光梨の奇妙な日常
煙突掃除屋さん:作
■ PM12:30 昼休み2
確かにその男は程度が低かったんだろうけど……少し気持ちが分かる気もする。美咲の華奢な身体にアンバランスな程に盛り上がった双乳は、女の光梨から見ても目を引いてしまうのだ。胸に少々自信の無い光梨としては羨ましい気さえする。
「美咲がフリーだって分かったら、また男が寄ってくるよ。」
「かもね。身体目当ての男なんかいらないのに……。もうちょっと胸が小さかったらそんな事にならないのかな……」
美咲くらい胸があれば駿ちゃん喜ぶだろうなぁ……光梨は美咲の贅沢な悩みを聞きながら頭の中で胸が大きくなった自分を想像して小さく笑った。意識はしていなかったのだが、ずっと美咲の胸を凝視してしまっていたようだ。美咲が両腕で胸を抱きかかえるように隠して光梨を睨む。
「光梨までそんな目で見てぇ。」
「あっ、ゴメンゴメン。だって美咲ってやっぱりスタイルいいよね。」
「何を仰いますか。光梨だって胸が大きくなるように毎日マッサージしてもらってるんでしょ?」
そう言うと美咲はブラウスの襟元から光梨の胸元に手を差し込んだ。
「うきゃ! 何すんのよ、もぉ〜〜〜!!」
「な〜によぉ! 従兄弟さんじゃなきゃ触らせないっていうの!」
食事を途中で中断してその場に立ち上がった2人はキャッキャと笑いながらお互いの胸元に手を伸ばしてじゃれ合っている。2人が夢中になっていると後ろの席の女子生徒が声を掛けた。
「ちょ、ちょっと美咲も光梨も!周り、周り!」
ハッと我に返って周りを見回すとクラス中の男子生徒の視線が2人に集中していた。美少女2人の少しHな会話に男子生徒たちの目は心なしか虚ろに見える。光梨と美咲は慌てて席に着くと静かに食事を再開した。
「もぉ〜 美咲があんな事するからぁ。」
「光梨だって触ったじゃないよ〜。」
2人が打って変わってコソコソと話していると廊下側にいた男子生徒が光梨を大声で呼ぶ。
「お〜い! 藤森ぃ! E組の喜多川が呼んでるぞ!」
喜多川と聞いて光梨はハッと思い出した。昼休みに約束してたんだっけ。
「何よ? 喜多川君が何の用事?」
美咲がまた光梨の顔を覗き込む。
「何でもないよ。」
まさか遅刻を見逃してもらうために約束をしたとも言えず、光梨はそそくさと弁当の箱を片付ける。
「ふ〜〜ん…… 従兄弟さんに内緒で同級生と浮気かぁ〜。今晩お邪魔して言いつけちゃおっかなぁ〜」
「美咲!!」
笑いながら見送る美咲を残して光梨は廊下へと飛び出していった。
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