ボクの中のワタシ
羽佐間 修:作
■ 第4章 翻弄12
『そうだ! あの時みたいにセーラー服で女子高生に化けて来るんだ。 その方がみんなが喜ぶはずだ。 わかったか?』
「えっ?! みっ、みんなっていったい、、、」
『ふふっ。 みんなって俺を含めた”みんな”さ。 それはそうと発売されたばかりのJULLYの今月号、見たか?』
「いえ、、、 まだ見ていません、、、」
『そうか。 長谷川が言ってたがお前、随分人気が出てきたらしいぜ。 JULLYでは男だってネタばらしはしてないらしいな。 人気モデルの”みちるちゃん”が実は竿付きの純男だって知ったら”みんな”驚くだろうなあ。 ケツ穴好きが殺到するぜ。 あははっ』
――まっ、まさか!?
富田の思わせぶりの言い方が竜之介を不安にさせる。
『ふん。 どうせ”みちる”という偽りの人格だ。 存分に楽しめばいい。 ケツの穴はしっかり洗ってくるんだぞ。 それとタックとかいうチ×ポを隠す作業はしてこなくていいからな』
――ど、どうしよう、、、 やっぱり、、、 ボクを知らない人に、、、 そんなこと、、、
竜之介は恐怖で身体が震えてくる。
『わかったのか?!』
「はっ、はい、、、」
『それから今日から金曜までの10日程はオナニー禁止よ、竜之介クン』
並木が弾んだ声で会話に割りこんできた。
『貴方の精子、美味しく頂きたいの〜。 量が少ないとわかっちゃうからね、竜之介クン』
「あぅぅぅ、、、 はい、、、」
『その代わり、お前が大好きな俺たちの精液もたっぷりと飲ませてやるぜ。 身体中に浴びせてやるから楽しみにしみにしてろ!』
「あぁぁぁ、、、 はい、、、」
「お前の新しい性感帯のオッパイもたっぷりと可愛がってやるからなっ」
「はぅ、、、 はい、、、」
竜之介の返事を聞くや否や二人の接続はブツリと切れた。
◆
一番強い勢いで熱いシャワーを長い時間浴びて竜之介はバスルームを出た。
問題は何も解決したわけではないが、少し気分が落ち着き鏡の前に座った。
髪を乾かしていると携帯が鳴った。
恵理からの着信音だ。
――恵理、、、
時差の関係や互いの仕事のスケジュールもあってなかなか電話で話す機会がなく、メールのやり取りが続いていた。
とても話せる気分ではなかったが竜之介は自分を鼓舞するように笑顔を作り、通話ボタンを押した。
『たっち〜。 久しぶり〜っ。 良かった〜、まだ起きてたのね。 元気?』
「ああ、元気だよ。 恵理は?」
『うん。 元気よ。 今、起きたところ。 こっちは朝の7時だからそっちは夜中の12時でしょ?!』
久しぶりに耳にした恵理の声に、胸が締め付けられる。
「うん。 今はシアトル?」
『ええ。 でも今日は今からワシントンに移動するのよ』
「そっかあ。 忙しそうだね。 やっぱり戻ってくるのは7月になりそうなの?」
『うん、、、 たぶんね』
「そっかあ、、、 寂しいなあ、、、」
『それって”みちる”を楽しめないから寂しいんじゃない?!』
「ち、違うよ、、、」
『ほんとに〜〜?! あっ、そっかあ!? エネマグラで一人で”みちる”を慰めてるのかしら? うふふっ』
「そ、そんなことしてないさっ!」
『そういうことにしておいてあげる。 うふっ。 それはそうと、あのね・・・』
互いの近況報告や他愛のない話を10分程して電話を切った。 と同時に溢れ出る涙が頬を伝う。
電話を切る間際に『早く逢いたい、、、』と言った恵理の声が頭から離れない。
――あぁぁぁ、、、 このまま富田たちのいいなりになる生活が続けば、きっと恵理と逢えなくなってしまう、、、 どうしたら、、、
頭の中に押し止めていた答えのない堂々巡りが再び始まる。
――ボクはあの人たちの言う通り、犯されることを望んでいるんだろうか、、、 違う、、、 違う、、、
いくら頭で否定してもビデオの中で肛悦に打ち震え、全身を貫く快感に我を忘れてよがり狂う自分の淫らな姿が次々と瞼に蘇る。
嫌悪していたはずのペ×スへの口腔奉仕も痴れた表情を浮かべて喉奥に受け入れ、そして喉奥に放出されたドロリとした精子を呆けた顔をして美味しそうに飲み干していた”みちる”、、、
バックから富田にア×ルを犯されあられもないヨガリ声を上げ、物欲しそうに腰を振り、ア×ルから引き抜かれたペ×スに舌を這わせて汚れを拭っていた”みちる”、、、
辱めらるほどに、ア×ルを削られるほどに汚辱の快感に身も心も支配されていた2週間前の淫らな姿、、、
――ああぁぁぁ、、、 もう一度あんな快楽に晒されてしまったらボクはもう、、、
恵理への想いや深まる肛悦への恐れ、不気味な富田達の存在など考えるほどに竜之介は混乱し涙にくれた。
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