明の復讐
あきよし:作

■ 絵里と裕美の関係1

仲間ファイル1 山谷 由希

自己紹介も終わり明は1年B組の副担任をすることになった。職員室に入ると見覚えのある教師の他に見知らぬ教師もいた。明の目は絵里を探した。
(いた!!)
明は絵里に近づいていった。
「柳生先生。」
見知らぬ教師の一人が明に話しかけてきた。
「初めまして。田中と言います。」
清楚な女教師だった。年は27くらいだろう。絵里よりも2、3歳ほど年上だ。柳生という名前に反応したのか、絵里が明たちをじっと見ている。
「よろしくお願いします。」
そういって明は職員室を出た。そろそろ2限目の授業が始まる。明の担当することとなった教科は体育。もともとスポーツの得意な明だからこその担当だ。1年B組の教室に入ると生徒たちがいっせいに明に駆け寄った。
「私。山谷 由希(やまたに ゆき)って言います。先生が副担で嬉しいです。」
「はは(^^)そうか。じゃあ皆席について。」
「はーい。」
生徒が席についた。
「最初に自己紹介をやっていく。1番から順に言っていってくれ。」
クラス全体で人数は40人。その内男子が26人で女子が14人となっている。明は14人の女子の中から3人気に入って子を選んだ。一人目は、さっき明に話しかけてきた山谷 由希。小柄だが豊満なバストの持ち主だ。2人目は、小山内 唯(おさない ゆい)。女の子にしては背が大きく、明より少し小さいので168cm前後だろう。足もスラット伸びてまさにモデル体型だ。3人目は菊地 英子(きくち えいこ)。大人しそうで、いかにも優等生な真面目タイプだ。眼鏡をかけていて顔ははっきりしないが、眼鏡をとれば可愛くなりそうだろう。2限目が終わり職員室に入ろうとした瞬間呼び止められた。
「柳生先生。」
明は振り返った。目の前には絵里が腕を組んで立っていた。
「ちょっと来なさい。」
明は絵里についていった。そこはあの教育実習室だった。中は何にも変わらずあの時のままになっている。
「あなた何してるの?」
「教師ですよ。前からの憧れで。」
「私に恨みを晴らすつもりならやめときなさい。あなた地獄を見るわよ。」
絵里は今にも泣きそうな顔で明を見ていた。
「どうしたんですか?」
「あの時はごめんなさい。本当にごめんなさい。」
絵里のあまりにも熱心な謝罪に明は混乱していた。
「話はそれだけ頑張ってね。」
絵里が部屋を出ようとしたのを明が呼び止めた。
「和田ですか? あいつが原因ですか?」
絵里の足が止まる。動揺丸出しといった顔で明を見た。
「もしあいつの仕業であんなことしたなら俺は絵里先生のみかたになってもいい。」
「…………」
絵里は俯いたまま黙り込んでいる。
ガラガラ
誰かが部屋に入ってきた。
「柳生先生。」
はいってきたのは由希だった。
「お前なんでこんなとこに。」
「先生と話に来たんです。そしたら深刻そうな顔で絵里先生と話してたんで気になって入っちゃいました。」
「相変わらずもてるのね。」
さっきまでのブルーな顔から笑顔に戻った絵里が冷やかすように言った。
「授業後ここに来て。話があるの。」
絵里はそういい残すと部屋を出て行った。
「柳生先生もしかして浮気?」
「は?」
「私というものがありながら。」
由希は冗談交じりで言う。
「おまえなぁ。あっ。そうだ。携番教えてくれないか?」
「えっ? いいよ。」
明と由希は番号を交換した。絵里と裕美のことで電話するかもしれない。明はそう考えたのだ。
「じゃあ今度ラブホでも行こうね。」
「なにいってんだ。教師をからかうな。」
「大丈夫。こう見えても処女じゃないんだ。」
「そういう問題じゃなくて……」
「そろそろ授業始まるから行くね。」
「ふぅ。」
明は深くため息をついた。最近の女子高生はあんなことを平気で言うのか。明は対処に困っていた。そしてある案を思いついた。遥が正式にこの学校に就任するまでの3ヶ月であの生徒3人と絵里、ついでに職員室で会った田中という教師を仲間につけて準備を整えよう。遥がいる前だとやきもちやかれるかも知れない。
(もてる男は辛い。)
と明は笑いながら心の中で叫んだ。

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