」
タックを解いて竜之介が男の姿に戻るのは週末のバスルームだけなのが、このひと時ですら恵理に対して”みちる”として接するようになっていた。
「えっ?! 入るには身分証明って要るんでしょ?! みちるじゃ入会出来ないよぉ……」
「そうねえ、、、 じゃあ、竜之介で入会する?!」
恵理は先端の胞皮を摘まんでペ○スを引き伸ばし、剃り残しが無いかチェックしながら悪戯っぽく言った。
「もぉ〜……」
「ウフフッ! レオタード着てエクセサイズ出来ないんじゃあ入会しても意味ないわねぇ。 それともカミングアウトしちゃう?!」
「やだぁ、もう〜。 恵理ったら、、、」
「はい! ムダ毛処理は終了〜。 ツルツルスベスベよ! さあ次はお尻よ。 綺麗にしてあっ・げっ・るっ!」
「えっ、、、きょ、今日はいいの、、、 あっ、、、 自分で、、、独りで出来ると思うから、、、」
「うふっ?! 自分で出来るかしら〜?! だ〜めっ! みちるのお尻は私がちゃんと綺麗にするの〜っ」
「で、でも、、、」
恵理は嬉しそうに浣腸器のシリンダーに用意していた石鹸水をチュルチュルと吸いあげ始めた。
「さっ、みちる。 お尻をだしなさい」
「あぅぅ、、、 は、はい、、、」
――あぁぁぁ またあんな恥ずかしいことを、、、
先週、コンテナヤードでの露出デートの後、初めて恵理に浣腸された時の恥ずかしい記憶が竜之介の脳裏に鮮烈に蘇ってきた。
◆
露出の昂りが覚めないまま部屋に戻った途端、竜之介は恵理にしがみつく。
「恵理っ! 恵理っ!」
竜之介は貪るように恵理の唇を求めた。
濃厚に舌を絡め、恵理の唾液を鼻を鳴らして竜之介は呑み込む。
上擦った竜之介を、恵理は両手で頬をそっと包み諭すように引き離すと、二人の唇を唾液の糸が繋いでいた。
――あぁ、、、 恵理、、、 とっても愛してる、、、
竜之介が潤んだ瞳で恵理を見つめていると恵理の唇が動いた。
「今から浣腸してもいい?! みちる」
「えっ?!、、、」
―― カンチョウ、、、 あぁぁ、、、 とうとう、、、
”浣腸”がア×ルプレイのひとつであることは知っているが、竜之介には排泄行為とセックスがどうしても繋がらない。
猥雑な雑誌に書いてあるようなおぞましい変態プレイは、男のサディスチックな願望を込めた妄想で、そんなことをされて性的な快感を感じるはずがないと思っている。
しかし、自分でも愕然とした前立腺で恵理に逝かされてしまった”まさかの経験”以来、いつか恵理に強いられる日が来るのでは?! と予感していた。
そして自分の中でどんどん大きな存在になっていく”みちる”はそのことを悦んでしまうんじゃないか?! と恐れていた。
――恵理、、、 どうしてもなの?
「だってみちるは私のキス、嫌がるんだもん、、、」
竜之介の抗う言葉が発せられるを遮るように恵理は悲しそうに言った。
「えっ?! そ、そんなこと、、、」
――恵理は分かってたんだぁ、、、
竜之介には恵理が言う意味が直ぐに分かった。
前立腺をいたぶる前に、恵理はとばぐちを舐めたり、ぬぷぬぷっと舌を挿しこんだりしてア×ルを丁寧に揉みほぐし愛撫してくれる。
あの不思議な快感に呑み込まれてしまえば、そんなことは気にもならないが、自分のア×ルを這いまわった恵理の舌が唇を割ってくる時、未だにためらいを感じてしまうのだ。
――あの一瞬の躊躇いを恵理は悲しく思っていたんだわ、、、
「お尻の中も綺麗になったら衛生的だし、キスも平気になるでしょ?! ねっ、みちる」
「……うん」
―― 恵理のため、、、 衛生的だもん、、、
少し迷ったが、竜之介は恵理の願いを受け入れた。
「やった! みちるは賢いわねぇ」
恵理は嬉々として竜之介の肩を抱きバスルームに向かった。
◆
「みちる。 お尻をだしてっ」
「はい、、、」
――恥ずかしい、、、
竜之介は身体を反転させ、バスタブの縁に手を突き恵理にヒップを突き出した。
「ああぁぁぁ、、、」
恵理がジェルをまぶした指でア×ルを揉みほぐす。
「さあ、お尻を綺麗に洗いましょうね〜」
「あああぅぅぅぅ、、、 いやぁぁぁ、、、」
浣腸器の嘴口が挿入され、暖かい液体が勢いよく腸腔に流れ込んできた。 想像していた以上のおぞましい感触に鳥肌が立つ。
「お湯だから冷たくないでしょ?!」
――ああぁぁ、、、 恥ずかしい、、、
ちゅるちゅると注がれる浣腸液で下腹が徐々に張ってきた。
「あぁぁ、、、 恵理、、、 そんなに入れないで、、、」
「ダメ〜っ! まだまだよ」
恵理は竜之介の顔を覗き込みながら、ピストンを一気に圧した。
「イヤぁぁぁ…… やめてぇぇぇ……」
「ハイ! 全部入ったわ。 もう1本、お代わりしましょうね」
「ひっ! そんなの無理!」
恵理は空になったシリンダーにお湯を吸い込ませ、嘴口が再びア×ルに挿しこまれた。
「あう、うぐっっっうぅぅぅぅ…………んぐっっっっっ!!」
さっきと同じ量の暖かい水流が一気に腸腔に流れ込んでくる。
「んぐっっっっっ!! あぅぅ、、、 え、恵理、、、」
「へ〜〜っ。 1リットル入ると外からでもお腹が膨らんでるのが分かるのね」
「ああぅぅぅ、、、 苦しいよぉ、、、」
「しばらく我慢してね、みちる。 でないとお腹が綺麗にならないんですって。 その間に身体、洗ってあげるから」
「あああぁぁぁ、、、 はい、、、 」
ギュルギュルと下腹が恥ずかしい悲鳴をあげた。
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