千佳
木漏れ日:作

■ 42

翌朝。
志穂に起こされた。
「今何時?」
「朝の7時です!」
志穂はもう服を着ていた。
透明の服ではない。

私は急いで支度をする。
今日は着物ではなく洋服だ。
どこへ行くのだろう?
志穂と玄関に行く。
昨日とは違う車が待っていた。
私達が乗るとすぐに出た。

私は志穂に聞いた。
「どこ行くの?」
志穂は答えない。
もう一度聞いた。
「私も知らないんです…。」
車は大きなビルの駐車場に入った。

女の人が出てきた。
「お待ちしていました…。」
その人に案内されてエレベーターに乗る。
32階で降りた。
長い廊下を歩いた。
ある部屋の前で止まる。

女の人がノックする。
戸が開いて別の女の人が顔を出した。
「どうぞ…。」
私と志穂だけ中に入る。
女の人が電話を掛ける。
「お連れします……。」

奥の部屋に通された。
広い部屋だ。
「やあ! 良く来たね、座って!」
紳士が近づいて来た。
私と志穂は進められるままにソファに座る。
体が沈みそうだ。

「飲み物は何が良いかな?」
紳士が尋ねた。
「何でもいいです…。」
私は緊張しながら答える。
「紅茶とコーヒーどちらがいい?」
「コーヒーで…。」

「あ、済まないがコーヒー三つ…。」
紳士は女の人にそう言った。
紳士は私達の前のソファーに座った。
「緊張しないで千佳ちゃん…。」
「どうして私の名前を…。」
「私は千佳ちゃんの叔父さんだ…。」

「え! じゃ叔母様のご主人ですか?」
「そうだ…だから千佳ちゃんは私の姪だよ!」
「そうですか…。」
「それでね…。」
「はい…。」
「千佳ちゃんに養女になって欲しいんだ…。」

「他にお子さんは?」
「居ない…。」
「私の性癖ご存知でしょうか?」
「知ってる…。」
「それでも私なんですか?」
「うちの社員は全員そうだ。」

そこへコーヒーが運ばれてきた。
さっきの女の人だ。
「あ、ゆりさん…。」
「はい?」
「スカート捲くってくれないか?」
「はい…。」

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