百花繚乱
百合ひろし:作

■ 第三章 新人戦9

亜湖は先程のさくらと同じ様にレフリーに介抱されながら立ち上がった。
「返せ無かった―――」
亜湖は思った。試合中は同じタイミングで、カウントツーで返した。返すタイミングを少しでも遅らせ、しかも一定時間で返す事により、休む時間を作りながらかつ、相手に自分の残り体力を悟られない様に闘い、自分がさくらに言った、
少しでも長く試合を―――
というのを自分なりの方法で実現していたのだが、DDTでは意識が飛んだが、パワーボムの時は意識があったにも関わらず足をピクリとも動かせなかった。

控え室に戻るとさくらが待っていて、
「センパイ……お疲れ様でした」
と言い、肩を貸した。亜湖はさくらの肩につかまり、
「ありがとう。でももっと長く出来るように頑張ろうね」
とさくらを励まし自分に言い聞かせた。

一方―――、美紗は香に、
「約束通りやったよ。まあ見てただろうけどね」
と言った。香は、
「無理かと思ったけど、あの根性には驚いたわ。叩き潰し甲斐がありそうね」
と、目を閉じて言った。美紗は、
「お気に入りの後輩を潰すのかい。全く……」
と言うと香は、
「お気に入りじゃないわ。ただ成長が早いと思っただけよ。だからこそ私に勝てるかも、なんてふざけた事思ってほしくないだけよ」
と答えた。美紗は、
「成程ね、だけどそれはお前もな。あたしに勝つにはまだ早いぞ」
と牽制した。香は、
「……」
何も言わずにいた。確かに美紗には一勝も出来てなかったから。しかし、このまま負け続ける気は当然無い―――。

美紗が去ってからも暫く、そう―――30分位香はそのままでいたが、寒くなって来た事に気付き立ち上がった。
考えてみれば自分の試合が終わった後、汗も拭かずに着替えもせずに、汗で濡れた体操服とブルマ姿で美紗と亜湖の試合を見続けていたのだから―――。香は更衣室に行った。
更衣室は薄暗かった。香は電気をつけようとしたがその時、薄暗さの中でさっきの劣情が蘇った。いや、美紗と会話しているときも我慢していたと言うべきか―――。
もう美紗も帰った後だし誰もいない筈。香の心にブレーキを掛けるものは何も無かった。しかも隣はシャワー室。終わった後はすぐにシャワー浴びれば仮にその後誰かと会った所で分からないのだ。
更衣室の電気を一つだけつけ、それとは反対側の薄暗い角の隅の椅子に座りブルマの中に手を入れた。
「ん……、うっ……あ…っ」
そしてブルマを脱ぎ下半身は可愛いリボンがついた水色のパンティ姿になりさらに股間をまさぐった。パンティが濡れ、クチャッ、クチュッと音を立てる―――。
「あ……あっ……あっっ―――うっ…」
さくらとはさっき試合した。しかし亜湖とはやっていない。だから、亜湖を今度は自分が気絶させたり、更には―――ブラジャーが取れたらどうなるだろうか? その答えは亜湖に求めればよい―――と思うと、こんな所でオナニーなんて、と思っても、もう本能は止められなかった。
「あっ、あっ……、ああっ、ああっ!」
香は快感の絶頂に達し、更にパンティを濡らしながら果ててしまった。その時、その勢いで椅子から滑り落ちた。
「ぐっ……っっ」
香は頭を打たないようにとっさに体を捻り上手く横向きに倒れたが、その分肩を打ち付けその痛みに苦しそうな声を上げた。肩が痛い、そして股間は痙攣している―――。落ちた時の勢いで外れたメガネを拾い、手に持ったまま、香は、
「……」
何も言えずに手に持ったメガネを眺めていた。そしてこの場から全く動く気が起こらず、暫くそのままの体勢で床に横たわっていた。


亜湖とさくらは練習室に戻り、試合のビデオを見ながら反省会をやっていた。
「さくら、上半身柔らかいんだね」
亜湖が言った。見ているシーンはさくらが香に弓矢固めを掛けられている所だった。香の頭の方から映していたので体が弓なりになっているさくらの体が良く見えた。香がさくらの体を揺するとさくらの胸はそれ程大きくなく、更にブラジャーで押さえられているのでブルンブルン、というよりは、それにあわせるように小気味良く揺れていた。
「……」
二人とも口に手を当ててからお互い顔を見合わせた。
「まさか、香さんこれ分かってて……?」
さくらが言うと、亜湖は、
「ち、違うと思う。香さんの方向からだと良く……見えないから」
と答えた。亜湖は否定し、さくらは安心していた。実はそのまさかなのだが―――。
試合の後半、香がロメロスペシャルを掛けた時も同じ様なアングルで横から映していた。その時もやはりさくらの胸が小気味良く揺れる―――。
亜湖とさくらはまた顔を見合わせた。

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